第8話 高知剣
「やって来ました! かつおのたたき!」
ユリたちは高知県にたどり着いた。
「どこにかつおのたたきはいるかしら?」
正確には高知県のアイドル候補生はどこにいるのかしらである。
「四万十川か。天然ウナギも食べれるかも! いくぞ! うなぎ!」
ユリたちは四万十川に向かう。
「おい。かつおのたたきはどこにいったんだよ?」
レイコはツッコム。
「うなぎ! うなぎ! かつお!」
ユリ曰く。かつおも川を泳いでいるかもしれないとのこと。
「それにしてもあれね。戦いと少女とアイドルを混沌させるとこんな物語になるのね。」
珍しくユリは食べ物以外のことを四万十川に移動中に考える。
「あなたでも真面目なことを考えることがあるのね!?」
レイコはユリに驚く。
「コン!?」
子狐も驚く。
「失礼な! これでもアイドルを目指して戦っているんだから、私が食べ物以外のことを考えてもおかしくないでしょ!」
いいえ。そっちを考えるのが普通です。
「刀と剣が都道府県のダジャレで登場し、アイドルなので47と数字をつけておけばいいからスタートした都道府県剣47ですが、マンネリですな。1話完結モノとしては即座に完成できるクオリティーですからね。」
ユリ総監督の偉いお言葉。
「急遽、酒呑童子を福岡で登場させて物語をぶち込み、変化を投入する。しかし酒呑童子を倒してしまい四国から玉藻の前に登場してもらう。後は酒呑童子2とか、帰ってきた酒呑童子とか、酒呑童子Zにして再利用しよう。」
主役と敵役のライバル関係は何でもウケる。
「刀や剣にも飽きたので割愛を利用し、とどめは都道府剣の連撃だけになった。格闘ゲームでは各アイドル候補生には個人の必殺技もあるとしておこう。」
既に愛媛剣のレイコがコマドリを使用したかどうかも覚えていない。
「更に刀と剣のアイドルの世界に、いきなり超能力に目覚める私。なんだろう? 刀と剣の世界に超能力を足しても何の違和感も無かった。例えるとただの魔法剣士だった・・・・・・。」
最初から刀と剣に超能力が使える設定ならもっと違う描き方ができただろう。
「ああ~疲れた。」
ユリはここまでの総括を終える。
「ユリ。大丈夫。独り言をブツブツと。少し食べ過ぎなんじゃない。」
レイコはユリの若年性認知症を心配する。
「コン。」
もちろん子狐も。
「大丈夫よ。登場人数は増やし過ぎると死んじゃうキャラが出てくるし、視聴者や読者も分かりにくくなるという話をしているのよ。」
ユリはもっともな意見を言う。
「そうね。これぐらいの人数で敵が出てきて戦うのがベストよね。」
レイコもユリの意見に共感する。
「コン。」
子狐も共感する。
「子狐。あなたはコンとなくから、お名前はコンコンにしましょう。」
ユリは飼い主を差し置いて子狐の名前を決める。
「コンコン。」
子狐は名前が決まって喜んでいるようだ。
(ありがとう。ユリ。)
ユリの心に子狐が語り掛けてくる。
「なに!? コンコンが喋った!?」
コンコンの声が聞こえて驚くユリ。
「バカなこと言わないでよ。コンコンが喋る訳ないでしょ。狐なんだから。」
レイコにはコンコンの声は聞こえない。
(ユリ。これはテレパシーだ!)
(テレパシー!?)
テレパシーとは心と心で会話する手段である。
(ユリ。早く四万十川に行って、ウナギを食べようぜ! 天然ウナギが食べれるぞ!)
コンコンは意外と熱血食いしん坊だった。
「よし! 四万十川へ! レッツ・ゴー!」
ユリに新しいお友達が増えた。
「はあっ!? 待てよ!? もし私が超能力・・・・・・サイキック能力に目覚めているとしたらテレポーテーションで瞬間移動できるのでは!?」
ユリは良い所に気がついた。
「レイコ、コンコン追いで。一瞬で四万十川に移動するよ!」
ユリはテレポーテーションする気である。
「そんなことできる訳ないじゃない。無理無理。」
レイコは否定する。
「無理じゃない! 無理って言っている奴が無理なんだ!」
さりげなく心に響く言葉を放つユリ。
(いけ! ユリ!)
コンコンは早くウナギが食べたい。
「テレポーテーション!」
ユリたちの姿が一瞬で消えた。
「やって来ました! 天然うなぎ!」
ユリたちは四万十川にやって来た。
「できちゃった!? テレポーテーション!?」
レイコは驚く。これで一瞬で場面が変わっても体裁が良い。やはり第1話から超能力者設定で、おまけに刀や剣を奮うアイドル候補生の少女という設定が良かったのだろう。
「コン!」
(私は信じていたぞ! ユリなら必ずやり遂げると信じていたぞ!)
コンコンはユリを信じていた。
「ありがとう。コンコン。」
心が通じ合う人間と小狐。
「さあ! 天然ウナギを獲るわよ獲るわよ!」
ユリは川に入ってウナギを探す。
「違うでしょ。高知県のアイドル候補生を探しに来たんでしょ。」
レイコはツッコム。
「こらー! そこの密猟者! ウナギ泥棒! 逮捕しちゃうぞ!」
そこに少女が現れる。
「何者だ?」
お約束なので尋ねてみた。
「私は高知県のアイドル候補生の浜田リョウコ! 高知の天然資源は私が守る!」
現れたのは高知県のアイドル候補生のリョウコだった。
「ほれ。高知県のアイドル候補生に会えたぞ。」
ユリは得意げにレイコに言い返す。
「たまたまでしょ!?」
なんも言えねえレイコ。
「くたばれ! 密猟者! いでよ! 高知剣! アンド! 高知剣衣! からの高知剣奥義! ヤマモモ!」
リョウコはユリたちを攻撃する。
「ギャアアアアアアー!」
ユリたちは吹き飛ぶ。
「見たか! ウナギ泥棒め! ワッハッハー!」
リョウコは勝ち誇る。
「まだ勝負はついてないわよ!」
「剣衣を装備しなかったらやられるところだったわ。」
爆炎からユリたちが刀衣と剣衣を装備して現れる。
「その姿は!? おまえたちもアイドル候補生だったのか!? ならウナギ泥棒なんかすな! アイドルのすることじゃないだろうが!」
ごもっともなリョウコの意見。
「私もしたくないのよ。でもね。私って、こんな設定の女なの。グスン。」
ヒロインも泣きたくなる哀れな設定である。
「確かにへそ出しファッションというよりは、食べ過ぎでお腹が出てる三段腹アイドルなんて聞いたことがないわ。可哀そう。クスン。」
リョウコもユリに同情する。
「分かってくれて嬉しいわ。リョウコ! これで今から私たちはお友達ね!」
「これからよろしくね!」
リョウコが仲間になった。
「だからウナギの密漁は見逃して。」
「それとこれとは話が別よ。友達が悪いことをしていたら罪を償わせるのが本当のお友達でしょ。」
リョウコは融通が利かなかった。
「見つけたぞ! アイドル候補生ども!」
そこに妖怪が現れる。
「何者だ?」
お約束で尋ねる。
「私は世界征服を企む悪の軍団ジョーカーの妖怪ウナギだ!」
現れたのは妖怪のうなぎ。
「出てきてくれてありがとう。あなたを倒して美味しくいただくわ!」
ユリはウナギを食べることしか考えていない。
「え!? 私って食べられるの!?」
妖怪ウナギもビックリなストレートな展開。
「いくよ! レイコ! リョウコ! みんなの力を一つにすればできないことは何も無い!」
「おお!」
ユリたちは心を一つにする。
「くらえ! 天然ウナギ! 一刀両断! 都道府剣3連撃!」
ユリたちは必殺の一撃を放つ。
「ギャアアアアアアー!」
ウナギを倒す。
「正義は勝つ!」
決めポーズをするユリたち。
「ウイニングライブは私が歌うわ!」
リョウコが高知県の歌を歌う。
「高知! 高知! 高知! 高知! コーチ!」
リョウコは只管高知県を熱唱する。
「コン・・・・・・。」
(やはり小説で歌を歌うのは無理っコン。)
コンコンは呆れた。
「無理じゃないけど、真面目に作詞をするのが面倒臭いのよね。例えば「あなたに会いたい。」という歌詞にする。するとキチガイが「パクリだ!」と騒ぎだす。最終的に認めなければパクリではないというのが音楽業界の常識。それに「あなたに会いたい。」如きよく使われている文字で「パクリ!」と言われると何もできない。」
その通り。
「地元の妖怪じゃ弱すぎるね。尻尾、一尾、尾獣のでも送り込んだ方がいいのかね?」
玉藻の前は手下の小狐だけでは役に立たないのでもう少し強い手下を戦場に送ることを考えた。
「酒呑童子の手下は小鬼。なら私の手下は小狐。おまけに大嶽丸の手下は小神。これでいいのかね?」
多少、更年期障害か認知症が疑われる玉藻の前。
「で、私たちの右腕クラスが、酒呑童子は茨木童子。私は猫又になるのかね?」
猫と狐は少し違う気がするが細かいことを気にしていると話が進まないので気にしない。
「大嶽丸に右腕なんかいたっけな? 寂しいな。あいつお友達がいないじゃん!」
鬼神、大嶽丸は孤独らしい。
「なんだかな? 妖怪って日本のものだけど、全然、人数が足らない。そりゃあ、つまらない妖怪の回は視聴率が下がるはずだ。」
妖怪を美人に変えて視聴率アップを試みたり、男前のキャラクターを足して低迷する視聴率を上げようとしたり、タイトルがビックネームじゃなかったら、令和で恥ずかしい打ち切りアニメじゃん。正にけけけ。
「無理に妖怪を創作するより、妖怪ウナギでいいじゃん。手ごろで視聴者にも親しみがあるカワイイ妖怪だね。アハッ!」
ヒットアニメを見てると気軽でいいのだろうと思う。そんな作品ばかりだもの。もう3万字くらいだし、もう誰もここまで読まないだろう。ということで気楽に書こう。
「さあ! 次はスダチよ!」
「おお!」
ユリ曰く。徳島県に行くらしい。
「夢に向かって、レッツ・ゴー!」
ユリがアイドルになる日がやってくるのだろうか?
つづく。
高知剣 リョウコ ヤマモモ
愛媛剣 レイコ コマドリ
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