十の切望 vowtista様作

十の切望 <挿絵あり> 〜史実IF×兵器×異能力×人間ドラマ〜 第二次世界大戦時、ドイル国が保有する異能力組織に入団した主人公は、”戦争を終わらせる”ために戦う


【あらすじ引用】

「まさか・・・本当に・・・・」



 スクルドは見た。

夕闇空に輝く星に紛れるように銀色の輝きを放つ”それ”は、普通この町の上空を通過するはずのないものだった。


 町の遠くで爆発が起こった。

機体は小さな黒点を産み落としていく。


 育った町が火の海と化すのには、そう時間はかからなかった。




————————この物語は、戦争を憎み、戦争を淘汰するために戦争をする、一人の少年の戦記。





 【十の切望】は、現実世界の第二次世界大戦時を背景とした、

兵器×異能力×人間ドラマ×史実IF作品です。



 ヨーロッパに中央に位置する国、ドイル国に本部を構える異能力組織、”パツィフィスト”。

数奇な運命からパツィフィストに入団した主人公スクルドは、戦争の早期終結のために戦争に加担する。


 パツィフィストに所属する能力者達は、一人では抱えきれなかった凄惨で壮絶な過去がある。

戦争を、敵国を、理不尽な仕打ちを、兄弟を、親を。

それぞれが抱える憎しみの感情は、”ユヴェン”という異能力のトリガーとなり、力を授かった。



 そんな彼らが心の底から叶えたい切望は、この醜い世界をどう変えていくのか・・・。


【良いところ三点】

1*登場人物が生き生きとして描かれている。

冒頭の方が台本スタイルなのが少し気にはなるのだけれど、話の流れはとても巧いと思う。

プロローグにあたる部分は悲しい場面ではあるのだが、それぞれが必死で生きていると感じる、セリフ回しが印象的。彼らの日常が、目に浮かぶように詳細に描かれているのも良いところだと感じた。


2*情景や心情などモノローグ部分が巧いと感じた。

主人公の切羽詰まった感じや、臨場感が出ている。本編に入り、幸せからのどん底。そこから目的を持ち変わっていく主人公達。この先の戦いはきっと過酷なものになるだろうと想像がつく。走る途中での光景や、その時の心情。彼らが悲しみに遭遇した時の行動。リアリティを持たせてあり、主人公達と同じように絶望を感じてしまう。きっと彼らにとってホントに大切なものだったのだということが伝わってくるのである。


3*理由に納得してしまう。

復讐は良いことではない。しかし、復讐したくなる彼らの気持ちは痛いほどわかる。

そして、彼らが戦略的に動くのがとても興味深い。二転三転する出来事。スピード感のある物語だと感じた。しかしながら、その中で誰が敵なのか? 目的が何なのかのも分かって来る。そして彼らがこんな目に遭ったのは何故なのかも。初めは騙されてしまうのではないかとハラハラするものの、主人公が聡明な為、かなり面白いストーリーだと言える。彼らがもう一人の家族に再会できるのか、気になる部分だ。そして新たに出逢った人たちは味方だと言うが、彼らの正体は一体なんなのか? この先の展開が楽しみである。

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