第32話 FAへ内容確認

「事業本部と話す前に、FAに電話会議でIMの内容質問やプロジェクトの状況ヒアリングをしようか」

「え!?は、はい」


 売り手である宮津精密側のFAは大津証券だ。

 相変わらず唐突であるが、山田はお構いなく大津証券にチャットし、あれよあれよという間に5分後に会議をしましょうということになった。

 真奈美は急いでスピーカーセットを取ってきて、大津証券に電話をかけた。


「ご無沙汰しております。大津証券の今井でございます」

「ご無沙汰しています、今井さん。お元気そうですね」


 冒頭5分ほど、二人の雑談が続いたあと、出席者の紹介がなされた。

 大津証券からは、白馬機工を担当しているカバレッジチームの今井MD(マネジメントディレクター)、そして本件『PJ-Beach』を実行するエグゼキューションチームの谷口D(ディレクター)が出席していた。


(カバレッジ?エグゼキューション?……あとで山田チーフに質問攻めしなきゃ)

 真奈美は質問すべきキーワードをメモしていった。


「こちらは、MA推進部から私、山田と、本件をメインで担当する酒井で参加しています」

「あ、酒井と申します。よろしくお願いいたします」


 恥ずかしながら、社外との電話会議は初めてなので、緊張して声が半音高まった。


「では、早速ですが本件担当する谷口の方から、プロジェクトの状況について簡単に説明させていただき、質疑応答とさせていただきますね」


 今井からバトンを渡された谷口が、IMのエグサマを見せながら案件の説明を始めた。


 説明の内容によると、基本的にはIMに記載の通りで、10億円の資金調達を目的としたマイノリティー出資。やはり事業会社との資本業務提携を模索しているとのことで大体想定通りだった。


「では、一旦説明は以上なのですが、ご質問等いただけますでしょうか」


 一通り説明が終わると、今井がバトンを山田に渡した。

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