第950話◆お一人様デイリー箱庭
畑に作物を追加いたしました。
初回サービスですでに収穫に適した時期になっておりますが、収穫のタイミングはお好みでどうぞ。
ただしこの畑の作物は全般的に、不思議な妖精パワーで通常のものより成長が早いのでご注意ください。
また畑は使えば使うほどグレードが上がっていきますので、ぜひ箱庭での農作業をお楽しみください。
グレードが上がれば畑の面積が増え、収穫量や品質も上昇しますので、ぜひ農業に励んでください。
またグレードによって自動販売機能で売られる作物の種も増えます。
それではよき農民ライフを!!
追伸:抹茶ワラビィ餅、美味しかったです、家族も大喜びでした。ありがとうございます。
お礼に敷地の隅っこにチャノキを植えておきました。ご自由にご利用ください。
管理が難しいようでしたら闇のガーディアンに丸投げすればなんとかなります。
アイツらはだいたい暇そうにしているので、コキ使って問題ありません。
ナナナナナナッダッテーーーーーー!!
食べすぎて動けなくなっているアベル達を放置して、今日は俺お一人様でのデイリー箱庭。
箱庭に入ってまずいつものようにしおりを開くとこれ。
新しい作物!? すぐに収穫!? 成長が早い!?
しかも使えば使うほどグレードが上がる!? グレードで畑が広がって収穫量も増えて品質も上がる!? その上、売っている種の種類も増える!?
じゃあ今まで箱庭探索に夢中で畑を弄っていなかったのは、すごくもったいなかったのでは!?!!?
あーーーー、なる! すごくなる! 箱庭の農民に俺はなる!!
更に抹茶ワラビィ餅のお礼にチャノキだなんて……キノコ君最高すぎる!!
しかも管理はディールークルム君に任せていいだなんて、チャノキの育て方はよくわからないから助かったぜ。
あ、今日はココナッツミルクのプリンを差し入れに持ってきているのでお納めください。
今日の自動売買ページは昨日とあまり変わらないが、畑のグレードが上がればここで買える種が増えるってことか。
今のところうちの畑にも植えているようなものしか売っていなかったからスルーしていたぜ。
俺があまり畑を弄らないから、キノコ君がヒントをくれたみたいだな。
よし、今日から本気出す!
あ、本気を出す前に今日も売買機能に買い取れるだけ買い取ってもらってキノーを増やしておきましょうねぇ。
今日は動物の毛皮!!
んあ、これは買い取り価格も安いうえに思ったより早く買い取りを打ち切られてしまった、ショボーン。
あまりキノーを増やすことができずショボーンとしてしまった俺だが、別荘から外に出るとすぐにテンションが爆上がりした。
その理由は――。
「枝豆だあああああああああ!! つまり大豆!! いや、こっちではソジャ豆かな!?」
夜の畑を照らす魔導具の光で浮かび上がる青々と茂る葉と、その下に見えるぷっくりとした膨らんだ豆。
前世のばーちゃんちの畑でもよく見た豆! 俺の大好きな豆!! ビールと一緒に無限にプチプチ食べたい豆!!
畑に生えている豆の木を一本抜いて鑑定してみると「ソジャ豆(緑)」と見えので、予想通り枝豆だあああああああああ!!
そして枝豆はまだ成熟しきっていない若い大豆。
枝豆の食べ頃から更に後、もう枯れているだろうというほど茶色くそしてカラカラになった頃が大豆の収穫時期だ。
おそらく大豆とそっくりなソジャ豆も大豆と同じように考えて間違いないだろう。
しおりに書いてあった「収穫のタイミングはお好みでどうぞ」というのは青いうちに収穫をして枝豆として食べるか、枯れるまで成長させてから収穫し大豆として利用するか好きにしろってことだな。
おそらく成長が早いとあったのも、今日枝豆として収穫しなければ数日で大豆になるということなのだろう。
次回蒔く種にするのを残して、後は枝豆と大豆の半々くらいで収穫するかなぁ。
畑に追加した作物が大豆――いや、ソジャ豆だなんてサービスがよすぎるぞキノコ君!!
このお礼はソジャ豆を使った料理で必ずするぞ!!
そしてソジャ豆があればなんちゃって肉料理の幅も広がるから、野菜嫌いのアベルや肉が食べられないアミュグダレーさん用のソジャ豆メニューも作ってみよう。
「ケーーーーーーッ!! ケ?」
畑いっぱいに茂っている収穫時の枝豆を見て思わず歓喜の声を上げながらガッツポーズをしたため、それに反応したのかチュペが勢いよくソウル・オブ・クリムゾンから飛びだしてきた。
いや、チュペを呼んだわけではないし、そんな目を爛々と輝かせても今はお腹いっぱいだから枝豆は食べないよ。
俺の目の前に浮かびながら首を傾げてもダーメ。今はまだお腹がはち切れそうなの!
チュペだって俺が料理をしている時にチョコチョコ出てきてつまみ食いをしていただろ?
しばらくして大人しくなったのはお腹がいっぱいなったからだろ?
気付いていないと思ったか!? そんな心外そうな顔をしてもちゃんと気付いていたぞ!!
「ピエエエエエエッ!」
「…………ッ!!」
あー、ケサランパトラト君とディールークルム君も森の方からやってきちゃった。
でも今日の俺は農民モードだから。とりあえずこの枝豆を収穫しないといけないから、君達と遊んでいる暇はないんだ。
チュペもケーケーうるせーし、みんな仲良く畑の隅っこでココナッツプリンでも食べてて!
それと食べるついでに作業をしやすく畑を明るく照らしておいて!
…………そうだな、俺が作業をしてお腹が空いたら枝豆を湯がくかもしれない。
なんかうっかり無意識に言葉として漏らしてしまったのか、それとも察せられたのか、ただ枝豆を収穫していただけなのにどうしてこうなってるんだ!?
「ケーーーーーッ!!」
「うおっと、あぶねっ! 畑で火はやめろ火は! 森も近いから火を吹くのは禁止! 燃え上がらない安全な攻撃にしろ! っていうか、無闇に襲いかかってくるな!」
それは枝豆を引っこ抜き続け、畑に多少動き回れるくらいのゆとりができた頃だった。
プリンを食べ終わったチュペが突然じゃれてきたというか、飛びかかってきたのでそれをひょいっと避けて枝豆の収穫を続けていると、何かが楽しいようでひたすらじゃれるように飛びかかってくるようになり、チュペの攻撃を軽く捌きながら収穫作業をすることに。
それが途中からだんだんエキサイトして、炎攻撃も混ざり始めて今現在。
「ピエエエンッ!!」
チュペが楽しそうに絡んでくるもんだから、ケサランパトラト君までピョンピョン体当たりをしてこようとして二対一の構図に。
二対一は汚いぞーーーー!! 体当たりを躱したからって雷パチパチ攻撃もやめろーーーー!! 綿毛を飛ばすのもやめろーーー!!
俺は枝豆を収穫しているんだから大人しくしてろーーーー!!
「…………ッ!!」
だーーーーー!! ディールークルム君まで何でいきなり蔓で攻撃してくるの!?
じゃれ合うならチュペとケサランパトラト君と遊んでて!! 俺は枝豆を収穫するのに忙しいの!!
ていうかすでに二対一なんだから加勢するならチュペ達の方じゃなくて俺の方だろ!!
しかも全部躱していると、チュペ達もムキになってだんだん際どい攻撃を始めたから身体強化を使わないと当たっちまいそうだ。
もー、際どい攻撃の三段階の波状攻撃をしてくるから、避けながらだと動き続けることになってのんびり作業できないじゃないかー。
こうしてチュペ達にめっちゃ絡まれながらの枝豆収穫は、ただの農作業と思えないほど体力を消費することになり、目標のところまで収穫が終わる頃には汗だくのクタクタになって、身体強化スキルで魔力を消費したためパンパンだった腹が微妙に空腹を訴え始めた。
くっそぉ、チュペ達の思惑通りのような気もしないでもないが、ここは採れたての枝豆を湯がいて収納の中にあるエールをグイッといくか。
いいか? お前達の思惑に嵌まってやるのは今回だけだからな!?
思惑通り枝豆を湯がいてやるから、ディールークルム君とケサランパトラト君はこれからもたくさんソジャ豆が採れるように畑の管理を頼むぞ!
ソウル・オブ・クリムゾンに住み着いているチュペは……俺が困った時に助けてくれるツケにしとくかなら! 絶対に絶対だぞ!!
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