第15話 童話とは人生の教訓を教えてくれるもの

 お互い高校からの知り合いという事で雑談の間に好きな童話と嫌いな童話の話になった。

「私は好きな童話は長靴を履いた猫。嫌いな童話は泣いた赤鬼ね」

 紬さんは分かりやすいチョイスだ。

「俺は好きな童話は泣いた赤鬼。嫌いな童話も泣いた赤鬼」

「私は好きな童話は欲張りの犬。嫌いな童話は私も泣いた赤鬼かな」

 紬と俺と佐々木さんの嫌いな童話が揃った。自己犠牲精神はは美しいけれどそれで同族の青鬼に一生会えなくなるなんて悲しい話だ。

「青鬼はどんな気分だったんだろ……。赤鬼に会えなくなると知っていて」

 紬の問いかけに答えるものは居ない全員同じ気持ちだったはずだ。

「紬さんが長靴をはいた猫を好きな理由は?」

「だって猫が活躍するのよ! 機転を利かせて王様に取り入り最後は人食い鬼を食べて大臣におさまるの凄くない!」

「うん、凄いね。中世ヨーロッパは奴隷は靴を履かなかったから長靴を貰ったって事まで喋れてたらもっと凄かったね」

「なんでマウント取られたの私? でもいいわ私、Mだし!」

「そうなのか聞きたくなかった情報をありがとう」

「孝一君はSね」

「いや、どっちも行けるから俺」

「何のお話?」

「うん、佐々木さんはそのままでいてね」

「? うん?」

 紬が俺のやり取りに身をゾクゾクと震わせている。脳内保存しとこう。

「紬さん長靴を履いた猫ごっこしよう」

「何それ聞いた事ない、ごっこ遊びって私達もう高校生よ?」

「大人だって赤ちゃんプレイするだろ?」

「それとこれはちがうでしょ!」

「ツムちゃん赤ちゃんプレイって何?」

「孝一君純真な望を汚さないで」

「ほら、新雪って踏み荒らしたくなるじゃん?」

「望、逃げてこの性獣の囮は私がやるわ、嬉々として!」

「ツムちゃん駄目私が囮になるから!」

「二人とも自己犠牲愛が強すぎて萎えるわ」

 俺は弁当の残りを胃に流し込むとパソコンを起動した。叩きたいほど遅い。パソコン通信を起動してみようと思おう。

「何?パソコン使うの孝一君」

「うん、パソコン通信してみようと思って」

 パソコンの専用ソフトを立ち上げる。死ぬほど遅い。

「今の俺から見るとホントに動いてんのかよって思うほど遅いな」

「孝一君は魔改造パソコンに慣れてるものね」

「魔改造パソコン?」

「孝一君部屋にあるデスクトップパソコンよタワー型で凄く速いの」

「へぇー、タワー型が何かは知らないけど……」

「繋がったみたい。誰と繋がっててるんだろ。パソコン通信はとっくの昔に廃止されてるはずだけど」

 パソコンに文字が走る。霊界通信にようこそ、と

 




 

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アストロネット 神城零次 @sreins0021

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