第51話 叙勲
――哀れな元王子が泣き叫びながら連れていかれた後。
「アトラス君、息子が迷惑をかけて本当にすまない」
王がアトラスの元へやってきて頭を下げた。
「い、いえ!! そんな!」
この国で一番偉い人間が自分に頭を下げているという異常事態にアトラスは動揺する。
「そして君がいなければ、街は大変なことになっていただろう。本当にありがとう」
「……そんな……。でも、すみません、王室の魔剣を砕いてしまいました……」
「いや、あれはもともと壊したかったものだったのだ。しかし強力すぎて手が出なかった。それを君が砕いてくれたのだ。君のおかげでこの国の憂いが一つなくなった。本当に感謝している。君はまさにこの国の英雄だ」
王から続く絶賛の嵐に、もうアトラスはただ顔を赤くして俯くしかなかった。
――そして王の口から最後に出てきたのは、誰も予想していなかった言葉だった。
「アトラス君、近々正式に打診するが、君にはぜひローレンス騎士団のナイト爵を授与したい」
「な、ナイトですか!?」
生粋の平民であるアトラスはナイトという言葉に思わず声を上げる。
ナイト爵は、平民としては最高級の称号である。
「当然のことだ。王都を救ってくれたのだからな」
アトラスは挙動不審に周りを見ると、妹ちゃんの顔が視界に入ってくる。
「サーお兄ちゃん!」
「さ、サー……!」
アトラスはずっと目をぱちくりさせ続けたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます