2021’3/19~31
『長い夜』 文月伶架 様作
【あらすじ引用】
神域である山や森で、人が行方不明になったり、街や里からなんの前触れも無く失踪することを、ある者は「神の仕業」としてとらえた。 そして、現代。神隠しなのか、事件なのか分からない出来事が多発。 そんな中、ある一人の少女に巻き起こる恐怖の物語が始まろうとしている──
031 XXXI 魂の伝言
沢山興味を惹く小タイトルの中から、こちらを拝読させていただきました。
まず、小タイトルのつけ方がとても巧い。章があるので、一つの物語なのだと想像はしたものの、小タイトルを眺めると、どのように繋がっていくのかは予測不能。つまり、読んでみなければわからないという事であり、読んでみたいという気持ちを誘うものであると感じた。拝読させていただいた部分は、物語を読んでタイトルとの繋がりを感じるものである。なるほど、そういう意味なのかと。
この話に出てくる名のある人物は数名いるが、きちんと役割、役柄が分かりやすく、ここから読んでも内容が理解できる。冒頭の一文は、その一言で現在の状況が分かるものであり、後に続く描写からはどんなことが行われているのかも想像しやすい。全体的にとても読みやすく、この場面だけでも、これ以前になにが起こっているのかが想像がつくのだ。構成と表現力は素晴らしい。ある二か所の地点が同ページにあることが、最大限この話の魅力を引き出していると思われる。通常場面は一場面で一ページというものが多いように感じるが、タイトルを活かすためにもやはりこの構成が合っている。それは、突然このページから読んでも理解しやすいという事に繋がっていると思う。
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