第1話:目覚め
少女が病室で横たわっている
長く綺麗な白髪の少女だ
眼を開けた彼女はゆっくりと体を起こし辺りを見まわした
目の前に数名の大人が驚愕の表情を浮かべ少女を眺める
「險?縺」縺ヲ縺?k險?闡峨′蛻?°繧翫∪縺吶°?」
一人の白衣の男が言語を発したが少女は首を傾げ困惑を顔に浮かべた。
その後少女に白衣の者達はしばしの間話しかけ続けたが少女が応答することは無かった。
白衣の者達は医者だ。急患として運び込まれた少女を多額な報酬から天引きする形で治す為十分な治療を施した。それでもなお彼女の意識は戻っているのにろくに反応を示さない。その為この医者達は困惑し処置を考えているのだ、多額の十分な報酬と治療を施してそれでも何故か意識が戻りませんでした。と言うのを防ぐためだ。
少女は考えていた、この者達はなんなのだろう、私は誰なのだろう?と。
少女は小一時間ほど複数の白衣の者達の話し声を聞き少しだが言語を理解することが出来た。この理解速度に一番驚いたのは少女自身だ、いくら何でもこんな短時間状況の把握に勤しんでもこんなに早く分かるだろうか?だが少女は現状そんなのはどうだっていいと思った重要じゃないと。
「ここは、どこ?」
たどたどしいながらも言葉を紡いだ。その言葉を聞いた白衣の者たちは驚愕を浮かべつつも直ぐに返答する
「ここは第三都市マガツの総合病院です、分かりますか?」
少女が首を縦に振ると白衣の医者たちは数名に指示を出してから少女に再度振り向き話を続けた。まずどこで倒れていたかと言うのとこの都市の情報だった。この都市の名前はマガツと言うカラサワ重工という企業が主導で都市整備を行っている、ここから西南に大分行ったところに倒れていたらしい。
少女は話を聞き内容の意味は分からないが大雑把な状況把握は出来た、ようはこの都市というのの少し遠くで倒れていたということだ。
そう言った話をある程度聞き終わった所で2人の男が入ってきた。一人はサイバースーツのようなものを着ておりもう一人はスーツだ。サイバースーツの男が代表のような形で話し始めた
「やぁ、初めまして。都市機構維持局広域作戦部のオオタと言う。よろしく」
「初め…まして」
「君は名前を覚えているかい?他には自宅とか」
少女が首を振り否定を示すとオオタと名乗った男とスーツの男は目配せしスーツの男が部屋を出て行った。
オオタが少女に向き直り近くにあった椅子に座り話し始めた。
「そうか、分かった。一応君は戦闘で死にかけていたらしいまぁその時戦っていたであろうモンスターが賞金が掛かっていてね、君には今回の治療費用を差し引いた金額を受け取る資格がある。君のほかには誰も居なかったからね」
少女にそう言うと札束を幾つか置いた、現金の束で10束程だ
「君の状況は聞いている、記憶喪失という物らしいね。わからないことはあるだろうが一先ず君が意識を失う前に金を受け取れるだけの事をしたってことさ。本来君はシーカー証を紛失しているから金は振り込まれないんだがな?ろくに物も残っていないが君は幾つか身分証を持っていたからなそれで金が渡せるってわけだ。大人の事情っていうのもあると思ってくれ?ぶっちゃけそっちがデカい」
オオタはある程度話すと一枚のカードを渡してきた、白く固いカードで質感はツルツルしていて硬く幾つかの文字が書かれている
「そいつは君の新しい身分証とでも思っておくといい。お前さんは記憶がないからな、前と同じと言う訳にも行かないから私からのサービスだ。それはシーカー証で君がランク1のシーカーであると言う証明だ、とは言ってもシーカーランク1なんてその辺の有象無象と変わらないがな。とっとと記憶を取り戻すか失ったまま鍛え直すかしてランクを上げると良い。一緒に張り付けた紙に君の家の住所が書かれているはずだ、退院したら行ってみたまえ」
「シーカー?」
白いシーカー証と呼ばれたものを興味深げに眺めながらオオタに聞くと説明を始めた
「シーカーっていうのは異界の異物を探して売る奴らの事だ、勿論それ以外もシーカーは請け負っている。主な仕事は異界の都市などが遺跡となった異跡にある異物を回収しそれを売却する事で収入を得るその道中で襲ってくるモンスターを討伐したりだ。モンスター討伐をメインでやる連中も少なくないな、何よりなるのには誰でもなれるし都市としても推奨している。ぶっちゃけ誰でもなれるから仮の身分作りにもちょうどいいからね」
「なるほど…」
「君の理解力には驚かされたが死んでは元も子もない、頑張りたまえ」
そう言ってスーツの男を引き連れ病室から出て行った
その場に残っていた白衣の男が一人着て幾つかの物品を渡してきた
「君の私物と思われるものだ、破損が酷いものは勝手ながらこちらで破棄させてもらった、君は様子を見る限り大丈夫だろうと言うことでもう少し様子を見たら退院だ、早ければ午後にはね。それまでに準備を行うと良い幾つか書物を個人的に選別として渡しておこう。暇なら移動中にでも読むといい。
最後に、君を完全に治すことが出来ず申し訳なく思う。君の治療費はその分割り引かせて貰っている。」
医師と思われる男はお大事にと去っていった。その後渡された書物を軽く目を通してから体の調子を確認しつつ備え付けられていた洗面所の鏡を眺めながら自身の姿を確認した。明らかに他の人間たちとは違う白い髪に赤い瞳。美人かどうかは興味のない少女はすぐに離れ読書に戻った。
退院までの時刻が差し迫りつつあったので衣服を始めとした物を購入する事にした。病院の中を興味深げに移動しながら売店を見つける。しばしの間眺めやり方を理解してから丁度そこに売っている服等をいつか見繕い購入した。
(衣服か、羞恥心なんてものは残念ながら私は前の人格に置いてきてしまった。とは言え変態と思われたくもない、大人しく着るとしよう)
一先ず自分の病室で着替えその後退院の準備を始める、準備と言っても服と一緒に購入した鞄にシーカー証等を詰め込むだけだ。
大量の現金の束を鞄に放り込み備え付けの鏡である程度おかしな所が無いかだけは確認し病室を出た。
「さて、行こう」
病室を出て通路を歩いて居ると病室に来ていた看護婦の一人に声をかけられた
「そうだったわね、もう退院だったわ。本当に貴女には驚かされてばかりね」
「やはり異常?」
「そうね、貴女のように記憶を失う人はそもそも稀だし居ても貴女の様な人は居ないわ」
「そう…」
「まぁ、貴女は賢いし何とかなるわ。それと貴女は顔を隠した方が良いわ」
「?分かった」
「それじゃあ頑張ってねノエルちゃん」
ノエルと呼ばれたその少女はその長く白い髪をたなびかせ歩き出した
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