マクドナルドにて

「僕、夏目漱石の上位互換なのかもしれない」


 意味が分からなすぎて、つまんだポテトを指から落としてしまった。


「世紀の文豪より、自分のほうが優れていると…?っていうかそもそも理系でしょ君」


「文理は関係ない。でも確かに傲慢な発言だった。じゃあ、令和の夏目漱石」


「あの、結局何が言いたいの…?」


「僕はいつもダブルチーズバーガーを食べるんだ。でも今日はこっちが良かったんだ」


「うん、珍しいなと思ったよ。なんか私の分まで同じの注文されちゃったし」


「君と月見バーガーが食べたかったんだ」


 ああそう、とコーラを啜りながら返事をする。呆れ顔の君。私は君が爽健美茶を飲んでいることに呆れているよ。


「そっちこそ文系なんだから現代文と英語は得意分野だろう?頼むよ、僕の一世一代の台詞をそんな適当に流さないでもらえるかな」


 突然気付く。手の中には、欠けている月。

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