残響小歌

白木奏

青色のまどろみ

(一番)

A

白くけぶる街を見下ろし

迷子のようにたたずむ

行き先知れず疼く痛み

触れた指先に残る


B

絶え間なく蠢く人並み

息もできずに溺れる海

微かなぬくもりを辿れば

そこは青色のまどろみ


サビ

舞い落ちるように

昇る 昇る 昇る

逆さまの水面(みなも)に

映される真実あると


青色のまどろみに

包み込まれてたゆたい

喉を焼き焦がす餓え

満たされる時を待って……


(二番)

A

赤く燃ゆる空を見上げ

眩しさに貫かれる

掴めずに砕け散りゆく光

まぶたの裏を泳ぐ


B

とめどなく溢れるざわめき

孤独を嘲笑う耳鳴り

きらめく幻(まぼろし)振り切れば

そこは青色のまどろみ


サビ

駆け上がるように

落ちる 落ちる 落ちる

風になびく雲間に

安らぎの居場所あると


青色のまどろみを

歩が進むまま抱き込み

胸に突き刺さるトゲ

癒される時を待って……


※人類の進化を巡る矛盾と衝突を描いた作品を鑑賞して作りました。

上へ上へと進む人が、どこまでも堕ちていく話でした。

強欲や悪意に関わる容赦ない描写が多く、その描写で人目を引いている部分もあるのに、徹底的な悲観論で終わらせず、ほのかに光る善を守り通す構成に感動を覚えずにはいられませんでした。



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