ルナティック・ブレイン 【ー特殊殺人対策捜査班ー】前編 橋依 直宏様作
【あらすじ引用】
2042年、国民全員を監視し、犯罪者を事前に予測しマーク付けをすることによって、世界一もっとも安全な国となった日本。
殺された父の復讐から刑事となった三輪蕗二は、念願の警視庁へ異動する。しかし、そこで待ち受けていたのは、蕗二最大の敵≪犯罪者予備軍・通称ブルーマーク≫だったー。
人は、なぜ人を殺すのか。
誰も口にしない人間の真の恐ろしさと狂気を≪ 視る ≫。
その答えを知ったとき、あなたは目を背けずにいられるか。
連続殺人を史上最速のハイスピードで解決に挑む、超臨場型刑事小説。
ここで描く事件、悲劇、未来……全て【あり得る】!
【良いところ三点】
1*この物語は”人は、なぜ人を殺すのか”ということを暴いていく。もしくは解いていく。それは真理だと思われる。ここで面白いのは、理由が分かっても犯罪はなくならないという事。
理由が分かり犯罪を完全に抑制できるとしたら、捜査官というは要らなくなるはず。
なので面白いことに、理由が分かり犯罪者予備軍をあぶり出したり、人間を監視しても犯罪はなくならないという結論が出ている。では、なぜこういう背景なのか?そこに秘密がある。意味に気づいた時にやけます。ほんとに設定が面白いです。
2*硬派であり、本格派でもある。しかしながら真面目一辺倒というわけではない。ちゃんと笑いも含まれるのである。つまり人間の人間らしい日常を、垣間見ることができるということ。駆け引きもあるし、それぞれの性格も分かりやすい。登場人物の個性が際立っている。
人数が多く出ていても、読みやすく分かりやすいところも特徴。この物語は設定の都合上、登場人物が多くなることが予想される。登場人物が多くなれば、漫画やドラマなどとは違い、行動などを表現するために地の文が増える。そして、名前を覚えならないという大変な部分もでる。
しかしこの物語では、そのような負担がないトコロも特徴。とても、書き方が巧いのである。
分からなくならないというのがとても凄いところだ。
3*正直、この物語の良さは語りつくせない。随所に”ミステリー”らしさというものが散りばめられている。本格派ミステリーを読みたいと思った時、ある程度の期待と好きな傾向というのがあるものだ。その中に”らしさ”も当然含まれる。この作品では冒頭に事件現場の様子などがあり、本編に入るとドラマでも御馴染みの場所が出てくる。
これはテンプレというのとは全く意味が違い、期待とワクワク感を醸し出す効果がある。テンプレというのは例えば異世界ものなら”トラックに轢かれて”などをさすが、それは定番の流れというもの。
場所というのは、何かがが起きると読者に予感をさせるもの。なので、期待感を高める効果があるとおもわれる。モチーフの使い方とタイミングが絶妙といっても良いのではないだろうか。
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