改めて君が嫌い

 本人を前にして言うことじゃないかもしれないけど、この際だから言うよ。


 僕は君のことが嫌いだ。君と知り合ってまず最初に思ったよ、なんてマイペースな人なんだと。いつも気が急いている僕の肩を「まあまあ」なんて呑気に言いながら叩く君。肩からどっと力が抜けていくよ。


 それから食の好みも正直あんまり合わないよね。君はしょっぱい卵焼き、対して僕は甘い卵焼き派だ。これはだいぶ議論したね。白ごはんだったら君はかため、僕はやわらかめ。麺類の中で君が一番好きなのは蕎麦、僕はそうめん。


 ほら、こうやって羅列すると相性の悪さが分かるだろう?だからもう、僕たち、離れたほうがいいんじゃないかな。


「…趣味悪いね。あとめくり忘れてるよ」


 壁に一瞬視線を飛ばして、呆れたように彼女は言った。その反応に慌てふためく彼。四月のとある日の話。

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