「スフィア」 朱音あすか 様作

【あらすじ引用】

惑星スフィア。

スフィアへの移住計画が始まって百年以上が経過した。


地球から最先端の技術が持ち込まれ、スフィアは目にも止まらぬ速さで発展した。

首都・スフィアシティを中心に人間が暮らしやすいように環境が整えられ、生活はAIによって管理されている。

そんなスフィアで暮らす人たちの様子を綴った連作短編。



伊澄は家族と離れ、ビオトープで療養生活を送っていた。

散歩中に森の中でみつけた廃墟で少女・アリサと出会い惹かれていく。

わたしはきっとふつうの人間じゃない、と告げるアリサと廃墟はある日突然消えてしまう。


伊澄の双子の兄・空弥はスフィアシティで伊澄のいない生活を苦しく思っていた。

つらい時はよく屋上へと足を運ぶ。そこで出会ったエディは不思議なひとだった。

空弥は本能に従い、家出をする。


【感想】005 05 雨と涙の絶対零度

レビューでは前の方を拝読させていただくので、なるべく後ろの方をと思ったのですが、こちらの小タイトルに惹かれてしまいP5を拝読させていただきました。まずどの小タイトルも大変、魅力的。ページを開けると、雨というキーワードが目に入る。これは主人公にとって大切な何かなのだろうと感じた。そわそわしたり、心ここにあらずと言った部分の表現、行動描写がとても巧い。読んでいるだけで、目の前に彼が居るかのように錯覚した。ここで、一緒に居た彼がとても素敵なことを言っている。ネタバレになるので書くことは出来ないが、それによって突き動かされる主人公。流れがとても自然であり、心の動きは丁寧かつ想像しやすく、感情移入もしやすい。

気持ちの変化後は、清々しさを感じた。ここでまた巧いなと感じたのは、感情に対しての行動部分。人は、感情で行動も決まるもの。この物語では、行動から更に気持ちが伝わってくるところが素晴らしい。

例えば、ずぶ濡れでも気にしないくらい○○だ、というように。(この内容の意味は読んでのお楽しみ)

ここで、その後の展開も小タイトルに繋がっているのかと感じた。一体この後何が明かされるのか、とても気になる終わり方である。

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