第2話 鹿児島剣
「やって来ました! 鹿児島県!」
ユリは鹿児島に上陸した。
「かるかんはどこだ!? 私のかるかん! でないと」
暴れるユリ。
「おまえは、なまはげか?」
ユイも一緒にやって来た。
「それにしても鹿児島のアイドル候補生はどこにいるんだろう?」
ユイは鹿児島のライバルを探していた。
「かるかん!」
まだ食い意地の張っているユリ。
「黙れ。」
ユイは拳でユリを黙らせる。
「ギャアアアアアアー!」
沈黙するユリ。
「やはり鹿児島で有名な所といえば桜島か?」
ユイは桜島を目指すことにした。
「ピヨピヨ・・・・・・。」
気絶したユリを残して。
「なに!? 沖縄のキジムナーがやられただと!?」
ここは世界征服を企む悪の軍団ジョーカーの日本基地。
「いったい誰にやられたというのだ?」
ジョーカー日本支部の幹部の酒呑童子は報告に驚いていた。
「この娘です。」
小鬼がユリの映像を映し出す。
「こいつは!? 東京で出会ったアイドル候補生の娘ではないか!? この娘は確かに倒したはずだ!?」
ユリは酒呑童子で倒された。
「失敗しました。アハッ!」
しかし酒呑童子は去りとどめを小鬼たちに任せたのだが、小鬼はユリに敗れた。
「バカモンー!」
酒呑童子の大声が響き渡る。
「こうなったら私が行って倒してやる!」
酒呑童子はユリの元へ乗り込むつもりである。
「現在、アイドル候補生は鹿児島ですよ。」
「遠いな。やめた。」
酒呑童子は出不精であった。
「鹿児島の一反木綿にアイドル候補生を倒す様に連絡しろ!」
「オニオニ!」
酒呑童子は鹿児島の妖怪にユイを倒す様に命令を出したのであった。
「今度こそ。これでアイドル候補生たちもお終いだ。ワッハッハー!」
上機嫌の酒呑童子であった。
「あれは小鬼たち!」
桜島にたどり着いたユイは小鬼たちが警備しているのを見つけた。
「きっと桜島は悪の軍団ジョーカーの秘密基地に違いない。私がぶった切ってやる!」
ユイは小鬼たちと戦うことを決めた。
「いでよ! 沖縄剣!」
何も無い所から沖縄剣が現れ、しっかりとユイは握る。
「いくぞ! 小鬼ども! 正義のアイドル候補生の私が相手だ!」
ユイは小鬼たちに正面から戦いを挑む。
「オニオニ!」
小鬼たちもユイに襲い掛かってくる。
「エイ! ヤア! トウ!」
ユイは次々と小鬼たちを撃退していく。
「ギャアアアアアアー!」
小鬼たちはミニオンみたいなものなのでユイの相手ではなかった。
「この調子なら楽にジョーカーの基地を破壊できそうね。」
ユイは順調に小鬼たちを壊滅させていく。
「そこまでだ! アイドル候補生!」
そこにジョーカーの妖怪が現れる。
「おまえは何者だ!」
ユイは尋ねてみた。
「私は悪の軍団ジョーカーの妖怪の一反木綿だ! アイドル候補生! おまえの命もここで尽きるのだ!」
一反木綿が現れた。
「それはどうかしら? おまえなんか一瞬で倒してあげるわ!」
ユイは沖縄剣奥義デイゴを放つ構えに入る。
「これを見ろ!」
小鬼たちが掴めた女の子を連れてくる。
「人質!? 卑怯よ!」
ユイは手も足も出せなくなった。
「卑怯? 誉め言葉と受け取っておこう。この娘は鹿児島県のアイドル候補生だ。こいつを殺されたくなければ降伏してもらおうか!」
一反木綿は人質作戦に出る。
「助けて! 死にたくない!」
捕まっている鹿児島県のアイドル候補生は泣きながら助けを求めてくる。
「さあ! どうする! 大人しく降参しろ!」
一反木綿は強気に降伏を迫ってくる。
「・・・・・・分かったわ。」
ユイは大人しく剣を下した。
「それでいいのだ! 正義のヒーローは辛いな。人質を取られると手も足も出ない。そいつも捕まえろ!」
「オニオニ!」
こうしてユイも悪の軍団ジョーカーに捕まってしまった。
「く、悔しい!」
内心ユイは無茶苦茶悔しい思いをしていた。
「わ~あ。よく寝た。」
その頃、ユリは目が覚めた。
「私のかるかんはどこにあるんだー!?」
ユイに気絶させられたことなど食欲の前に忘れていた。
「ああ! あの白い山はなんだ!?」
桜島を見つけた。
「きっと私のかるかん工場に違いない! いくぞ! かるかん! 私を待っててね!」
こうしてユリは桜島に向かう。
「私は玉城ユイ。沖縄のアイドル候補生よ。あなたは?」
牢屋で自己紹介するユイ。
「私は塩田ミカ。鹿児島県のアイドル候補生になっちゃいました。」
ミカは鹿児島のアイドル候補生だった。
「ミカか。トリプル・ユーじゃないわね。ダブル・ユー・ウイズ・エムって感じかしら?」
ユイはアイドル・ユニットの名前を検討するのに忙しかった。
「ちょっと!? 人の話を聞いてますか!?」
思わず語気を荒げるミカ。
「大丈夫。聞いてます。どうしてアイドル候補生のあなたが悪の軍団ジョーカーに捕まっているのよ?」
ユイは尋ねてみた。
「あれは鹿児島県のアイドル候補生を決める日でした。いきなり妖怪たちが攻め込んできて、強い女の子や凶暴な女の子、口から火を吐く女の子たちがジョーカーに倒されて、たまたま鹿児島剣を私が抜いてしまったんです。」
ミカの悲劇的なアイドル候補生就任であった。
「剣を手にしたんなら戦えばいいのに。」
ユイの素朴な疑問。
「できますか!? アイドルって歌って踊る人のことですよね。まさか剣で世界征服を企む悪の軍団ジョーカーと戦うだなんて、私は聞いてません!」
ミカは素朴な疑問を素朴な反論で返す。
「そう言われてみればそうね。おかしな展開よね。」
ユイは疑問を感じた。
「でしょでしょ。エッヘン。」
得意げなミカ。
「でも私たちは捕まってしまったのでこれからどうしましょう?」
不安なミカ。
「ワッハッハー! 大丈夫。私たちにはあいつがいる。」
ユイはユリのことを思っている。
「あいつ?」
ミカはあいつでは何のことか分からなかった。
「ちょっと頼りないけど夢を諦めない突破力を持ち最後までやり遂げる意思のある子がもうすぐやってくるよ。」
ユイはユリを信じていた。
「頼もしいお友達がいるんですね。少し安心しました。」
ミカも安堵した。
「あれはジョーカーの小鬼たち!?」
ユリは桜島にたどり着いた。
「そうか! 私がかるかんと出会えなかったのはジョーカーの仕業か! クソッ! 許さんぞ!」
そして勘違いした。
「いでよ! 東京刀!」
ユリは何も無い所から刀を取り出す。
「いくぞ! ジョーカー!」
ユリは単身セーラー服を着て刀を振り回して突撃する。
「オニオニ!」
出入り口を警備している小鬼たちが気づきユイの迎撃にあたる。
「エイ! ヤア! トウ!」
次々と小鬼たちを倒していくユイ。
「一反木綿様に報告だ!」
小鬼たちは逃げ出す。
「待っててかるかん! すぐに食べに行くから!」
桜島に入っていくユイ。
「なに!? アイドル候補生が現れただと!?」
小鬼から報告を聞く一反木綿。
「捕らえているアイドル候補生たちを人質にして、そいつも捕らえるんだ!」
「オニオニ!」
また人質作戦を決行する一反木綿。
「エイ! ヤア! トウ! 私のかるかんちゃんはどこにいるんだ!?」
小鬼と激しい戦いを繰り広げながら奥に進んでいくユリ。
「そこまでだ! アイドル候補生!」
そこに一反木綿が現れる。
「出たな! ジョーカーの妖怪め! 私のかるかんを返せ!」
ユリは正義よりも食い気である。
「かるかん?」
一反木綿は何のことか分からない。
「私はジョーカーの妖怪の一反木綿だ。アイドル候補生よ。これを見ろ!」
人質のユイとミカが現れる。
「助けて! 殺される!」
必死に叫ぶミカ。
「ユリ! 久しぶり! あなたの相方よ!」
笑顔で挨拶するユリ。
「・・・・・・一反木綿! 私のかるかんはどこだ!」
人質を無視するユリ。
「こらー! 人質を無視するな! それでもアイドル候補生か!?」
思わずツッコム一反木綿。
「アイドル候補生だからって、人質を助けなくてはいけないという理由はない!」
正義よりも食い気なユリ。
「それにユイなら脱出できるでしょ。」
ユリはユイを見る。
「バレてるか。さすが我が相方。」
見えない友情の絆で結ばれ信頼し合っているユイとユリ。
「いでよ! 沖縄剣!」
何も無い所から剣が現れ、ユイとミカを助け出す。
「ユリ。そいつを倒したらかるかん食べ放題よ。」
ユイはユリの性格を把握している。
「了解~! ということでおまえも倒させてもらうぞ! 空飛ぶふんどし!」
ユリには一反木綿など空飛ぶふんどしにしか見えない。
「誰が空飛ぶふんどしだ!? いいだろう! こっちが空を飛べる恐ろしさを思い知らせてやる!」
一反木綿は空を飛ぶ。
「くらえ! アイドル候補生! 一反木綿・ボム!」
上空から爆弾を投げ捨てる一反木綿。
「キャアアアアアアー!」
ユリは空爆を受けてしまう。
「どうだ? 手も足も出まい。悔しかったら飛んでみろ! ワッハッハー!」
勝ち誇る一反木綿。
「諦めるもんか! 諦めなければ私の夢は空を飛べるはず! 燃えろ! 私の夢! うおおおおおー!」
ユリの闘志が燃え上がる。
「くらえ! 一反木綿! 東京刀! 秘剣! ユリカモメ!」
ユリは必殺技を放つ。
「そんなもの食らうか! ワッハッハー!」
空を飛んでいるので余裕こいている一反木綿。
「それはどうかな? 私の夢は空を飛ぶんだ!」
ユリカモメは羽ばたき空を飛んでいく。
「なに!? バカな!? ギャアアアアアアー!」
不意を突かれた一反木綿はユリカモメに迎撃される。
「すごい! この人も私と同じアイドル候補生なんだ!?」
ミカはユリの活躍に目を奪われていた。
「ユイ! 無事だった? 私のかるかんは。」
再会したユイとユリ。
「私を助けに来てくれたんじゃないのかい?」
相変わらずの調子の二人。
「人助けはついでよ。ワッハッハー!」
食い気が勝るユリ。
「この子はミカ。私たちと同じアイドル候補生なんだ。」
ミカをユリに紹介するユイ。
「初めまして。ミカです。鹿児島県のアイドル候補生です。よろしくお願いします。」
自己紹介するミカ。
「私はユリ。よろしくね。かるかんはどこにあるの?」
新しい仲間より食い気が勝るユリ。
「おまえは食うことばっかりかい?」
呆れるユイ。
「地面を掘ればサツマイモが取れますよ。」
鹿児島あるあるを教えてくれるミカ。
「マジか!? 知らなかった!?」
本気でショックを受けるユリ。
「ワッハッハー!」
3人に和やかに笑いあう。
「ふざけるな! アイドル候補生ども! 絶対に許さないぞ!」
まだ一反木綿は生きていた。
「まだ生きていたのか! 空飛ぶふんどし!」
ユリたちは一反木綿に気づく。
「鹿児島の本当の恐ろしさを教えてやる! 動け! 巨人妖怪! 桜島!」
ゴゴゴゴゴッゴー! と地震を起こしながら桜島が動き出す。
「なに? 何が起こっているの!?」
「し、島が!? 桜島が動いているんだ!?」
「なんですと!?」
ユリたちは安全な所まで避難する。
「見たか! これがジョーカーの悪の科学力だ! いけ! 桜島よ! アイドル候補生どもを踏み潰せ!」
「ガオー!」
桜島巨人に一反木綿が乗り込んだ。
「図体がデカくなったからって強いとは限らない! 行くぞ! ユリ!」
「おお! こいつを倒せばかるかん食べ放題だ! トウ!」
ユイとユリは動く桜島に挑む。
「くらえ! 沖縄剣流奥義! デイゴ!」
「東京刀秘剣! ユリカモメ!」
二人は必殺技を放つ。
「ガオー!」
しかし桜島はビクともしない。
「なに!? 効かない!?」
「私たち二人の攻撃だけでは攻撃力が足らないんだ!?」
ユイとユリの攻撃は効かなかった。
「ワッハッハー! 見たか! 桜島の恐ろしさを! やれ! 桜島! アイドル候補生どもを倒すんだ!」
「ガオー!」
桜島は白い灰と共に爆弾を吐き出す。
「キャアアアアアアー!」
更なる空爆に吹き飛ばされるユリとユイ。
「どうする? ユリ。あんな化け物には勝てないよ。」
諦めそうなユイ。
「諦めなければ何とかなるよ。エヘッ!」
気楽なユリ。
「怖い。でも怖いとか言ってられない。私もアイドルになりたいんだ。そのためにはあのデカブツを倒さないといけないのであってビビっている場合じゃない。ユイとユリに助けてもらったから、今度は私が二人を助ける番なんだ! うおおおおおー!」
ミカは戦う決意した。
「いでよ! 鹿児島剣!」
何も無い所から剣が現れる。
「くらえ! 桜島! これが私の必殺技だ! 鹿児島剣流奥義! ミヤマキリシマ!」
ミカが必殺技で桜島を攻撃する。
「なんだ!? 何が起こった!?」
一反木綿は予想外の攻撃に動揺する。
「ミカ!」
「すごい! 必殺技だね!」
ユイとユリはミカを快く受け入れる。
「私も一緒に戦う。」
「ダブル・ユー・ウイズ・エムの結成ね!」
「おお! 一人ではダメでもお友達が3人集まれば奇跡が起こせる!」
ユイとユリ、ミカは呼吸を一つにして刀と剣を構える。
「小癪な! アイドル候補生ども! くらえ! 桜島・ボムボム!」
大量の爆弾を降らせる桜島を操る一反木綿。
「一人はみんなのために! みんなは一人のために! いくぞ! 都道府剣! 3連撃! どりゃあー!」
ユリ、ユイ、ミカは三人のコンビネーション攻撃を繰り出す。
「エイ! ヤア! トウ!」
桜島を3人で斬り刻んでいく。
「ギャアアアアアアー!」
桜島は断末魔の叫び声を上げて、ドカーンっと地面に倒れ込み爆発する。
「やったー! 勝った! わ~い!」
「正義は勝つ!」
「私なんかでも勝てた! イヤッホー!」
ユリたちは勝利を喜んだ。
「それでは今日のヒーローのミカに勝利の歌を歌ってもらいましょう!」
勝者はアイドル候補生として歌を歌うことができる。
「ええー!? 私ですか!?」
いきなり振られたので驚くミカ。
「どうしたの? まだ作詞ができてないとか?」
ユリはミカを自分と同類の仲間だと思いたい。
「で、できてるもん! ちょっと恥ずかしいだけよ。私だって歌ぐらい歌えるもん!」
ミカは歌を歌う準備をする。
「それではミカに歌ってもらいましょう! 私の白い恋人!」
ミカは鹿児島の桜島をイメージして作詞を行った。
「あなたはいつも真っ白け。口からモクモク灰を吐く。それでも私はあなたのことが大好きよ~。」
この調子で勝利のコンサートは大盛況で幕を迎えた。
「ユリ。次はどこに行くの?」
ユイは尋ねてみた。
「そうね。からしレンコンを食べるか、それともマンゴーを食べるか悩む所よ。」
ユリは鹿児島名物かるかんを食べながら答える。
「あんたは食べることばっかりかい!?」
ユリはツッコム。
「あの・・・・・・私も二人に着いていっていいかしら? 私一人じゃ、アイドルにもなれないし、鹿児島県も守れないんだもの。でも二人と一緒なら、きっとやっていける気がするの。私なんかがついていったらダメかな?」
ミカはユリたちと一緒にアイドル候補生の冒険がしたかった。
「何を言ってるの?」
ユリは冷たくミカをあしらう。
「ごめんなさい! やっぱり私なんかダメなんだ!」
ミカは自分に自信が無かった。
「あんたの切符も買ってあるわよ。」
ユリはミカに切符を手渡す。
「ありがとう! ユリ! ユイ!」
感動して涙を流しながら笑顔で二人に飛びつくミカ。
「さあ! 三人で全国うまいもの巡りの旅へ! レッゴー!」
ユリは絶好調。
「違うでしょ! 私たちの夢はアイドルになることでしょ!」
ユイはツッコム。
「面白い! ワッハッハー!」
ただ笑っているミカは幸せそうだった。
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。