第23話 事業内容は専門外ですが、飛ばすわけにはいきません
会社概要の次は市場動向、そして事業内容と進んでいった。
「ここは、我々が見るというより、事業本部の企画部に見てもらった方がよいだろう」
といいながらも、全く知らないわけにもいかないので、ふたりで記載内容をざっと眺めていった。
精密加工の業界といっても、おそらくいろんな業界に分かれるのだろう。
宮津精工は、真奈美たちの会社、白馬機工が主事業とするロボット事業の業界に精通しているらしい。
(そっか、だからうちに打診が来たのね)
そして、その業界の中でもNo.1かつ独自の特徴的な技術力を誇ると記載されているが、それが妥当な記載か判断する術は持っていなかった。
「普通は背伸びしてアピールするものだけど、でも事前に事業本部に聞いた時には、ここの加工技術は目を見張るものがあるといっていたので、あながち間違っていないのかもね」
山田は資料から目をそらすことなく独り言のように呟いた。
資料はビジネスフロー・商物流・バリューチェーン・製造体制・主要商品・販売方法とチャネルと、より具体的な事業内容の説明へと進んでいく。
こうなると、山田にとってはお手上げだった。
「さすがに事業の詳しい内容はまったくわからないな。ここの記述とかどういう意味なんだろう」
「多分、そこは……」
真奈美は経営管理出身であり、事業本部の本社報告はすべて把握しているので、技術的なことはわからないものの、比較的事業や市場の内容については理解度が高かった。
「――ほう、さすがだね。MA推進部は事業内容については全くの素人ばかりだから助かるよ」
真奈美は、初めて少しお役に立てたと思い自信満々でうなづいたが、次の瞬間藪蛇だったと後悔した。
「さらに、次はいよいよIMの真骨頂、財務と事業計画だよ。
酒井さんの本領発揮のパートだね。この調子でビシバシ頼むよ!」
(――うわー、自爆した!自らハードル上げてしまったわ)
後悔先に立たず……資料のページは捲られ、無情にも『財務情報及び事業計画』の題名がでかでかと映し出されたのであった。
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