第29話 罰を受ける者~その1~ パトリシア視点(3)

「このように――。呪いを『利用』してしまっただけでも、こういった代償を負う羽目になるようです。……皆様は、こんな苦しみを味わいたくはありませんよね?」

「「「「「ええ……(はい……)」」」」」


 メラニー様と9人に起きた出来事を、その目でしっかりと見ていますので。テオドール様に問いかけられた参加者の方々は、全員が即座に肯定されました。


「彼女達と同じ道を辿りたくないのであれば、決して真似をしない事です。相手を下げるのではなく、自分を上げる。嫉妬などに費やすエネルギーは全て、自身を高めるアクションに回しましょう」

「「「「「は、はい。はいっっ!」」」」」


 先ほどの理由で、また皆様は即答。参加者の方々のお顔には、確かな意思が宿っていました。


『ですが父上、それは今回で終わりとなります。今後はもう、こんなループは起きませんよ』

『ああ、そうだな。次期当主殿は、どこまでも頭が回る男だよ』



 こうして多くの方々に末路を見せ、理解させ、ここで起きたことを噂として広めてもらう。こちらが先日、ブロンシュ邸で仰られていたこと。

 テオドール様は悲劇を繰り返さないよう、意識の改革を行われたのです。


「先ほどあとでお伝えするとお約束しておりました、『もう一つの代償』『恐ろしいもの』。それは、こちらとなります。……皆様、ご清聴感謝いたします」


 こうしてテオドール様のお話はお仕舞いとなり、全てが終わり――とは、なりません。


「ぶっ、ブロンシュ様っ! ブロンシュ様っっ!!」


 この声の主は、ふっくらとされた男性。メラニー様のお父様でありクーレル家当主であるサンデルン様が、血相を変えていらっしゃられました。

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