夏が燻る
紺藤 香純
第1話
エアコンは苦手だ。
正しくは、エアコンが効いた部屋で休むことが苦手だ。
だから平岡青年は、窓を全開にして扇風機と氷枕を使って就寝している。
社会人になって3年目。大手飲料メーカーの長崎営業所から高崎営業所に異動して、4か月。真夏の就寝スタイルは変わらない。
窓全開に扇風機と氷枕でも寝苦しいときは、半裸になる。全裸にはならない。ノーパンなんて論外だ。平岡青年は、良識ある好青年で通っているのだから、そのくらいの分別はある。
すっかり温かくなった氷枕をどかし、寝ながら脱いだTシャツを丸めて頭の下に入れる。
寝苦しい。
頑張って6時まで眠り、平岡青年は気づいた。
今日は休日だ。
休日だ!
休日だ!
ばっちり目が覚めた。疲れは多少残るが、ほどほどに気持ち良い。
平岡は起床から30分以内に朝食を摂り、ストレッチで体をほぐしてからラジオ体操と自衛隊体操を行った。それから、高強度インターバルを10分。
8時近くになり、アパートを出ると、ランニングがてら目的地へいそいそと向かう。
油蝉の鳴き声とコンクリートの熱が筋肉を刺激する。じりじりと肌を焼くような日光が、心地良い。
夏の休日の始まりだ!
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