第38話 すんなりOK

 次の日の朝いちばん――


『すごい完成度。お見事。ありがとう』


 山田の素直な驚きと感謝のメールが返ってきた。


(やった!!誉め言葉だけのときは『罠』の可能性が高いけど、『感謝』の言葉があるときは素直にうまくできたという合図なのよね)


 真奈美は自分の席で小さな両手ガッツポーズを決めた。


 そしてメールに添付されたファイルを確認する。

 語句や表現の修正がいくつか指摘されていたが、大きな修正はなかった。

 ひとつだけ、ページ追加のアドバイスがあった。


『MA推進部として、今回のプロジェクトに対してどのようにとらえているか、そして留意点などをまとめたページを1枚あると説明しやすいと思うよ』


 そしてページ追加修正も完了。あとは明日に向けて資料を印刷しておくだけだ。


 真奈美がコピー機で印刷しながらホッチキス止めを始めると、中野がてくてくと近づいてきた。


「酒井さん、手伝いますよ」

「あ、ありがとう」


(本当によく気が利くいい娘だわ)


 そして、中野がぼそっと言った。


「酒井さん、資料すんなりOK出たんですね。すごいです」

「ん?」

「山田チーフって、ニコニコしているけど結構資料チェックがシビアで、いつもみんな修正ひーひー言っているんですよ」

「え、そうなの?」


 今回は及第点ということで、真奈美はほっと胸をなでおろした。


(ビギナーズラックと言われないように頑張らないとね)

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