第六話 ー呪いのゲームー

 泥のような混濁の眠気から現実に引き戻される際のある一種の衝撃。それを感じた西野は、自身が暗いオフィスの、自分の席に座っていることを知覚した。名もさほど知られていないゲーム会社だ。

 目の前にはデバッグ作業で彼が一日中睨んでいたコンピューターが見える。暗闇を映す故、画面は一面黒く染まっていた。

 自分は確かに自宅の玄関のドアを開けたはずだ、と西野は自分の行動を回想した。ここ数日のデバッグ作業による疲労に包まれた身体は、玄関のドアを握る感触をしっかりと憶えていた。

 その後を思い出そうとしていた時だった。コンピューターに据え置きされているスピーカーから、男、女、子供の声が流れ出したのだ。様々な声が混合して響く様は西野に恐怖を突き落とした。身体は動かない。異様な恐怖が関節にロックをかけたのだ。その視線は何故かコンピューターの画面に注視するように動いた。

 その画面には、血塗られた顔のようなものが無数に映し出されていた。目はどれもくり抜かれているようで、その部分は黒く影ができていた。

「あ、………あぁ………!」

恐怖で塗り固められた身体から、かろうじてそんな声がでた。ただ単に声帯を震わせただけ。そんな声だった。

 それからほぼ間は置かなかった。その無数の顔が画面をすり抜け、高速でこちらに迫ってきたのだ。

 真正面から衝突しているからか、すれ違いざまに皮膚に噛み付いたからか、判別のつかない痛みを絶叫の中味わった西野はその身体を椅子から落とした。見開かれた目はみるみる赤い液体となって溶け出し、目の下に血の涙のような跡を残すだけだった。





 「こぉれ、見てくれよ」

岡本は興奮気味になると何故か声がねっとりとした感じになる。その特性を見抜いていた匠海と伊藤は、これはただの話題ではないことを見抜いた。

 岡本は両手で細長い長方形のパックの両端を持っていた。ゲームソフトのパッケージだ。その上の方には赤文字で『オンネンノイチマイ』とタイトルが書かれていた。黒い床か机に置かれた写真から黒い髪で顔面を覆った女の幽霊がこちらに手を伸ばしている。それらから、ホラーゲームだと推察できた。

 「あ、これ知ってます!呪われてるゲームですよね。実物あったんだ……」

伊藤が口を開く。ゲームソフトに対する匠海の感想もまた、伊藤の言葉に集約されていた。それに岡本は呼応するようにフィンガースナップを一発響かせた。

「その通りだよぉ。ネットオークションでやっと見つけたんだ」

 『オンネンノイチマイ』。主人公となったプレイヤーが心霊写真にまつわる事件に巻き込まれてゆく、というゲームだ。それだけならいいものの、ゲームで使われる心霊写真というのが、実際に撮られたものを使用していると公式が謳っていたのだ。その呪いか、制作の時点でスタッフの病気や怪我といったトラブルが起き、果ては、デバッグ作業を行っていたプログラマーの『西野誠人にしのまこと』が原因不明の謎の死を起こすという事件まで起きてしまった。

 呪いは制作サイドで留まることはなく、このゲームをプレイして、難関ステージとされている第七ステージをクリアしたプレイヤーは、失踪してしまう、という都市伝説まで語られるようになった。実際、このゲームの実況をしていた動画投稿者は第七ステージの実況動画を上げた後、一切の更新を止めてしまった。これに似た例は割と多く存在する。

 その後、大した売上も出さぬ内にゲームはひっそりと棚から姿を消した。公式の説明は無論ないが、上述の怪奇現象が起因しているのは誰の目にも明らかであった。

 市場に僅かしか出回らなかった半ば都市伝説のようなゲーム。それを手に入れるには、相当の労力と財をかけねばならない、という事は想像に難くない。匠海は改めて岡本に感服した。実物を視界に収めた感動の延長線上の出来事でもあった。

 「でさ、俺がこのゲームプレイして、グルに進捗状況とか送るからさ、これを今度のオカルト研究にしようぜ」

岡本はソフトをしまい、そう提案した。

「今度は人食い怪物みたいにボツにならないはずですね」

伊藤の言う人食い怪人とはネクロのことを指すのだろう、と匠海は思考した。確かに匠海もネクロの研究などはやりたくなかった。それに、この手の都市伝説の真相を確かめられるというのは彼にとっても本望だった。自分でプレイするのは少し気が引けるが。

「呪いの正体突き止めるぜ!」

岡本が立ち上がり、ガッツポーズをみせた。

「俺達に呪いを撒き散らすんじゃないぜ」

愉悦と興奮に顔が歪む。皆、同じ顔だった。匠海もそうだった。





 その夜、早速グループラインに岡本からのメッセージが投下された。

『とりあえず第一ステージと第二ステージクリア。特に問題ナシ』8∶32

 一気に二ステージも攻略するのか、と進捗状況は意外にも早かった。

『結構ホラー強いですか?』8∶35

『雰囲気すごいよ』8∶36

『もうちょい進めるわ』8∶36

 ここで会話は一旦の終息をみせた。





 歩道橋は深夜であってもオレンジ色の街灯に照らされており、視界は良好だった。そんな刃の視界には四人の男が映った。男の一人が他の三人のやや前方に立っていた。右に一人、左に三人という構図で男は向かい合っていた。

 三人の男の目は虚ろで、心ここにあらずといった感じだった。男に操られている様にも思えた。

 何処か異様な雰囲気に足を踏み入れた刃に、右のサングラスの男は視線を配った。

「あなたも、僕のゲームを遊んでくれたのかい?」

「そんなものは知らん」

男の問いかけに刃は無愛想に答えた。男は首を引いたが、刃の返答を理解したようだった。

「自ら近づいてくれるとはね。こちらとしてもありがたいよ」

 一息ついた後、サングラスの下、いや、目玉がある辺りから触手と思わしきものが生え出てきた。

「丁度いい。君も僕とともに働いてくれよ!」

伸びる触手。それを刃は、的確に拳で払い落とした。

「こいつ……ネクロだな」

「確かめるまでもない!」

ノウンの一言に間髪入れず、刃は答えた。

「霊装武士か。厄介だな……」

男はその言葉とともに指を鳴らした。すると、控えていた三人の男の姿が同じネクロの姿に変わったのだ。

「野良ネクロか……」

 野良ネクロ。この世でネクロと化する魂が降り立つ場所とされている『霊界』に生息するネクロだ。

 だが、将来魔念となる人の負の感情を強制的に魔念として覚醒させることにより、その人間を触媒としてこの世に現れることができる。魔念の覚醒のイグニッションキーとなるのがネクロの血であるため、ネクロの血を持つものは、負の感情を持ったときにネクロと化する危険性があるのだ。詩織が青い霊装武士に狙われる由縁もここにある。

 ざらついた吐息を上げた野良ネクロは刃に襲いかかった。指先の鋭い爪を回避し、拳や蹴りを加える。しかし、一体の野良ネクロが刃の首元を掴み、歩道橋の端の柵に刃の身体を押し付けた。窒息の苦しみの中、刃はその場を去るサングラスの男を目にした。

「くそ、待てッ……!」

刃の静止は届かず、顔面に蹴りをくらった刃は柵を飛び越え、道路に落下した。しかし死ぬことはなかった。

 刃の着ているロングコートには、霊力が込められており、あらゆる衝撃を大幅に緩和することができるのだ。霊力が弱まっているときは痛みを感じることもあるが。

 痛みに耐えつつ起き上がる刃。その目の前には野良ネクロ。

 走り出す野良ネクロ。

「霊装!」

寸暇も置かず蹴りを入れる。そのモーションに合わせるように鎧がまとわりついていく。蹴りがヒットするときには、全身が暁の鎧で覆われていた。

 迫る相手に合わせたカウンターキック。野良ネクロは黒い灰のようになって消滅した。残りの二体は追ってくることはなかった。





 朝のホームルームが始まるおおよそ十分前。席に教科書類の入ったリュックサックを置いた匠海は自身の後ろの席に相当する席に座った岡本知に目をやった。

「あぁ………富永か。よぉ………」

やたらと疲弊しきった弱々しい声を岡本は上げた。疲れているというか、精神的に参ってしまった、といった感じがした。

「おい………寝てないの?」

異様な岡本の雰囲気に匠海は引き込まれつつ質問を投げた。

「あのゲーム………意外とハマっちゃたさ、気づいたらほとんど寝れてなかった………」

いまにも閉じそうな瞳を擦りながら岡本は答えた。一日寝てないだけで、成る様とは思えないような疲弊ぷりにも思えたが、匠海は詮索する気が起きなかった。

 「へぇ………ちょっと寝よ……」

岡本はその言葉を残し、机に突っ伏した。どうも匠海には岡本がいつもより一回り小さく見えた。これが怨霊の呪いによるものだとしたら、相当マズイ、そんな考えは岡本との会話の数分後に匠海の思考に思い起こされた。





『第三ステージクリア。意外と難しい』7∶21

『第四ステージクリア。ナンカ楽しい』8∶34

『進めるの速くね』8∶35既読2

『おもしろいんだよなこれ』8∶36

『今度僕にも貸してくださいよ〜』8∶38

『第五ステージクリア。やばい。難しい』10∶42


 弱々しい岡本を見た夜。昨日と同じように報告メッセージが投下された。メッセージ横の時間表示が示すように、第五ステージ攻略までだいぶ時間がかかったようだ。だが、順調にゲームを進めているあたり、この企画に対する情熱を垣間見ることができた。






 翌日は授業がないため一日まるごと休みだった。ひょっとしたら、あの疲れようは休日前故に一週間の疲れが一気に出たまでのことなのではないか、と匠海は考察できた。未だ連絡は一切来ていない。

 喫茶店の手伝いを終えた夜、匠海はグループライン上のやり取りの中の異常に注目することとなった。


『ナンカ、ずっとドコカカラしせんをはってる感じる。イチニチヅツ強くなってる。サむイ』9∶38

『だいろくすてーじくりあなんかつかれたでもやらなきゃ』10∶43

『マズイシニソウダジブンガジブンジャナクナルタスケテ』10∶50

『いれなかれ。もる殺し止ま手。いならがぬ。死』10∶51


 片仮名、平仮名、漢字が変な混ざり方をした文。平仮名だけ、片仮名だけ、そして、謎の文。

 異様さにいち早く気づいていたようで、伊藤が個人チャットにて連絡を入れてきた。


『なんかやばいですよね先輩』10∶53

        10∶53既読『ふざけてるのか

              な?』

『そんな感じしませんけど』10∶54

        10∶54既読『だよな』

『なんか、僕の個チャに廃車置き場って先輩から送られてきたんですよ』10∶56

        10∶59既読『行ってみる?』


 廃車置き場は学校の近くに一つ。その場所を指しているものだと予想できた。正直危険なことに首を突っ込んでいることを感づいていた匠海だが、このまま岡本を見捨てるわけにはいかなかった。

 怯えながらも自転車で夜の道を走り、伊藤と合流した。

「また、こないだみたいになりますかね………」

伊藤は声を震わせた。

「ほんとにマズいと思ったら、すぐに逃げよう。安全第一だ」

匠海はそう言って置き場へと足を踏み入れた。

 山の如く積み上げられた車の影に隠れた二人は、少し離れた場所に人が大人数集まっている様を目撃した。同じく車の山の上にサングラスをかけた男が立っていて、群がる人々を見下ろしていた。

 その人の溜まり場に、男二人に両腕を抑えられた少年がやってきた。抵抗する素振りは見せず、ぐったりとしている。そして、その少年には見覚えがあった。

「岡本………」

小声で匠海は唇を震わせた。これが呪いの正体なのかと、鳥肌を浮かべた。

 「誰か……迷い込んだようだね……」

サングラスの男がやたらと大きい声でそう言い放った。わざと大きく声を放ったようにも思えた。気づかれた、と冷たい汗が背中をなぞり始めるのと同時に、ガタン、と後ろの車から物音が聴こえた。恐る恐る振り返る二人。そこには、車窓からこちらを覗く複数の男女の姿があった。

 声にならない叫びを上げた匠海はその場で腰を抜かしてしまったようで、起き上がることができなかった。伊藤も同様の状況下に置かれていた。

 二人は車から這い出てきた連中に捕まり、サングラス男の御前に放り出される形となった。その横には虚ろな表情の岡本がいた。

 「今から君たちは、僕の奴隷になってもらうよ」

男はゆっくりと呟いた。奴隷、と涙を浮かべた伊藤が反復した。

「ただ僕もそこまで鬼じゃない。奴隷としての苦痛は僕が取り除いてあげよう」

そう言い切ると、サングラスの下、恐らく目から触手が生えてきた。

「今、楽にしてあげる……」

ゆったりと近づく触手を妨げるものは何もない。着実なる接近。

 その時だった。バイクのエンジン音が一同の鼓膜を震わせたのだ。そして、黒いバイクが触手を轢き落とした。風圧で地面に投げ出される一同。這いつくばる匠海はバイクの上の人影を感知し、叫んだ。

「神崎さん!」






 襲われていた少年が、喫茶店にいた縄田匠海だと気づいた刃は

「早く逃げろ!」

と匠海に叫び返した。あ、はい、と応じた匠海は知り合いと思われる二人の少年を起こし、撤退した。少年のうちの一人はなんでこんなところにいるんだ、と素っ頓狂な声を上げていた。

 「また君か。そんなに僕が邪魔なのかい?」

山の頂上に立つサングラスの男が問いかけた。

「ネクロは邪魔だ。当たり前だろ」

刃は男を睨みつけ答えた。男は低い笑い声を出した。

「なら話が早い。君が僕を邪魔だと思うように、僕も君が邪魔なんだよ!」

 低い唸り声。それに呼応するように、男の下に控えていた人々が全員野良ネクロに変化したと思うと、黒い霧のような姿になり、男の口に吸い込まれていった。そして、男はやたらとでかい、ボロボロ死装束をきた髪の長い女の姿に変化した。

「ネクロ『ザダーゴー』。大量の魔念を吸って巨大化したネクロだ。気をつけろ!」

ノウンの忠告を挟み、霊装しようとした刹那、

「へぇ、なんか面白そうじゃん。俺もいーれてっ」

という一言に刃は振り返ることになった。目線の先には、廃車の山の上に立つ鈴鹿将暉の姿があった。

「お前っ……!」

刃が警戒心を混ぜた声を出した。しかし、笑みを崩さず将暉は応じた。

「怒らない怒らない。たまには仲良くしてもいいだろ」

 そんな会話をしているうちにも、ザダーゴーは距離を詰めてくる。

「奴に構うな。早く霊装しろ」

「わかってる!」

再び点滅したノウンに怒鳴りつけ、刃は右腕を上げた。

「霊装!」

暁の姿が現れた。

「よし、俺もやるか」

その様を満足そうに眺めた将暉は左手を顔の右側へとやった。

「霊装」

雅の鎧が身体に装着された。

 ザダーゴーが口から怪光線を放つ。五つに枝分かれした光線は車や地面に着弾。爆炎が上がる。

 それを回避し、キックを放つ暁。しかし、伸びた腕によって払い落とされてしまう。

「うかつに近づくとこうなっちゃうのよねぇ」

軽く呟いた雅は車上から狙撃を試みた。電撃弾がザダーゴーにヒット。しかし、そのことで位置を知られた雅は、ザダーゴーの長い髪で身体を捕縛されることとなった。ザダーゴーの目前にまで引きずり出された雅。

「がぁッ………!ロングヘア…も、悪くないかも、ガハッ!」

身体を窮屈にしながらも雅は言い放った。更に目から生え出た触手の打撃を受ける。しかし、横ばいから出てきた暁の斬撃によって雅は開放された。暁は不思議な身震いを見せていた。そう、自らの躊躇いを解除した後のような。解放感に身を委ねていた。

「へぇ、助けてくれるんだ。意外だな」

雅の言葉に暁は応じなかった。

 「お前達は、そうやって僕の邪魔をする!祓いもしていない幽霊の写真を加工しろなんて、ゲームのディレクターどもは言った。そしてそれをやってみたらどうだ、たくさんのスタッフが怨念に苦しめられることになって、僕は霊に呪い殺された。誰もそんなことやりたくはなかった。でも、あいつは!僕たちにそれを強いた……」

ザダーゴーが地鳴りのような低い声で語りだした。そこには悲痛の色も見えた。

「許せなかったんだよ………弱ったまま死ぬなんて。だから!ゲームに仕掛けた呪いで集めた奴隷達と共に奴を殺したいんだよ!僕の時と!同じ様に!」

叫ぶ勢いそのまま、ザダーゴーは怪光線を照射した。なんとか回避する暁と雅。

 そんなザダーゴーの目を見つめ、雅は一言放った。

「復讐か………俺と話が合いそうだな」

その言葉の後、いつの間にか手にしていた暁に向かって黄色い折り紙のようなものを投げつけた。紙は空を舞う際に小さく折りたたまれ、暁の霊刀に張り付いた。その刹那、霊刀が光に包まれ、背丈の二倍はある巨大な剣へと変貌した。

 「何だこれは?!」

驚愕する暁の後ろで、雅は答えた。

「そんな奴に殺されちゃ溜まったもんじゃないんだよ。俺の知り合いの霊道士に感謝しろよ」

 雅の発言の後、雄叫びとともに、ザダーゴーは怪光線や髪を発射した。それを巨大剣で防御する。その後ろで跳躍した雅はザダーゴーの額めがけ雷電閃光射を放った。見事ヒット。ザダーゴーの全身に稲光が走る。

「動きは止めた。早く決めろ」

雅が催促する。

「わかってる!」

そう叫んだ暁は巨大剣の先を自身の後方に動かし、飛び上がった。剣は炎を帯びている。

 近づく距離。そして

「てりゃぁぁぁぁぁッ!」

炎の剣がザダーゴーの腹を真っ二つに切り裂いた。

 着地し、剣を振り下ろす暁の背後に巨大な爆炎が映えた。






 あの夜以来、岡本の身に変なことが起こることはなくなったという。グループラインに投下された謎の文面はもう二度と見れなくなっていた。岡本がメッセージを削除したという趣旨のアナウンスが見られなかったので、あり得ないが、自ら消えたと考えるのが妥当だと思えた。

 オンネンノイチマイのゲームカセットもなくなっていたらしい。岡本曰く、一応部屋を一通り探してみたが見つからなかった、とのことだった。

 極めつけに、そのゲームに関する噂の書かれてあるスレッドやサイトなども見当たらなくなってしまったわけだから、ゲームに関することやあの夜の出来事は全て夢だったのではないか、と匠海には思えてしまった。あまりにもベターかつ直接的すぎる恐怖体験は、かえって実感が湧きづらい。

 そんなことを考えながら匠海はクラスの席にリュックサックを置き、教科書を取り出そうと中身を漁った。

 黒く淀んだゲームパッケージの中に入ったやたらと小綺麗なゲームのカセット。赤文字で書かれた『オンネンノイチマイ』。

 それが自分のリュックサックに入っていることに匠海が気づいたのは、丁度その時だった。

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