第4話

快晴の中、

全校生徒参加の遠足という名の写生大会

持ち物は画材と弁当


各々好きなアングルで絵を描く


お昼のお弁当のこともあり、割と皆グループ行動だ

ふらふらと瑛太1人、またどこかに行った


鉛筆で下書きをする人も居れば、いきなり絵の具を塗り始める人も居る


弁当の時間になり、1人行方知れずだった瑛太が戻ってきた


友達に定規を持ってないか聞いている


画板の絵をこっそり覗き見たが直線がたくさん描かれている…

動物でも植物でも無い

縦に長い線とみっちりと短い線、そして横線のみ



また何か面白い物が見れそうだ



4時までの滞在時間、2時までに大まかに描き上げたら後は自由時間だ


何人かで動物園の方に行くことになり、園同士を繋ぐエスカレーターに行った


長い階段横のエスカレーターを降り切ったところに、通行のギリギリ邪魔にならないところで瑛太を発見した


ずっとエスカレーターの動きと格闘している…




帰りの時間になり、画板ごと先生に預け、バスに乗り込んだ


瑛太が乗り口で先生と話している

絵と瑛太の顔を驚いた顔をして2度見している

まだまだ先生は瑛太の良さを知らない



次の日の美術は昨日の仕上げ時間となる

2時間繋ぎの美術の授業が終わり、教室の後ろに絵が貼り出された




タイトル「緑」


まだほとんど人が居ない時に描き始めたからだろう

人は描かれておらず、長いエスカレーターがドンと配置され、踏台面と踏台面の間に薄っすらと見えてた緑の光が描かれている


シュールな絵面だ


瑛太はあの安全のための緑に光る部分がお気に召したらしい

そして至って本人は真面目だ

決してふざけて描いたわけではない





私は決して嫌いでは無い



瑛太は今日も面白い

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