†闇の教典:中二病予防接種†

滝川ヒロキ

ファントムの眷属

俺は他のヤツとは違う・・・


疼く。利き手では無い左手がさも別の生き物の様に暴れ出す。


さてはお前、宿主ボディを乗っ取る為に

死神が遣わせた闇の眷属であるな・・・?


俺は授業中、先生が黒板に向かってる間に

わざと呼吸を荒げ、腕に巻いてる包帯を

鬱血させるぐらいにギッチギチに巻き


指を不規則に折り曲げてワナワナ言わせてた。


心の中で俺の中のファントムが囁く。

「目覚めよ・・・!」だと・・・?

タナトスの呼び声が俺の胸を焦がす!


違う!俺は悪魔になんか、なりたくなぁーい!

隣の女子はドン引きだったがカッコいいと思ってやっていた。


先生は怖いので、黒板に向かってフェイントで

こっちをチラッと見てくる時があるので

俺の心の賢者†セイント・ブロッサム†の浄化の力で

深呼吸して体調を整える様に振舞う。


またいつ俺の中のファントムが囁き

身体を乗っ取りに来るか分かったモノではない。


「じゃあ田中、この法律なんて言うか、分かるか?」


俺は田中では無い。闇を飼う死霊の番人であるぞ?

と言いたい気持ちを堪える。


「墾田永年私財法です・・・グァッ・・・」


「調子悪いなら保健室いけよー」


俺は難しい言葉を覚える事が得意だったから

漢字テストや社会科は自然と身に着いていたのだ。


しかし、今日は†セイント・ブロッサム†の加護が効いているな。

俺は起立してる間に十字を切り、神に感謝した。

あの頃はそれがカッコいいと思っていたんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る