第5話 ゆとりを持った計画を
当たり前のことだが、余裕のある計画を立てれば、物事はスムーズに進むようだ。
今日は遅い出発。夜更かしと連日の疲れで10時に起きた。キャンプのために買っておいた朝食を食べ、出発。外に出ると軽く雨が降っている。昨日の夜よりはだいぶまし。それでも一応レインコートを着ていく。もう全身濡れ鼠にはなりたくない。
青森市街から国道103号を通って十和田湖へ向かう。どうやら八甲田山を通る道らしい。走っている途中に気が付く。何もない山道だと思っていたが、ホテルが大量にある。ゆっくり走る乗用車や観光バスが多い。親切な人が多いのか道を譲ってくれる。ありがたい。
山を下っていると滝を見つける。立田の滝。道沿いに何気なくあるが、中々に迫力がある。雨のおかげで水量が増えているからだろう。そういえば、梅雨明けに行った富士の白糸の滝も迫力があった。やはり雨の時期は滝を見るに限る。
国道102号に入る。この道は奥入瀬渓流沿いを走ることができる。昨夜の雨の影響か、川は濁っている。道沿いから見えるいくつかの滝も水量が多い。湿った空気、雨に濡れた木々。渓流沿いは爽やかだ。それでも周囲の山は深く、今にも人知の及ばないナニカが出てきそうな雰囲気がする。確かに天気は雨だが、逆に東北の神秘性を感じられる。
観光客も沢山いる。天気は小雨だが、歩いて渓流を散策するのも面白そうだ。しかし、昨日の後悔がまだ残っているので、少なくとも今日は思い付きで行動しない。今からバイクを降りて散歩なんてしたら日が暮れてしまうだろう。
奥入瀬渓流を満喫しながら道を進むと十和田湖が現れた。雨が上がった。移動中は雨で、目的地に着くと天気が回復する。なんだか今回はそんなことばかりだ。きっと天気の神様がサービスしてくれているのだろう。
十和田湖遊覧船の発着港である子ノ口港から十和田湖を一望する。想像していた倍くらい大きい。まだ空は曇っているが、湖水は青々としている。遠くに見える山はまだ霧がかかっている。十和田湖も雄大さの中に神秘性を感じる。美しい。これならば十和田湖一周も楽しいだろう、と思って一周を始めたが、すぐに山の中に入る。あまり湖が見えない。山の中なので霧がかかっている。寒い。ツーリングまっぷるには、「十和田湖一周はおすすめコース!いろんな顔の十和田湖が見られる」なんて書いてあったが、本当だろうか。
十和田湖の南側に抜けると天気が好転する。また雨が止み、太陽が顔をのぞかせる。展望台から中山半島が見える。青々とした湖の上に緑の森が浮かんでいる、幻想的な光景。この光景を見れただけでも、十和田湖に来てよかったと思う。
十和田湖には満足したので、盛岡へ向かう。山を下ると、また雨が降る。この道は落ち葉だらけで、走るのが怖い。何度かこけそうになりながら国道4号にたどり着く。そこから順調に盛岡へ到着。結構暑い。青森の温度は20℃前後、盛岡は5℃程高い。やはり、同じ東北地方でも北に行くほど涼しくなるようだ。
今日の宿はユニゾインエクスプレス盛岡。ホテルを見つけるが、しかし駐車場がない。入り口も見当たらず、ホテルのあるブロックを3周する。見つからない。ネットで調べると、線路の下の道から入れるらしい。道がわからないはずだ。初見ではたどり着くことなんてできないだろう。
今日は順調だった。天気もどうにかなったし、良いツーリングだった。やはり、計画を立てると上手くいくらしい。明日の計画も立てる。まず、朝に出発して宮古でウニ丼を食べる。その後は海沿いを南下する。そして内陸に入り鬼首でキャンプする。明日は晴れるらしい。絶好のツーリング日和、キャンプ日和になるだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます