8話 許嫁,婚約者問題
それから俺はとりあえず部屋に戻った。ソフィアは荷物をこっちに持ってくるらしい。
まずは黒い何かかが何かを調べることにしよう。結局ソフィアとの同衾問題は後回しにすることにした。しかし黒い何かと言われても全く想像できない。黒い物…それも球である。考えられるのはこの世界特有のものだ。特有のものと言われたら魔物しか思いつかない。魔法は物じゃなくて事象?だしね。魔物で黒いものなんて言ったら魔核だと思うがそれだったらわかるはずだ。
なんなんだこれは…。魔道具か?それだったら説明がつくかもしれない。古代魔道具は解明されていないものが多くある。それは大賢者ではわからない。
そんなことを考えていると、
『開けて〜』
ソフィアの声が響いた。
「はいはい」
あ、ソフィアの荷物どこに置こう?俺はクローゼット使わないしそこ使ってもらうか。そう考えながら俺はドアを開けた。
「あれ?広い?」
「ん?みんなの部屋見てないからわからんけどみんなこのくらいじゃないのか?」
「そんなことないわよ。多分元々用意されてた身内用の部屋だから広いんだと思うわよ」
そういえば貴族の暮らし方をしてると傲慢な考えになるからバルクリ村に行ったんだっけ?10歳だと学校に行かなきゃだから戻してきたのか?だからこのような部屋があると考えたら都合がつく。学園はここから近いところだと王都だな。学園都市もあったが王都の方が近かったはずだ。
「そうなのか。そっちはどのくらいの広さだったんだ?」
「伯爵の客人用の部屋よ。だからそんなに広くないわ。この部屋よりも少し狭いぐらいかしら」
結構広いと思うんだが、気のせいか?
「荷物はクローゼットでいい?」
「使わんしいいぞ」
「使わないの?」
「生活魔法使えるし使わないの方が便利だ」
「私使えないのよね。便利だと思うわ」
「まあ半分の人だから使えなくてもそんなに悄気ることはないんじゃないか?」
「それもそうね」
なぜだろうか。ソフィアといると落ち着く気がするのは。
コンコン
その時ドアのノックオンが響いた。
『そろそろ夕食でございます。食堂でお待ちください」
食堂?まあ貴族と言われたら長方形のテーブルがある場所だが。どこだそこ?案内されてないんだが。どこにあるんだ?確かこの建物は3階建てで地下室もあるとか聞いたが。一階かな?いやソフィアに聞けばわかるだろう。
「ソフィア、食堂ってどこ?」
「一階よ案内するわ。ついてきて」
そういうなり荷物入れが終わっていたため、すぐに移動していく、俺はそんなソフィアについて行った。途中シルフィとアリスとあったため一緒に行こうと誘ったがどうやら使用人として働くことにしたらしく使用人の仕事があるのだと言っていた。アンジェも一緒にいたがシルフィたちについて行かずこっちについてくることにした。
ー食堂ー
食堂にはまだあまり人はいなかった。とはいっても父さんと母さん、後は知らない人が数名椅子に座っていた。席は全てで9席あり、その内3席はすでに座っている人がいた。こうゆうときの作法は覚えている。入り口から一番近い席がアンジェの席だと思い、そこから上から4番目の人が座る席に座った。アンジュは次女らしいので長女がいるが俺の方が上だからだ。この世界は男性有利だからな。ちなみに対面にはソフィアが座り、アンジェはどこかわからないらしく、俺の右斜め前の席をだと言ったら、その席に座った。何も言われないし多分合っているのだろう。
席順はこうだ。
父
? 母
未 未
俺 ソ
未 ア
?のいちには年食ったオバハンが座っていた。多分母さんは側室であのオバハンが正室なのだろう。確かイザベラ?だったか。そして俺には2人の兄がいて長男がレイル、次男がマルクだったはずだ。それでレイルと同じ歳のエリスという姉もいた。ちなみにレイルは普通に実兄だがその他は腹違いだ。
それから少し待つと1人の少女がやってきた。多分あれがエリスだろう。金髪でポニーテールの碧眼をしていた。
「ありえない……」
彼女はこちらを見てから俺の右の席に座った。ありえない?なんのことだろうか?服装の話か?それならもう用意してあった服に着替えたしアンジュも着替えてたぞ?
またそれから少し経つと次は続けて入ってきた。レイルとマルクだろう。レイルは青髪で赤眼だった。マルクは碧髪と水眼だった。2人はこちらを見ずにそのまま席に向かっていった。
席は整理するとこんな感じになった。
父
イ 母
レ マ
俺 ソ
エ ア
みんなが座ってから料理が運ばれてきた。肉系の料理が中心だった。食べたことも見たこともない料理もあって食べ方がわからなかったがそうゆうときは執事やメイドが教えてくれた。
俺は食べながらソフィアとの問題をどうするか考えていた。というかそれしかする事が無い。前の世界ではテレビを見ながら食事が当たり前で面白いテレビがあれば見入り食べるのが遅くなることもしばしばあった。しかしこの世界ではテレビなどあるはずもなく見えるのは中庭のみ。
仕事があると言っていたソフィアやアリスは見当たらなかった。新人いじめとかにあってないといいけど。まあ流石に…いやない…よな?まあないと思っておこう。
それから特に何もなく。夕食の後の今は屋敷内を探索中だ。風呂はもういつでも入ってもいい時間なのだが兄たちに会うのは少しいやだいぶ気まずい。性格とかも全くわからない上に兄達俺の存在を知っていたのだろうか?というかシルフィたちのことを連れてきて気分が悪くないといいのだが。まあ身内がいない時間ならいつでもいい。アンジュや母さんは女性だしな。1人で入ったほうがいい。
まあ貴族だから執事やメイドがつくと思うけど。まあこんな感じで誰もいない時間になったら教えてくれる洋室時に頼んでいる。そんなことを考えながら歩いていると怒声が聞こえてきた。確実に面倒ごとだと思うけど仮にシルフィたちが巻き込まれてたら嫌だし、怒声の方向に向かって歩いた。
『なぜ俺のものにならんのだ?!』
俺のもの…?おいおい穏やかじゃねえなあ。おそらくシルフィかアリスが絡まれてると思うけど。シルフィたち今日来たばかりだから目をつけられてもおかしくないからな。
見たところレイルとシルフィ、そしてアリスがいた。絡まれているのはシルフィっぽい。まあ貴族はおてんば娘的なアリスのこと好きじゃなさそうだしなあ。俺はむしろウェルカムだが。
「すみません、俺の連れが何か迷惑を?」
俺はそう言って割って入った。騒ぎは起こさないに越したことはないがそれでシルフィたちが迷惑がかかるなら別だ。
「なにお前の連れが俺のものにならんというのだ」
これは典型的な女性をものとしか認識してないやつか?まあけど既に結婚の約束しちゃってるしなあ。ここはあえて挑発的にしてみるか。それで怒るようなら器が浅い。つまり領主には向いてないってことだ。
「そんなことを言われてもなるわけがないでしょう?既に予約済みですので」
「なんだと?…そうかそれは済まなかったな」
驚いたような顔をしながら言った後、この場を去っていった。怒ってはないのかな?わからないなあ。
「大丈夫だった?」
俺がシルフィ達にそういうと2人が抱きついてきた。…ナニゴト?
「えっと…どゆこと?」
「実は…
なんと俺がきたのは絡まれてから30分ぐらい後だったという。なんでそんなに執着してるのに、なぜあんな簡単に離れたんだ?矛盾だよな?
「あっ…いた」
声がした方向を見てみるとソフィアがこっちにきていた。
「ん?なに?」
「何じゃないわよ。お風呂行きましょ」
は?はあああああ?!一緒に入るの?ありえなくない?
「いやそれはちょっと…」
「いいでしょ。許嫁だし」
ソフィアがそう言った瞬間シルフィたちの目の色が変わったような気がした。どこなく謝りたいような気持ちになった。なんでだろうね。
シルフィたちはソフィアのことを向き問いただした。その時にはもう抱きつかれていなかった。
「「どうゆうこと?!」」
「聞いてないの?実は夕食の前に話して許嫁になったのよ。領都に来てたのもそのためよ」
「え?じゃああたしたちとの約束は?」
ヘタレと思われても仕方ないが澪をこっちに呼び出すのが怖くなってきた。
「もちろん忘れてないよ。ただ貴族はこうゆうのがあるから許して欲しいなって」
「ん〜、じゃあ今回は許してあげる。次はないよ?それでいいでしょアリス?」
「私もそれでいいよ。次はないからねボラン」
「肝に銘じます。じゃあ俺は風呂入ってくるから」
「待って私も行く」
あっ…やっぱりソフィアは付いてくるよね。1人でのびのびと入りたかったなあ。まあ薄々無理なんじゃないかとは思ってたけど。
「じゃあ私たちもいいよねアリス?」
「うん、行く!」
ん?マジですか。
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