第180話 投資委員会
――投資委員会
今回の10%10億円のような小規模の出資や設備投資について審議し決議を行う会議である。
CFOである田中副社長執行役員をトップとした委員会で、事務局は経営企画本部が仕切っていた。
真奈美は今回初めて、鈴木部長の補佐として山田とともに同席することとなった。
TV会議で片岡事業本部長以下事業本部のメンバーも出席している。
経営企画本部の佐藤本部長の司会で会議が始まった。
「では、本日の議題、宮津精密との資本業務提携について審議を行います。鈴木部長、投資内容を説明してください」
鈴木が説明を始めた。
会社概要、経緯、事業内容、事業計画、投資採算……
鈴木部長は、最初から推進派だったかの如く見事に前向きなプレゼンを披露する。さすがの百戦錬磨ぶりだった。
「……以上から、本件出資を御裁可賜りたく、ご審議よろしくお願いいたします」
質疑応答に入ると、田中CFOはいくつか質問を投げかけた。
これに対し、よどむことなくほぼ完ぺきな回答を返す鈴木部長。
(やはり、鈴木部長の本気ってすごいんだ……)
真奈美は鈴木の饒舌ぶりに感心していた。
やがて、質問も一通り終わると、田中が結論を述べた。
「私は内容は理解した。先日の経営会議でも異論はなかったし、反対する理由はない。ほかに意見があるものは?」
沈黙が続く。少しの間をおいて、佐藤がまとめた。
「それでは、賛成多数ということで、本件は申請通り決議とさせていただきます」
深々と礼をし満足そうな表情で意気揚々と退室する鈴木とともに、山田と真奈美も会議室を後にした。
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