第6話ー列車バトルデスマッチ【PARTⅢ】
【エル】
ソウルライト:3個。
手札:5枚。
フィールド:鏡の魔王・カリス、
【ルビィ】
ソウルライト:4個。
手札:4枚。
フィールド:モンスター無し。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
『素晴らしい! あの絶対的劣勢を覆すとは! これが世にも恐ろしい魔王のカードの力なのですね! ヒーッヒ! ヒーッヒッヒッヒ!』
「わたしのターン! ドロー!」
【ルビィ】
手札4枚
「コンボ発動! ダブルカード!
【ルビィ】
手札5枚
12+13=25→3マナ。
「ここにきて更に3マナを発生させるだけの強力なコンボを残していたのか……っ!」
「わたしは負けないのです! わたしの願いを叶えるためにも! 開け! マジカルゲート!」
【森の聖獣・ラシェール】
【属性】:
【パワー】:3000。
【スキル】:無し。
【テキスト】:空気の澄んだ森の中でしか生息出来ない聖獣。頭に生えた四本の角は万病に効く妙薬になるとも言われている。
【森の聖獣・ウルフェイサー】
【属性】:
【パワー】:2500。
【スキル】:このカードがバトルに負けた時、マナデッキの上から5枚確認し、好きな順番に入れ替える。
【テキスト】:穏やかな心を持つ者にしか見ることが出来ないとされる犬型の聖獣。まれに子供の姿に化けて森の近くに住む子供と一緒に遊ぶ姿が目撃されている。
【森の静寂(呪文)】
【スキル】:相手モンスター一体を指定し、次のターンの攻撃を封じる。
「森の聖獣ラシェール! 森の聖獣・ウルフェイサー召喚! そして呪文カード! 森の静寂を発動! これで鏡の魔王・カリスは次のターン攻撃に参加出来ない!」
『な、なんだぁ!? 身体に植物の蔓が絡まって動けねぇぜ!』
カリスが行動不能になったとはいえボクのフィールドにはもう一体の
形成有利に変わりは無い。
でも絶対手は抜かない。
最後までボクは勝つために全力で戦う。
「ボクのターン!」
【エル】
手札5
よし、手札が多い分コンボが揃ってる!
しかし手札のコンボは
発生するマナはわずかに一つだけだ。
ならばここは手札消費が多くなるけど一番マナを生み出せる数字で一気に勝負に出る!
「ボクは
【エル】
手札6枚
7+10+13=20→3マナ。
「マジカルゲートオープン!」
【三眼の猫・トト】
【属性】
【パワー】2000。
【スキル】このカードのパワーを−1000した後、相手モンスター一体のパワーを−2000する。0になった時墓地に送られる。
【テキスト】高濃度の魔素を浴びたことで第3の眼が開眼した猫型魔獣の突然変異体。神獣に匹敵する高度な神通力を扱えるが、使用する度に体内に残留する魔素が徐々に身体を蝕んでいく。
【エボリュード・ドラゴン】
【属性】
【パワー】:3000。
【スキル】:自分のターンが来る度にこのカードのパワーは−1000され、0になった時墓地に送られる。
【テキスト】:まだ生後間もない幼き竜。高い潜在能力を持つが既に身体は不治の病魔に侵され長くない。
【ブリキメラ】
【属性】:
【パワー】3000。
【スキル】:攻撃の度にパワーが-1000される。0になった時墓地に送られる。
【テキスト】壊れた玩具を繋ぎ合わせて造られた魔界のロボット玩具。おぞましい姿をしているが本当はもっと子供達と遊びたいと思っている。
「3体のモンスターを召喚! そしてこのままバトル!
「にょろろ……モンスターは全滅ですが森の聖獣・ウルフェイサーが墓地に行ったことでわたしはマナデッキの上から5枚確認し好きな順番で再び戻します!」
「三眼の猫・トト、エボリュード・ドラゴン、ブリキメラでルビィに攻撃!」
「グッッ……!」
三体のモンスターの直接攻撃によってルビィは更にダメージを負った。
【ルビィ】
ソウルライト4個
ルビィの魔導書の魔法陣が四芒星から三角形、二本線、そしてとうとう一本の直線のみとなってしまった。
魔法陣から全ての線が消えて円のみとなった時、プレイヤーはマナを作れなくなりゲームに敗北する。
あと一つソウルライトを削ることが出来ればボクが勝ち、ルビィが負ける。
それが意味するのは逃れようの無い死だった。
「……っ」
確実に勝利に近づいているはずなのに何の達成感も嬉しさも無い。
胸が締め付けられてるみたいに痛み出す。治る様子もなく痛みは続く。
泣きたいくらい苦しい。
でも泣いてはダメだ……ここで泣いたらこの真剣勝負そのものに水を差す。
無理をしてでもここは笑顔でいなきゃいけないと思った。
「ブリキメラはバトル後パワーを1000マイナスする!」
【ブリキメラ】
パワー3000
「これでボクはターン終了! 次はルビィのターンだよ!」
「わたしは……負けられないのです! たとえそれが身の丈に合わない願いだったとしても! わたしのターン!」
【ルビィ】
手札4枚
「コンボ発動! ダブルエース! 手札の
【ルビィ】
手札3枚
「
『
「うん、分かってる!」
「開け! マジカルゲート!」
【妖精王・グラジオラ】
【召喚条件】: A《エース》(このカードを召喚する場合自分のバトルフィールドのモンスター1体を墓地に送るか、自分のソウルライトを2つ消費しなければならない)
【属性】
【パワー】:???。
【スキル】:①バトルフィールドに出た時、墓地のパワー3000以下のモンスターを2体まで復活させる。呼び出したモンスターのスキルは無効化され、このカードが墓地に送られた時、2体とも墓地に置かれる。
②このカードは妖精王・グラジオラを除く自分のフィールドと墓地のモンスター一体につき、パワーを+2000する。
【テキスト】争いを好まない妖精族を絶滅から救った戦の女神として今も語り継がれている伝説のモンスター。死者を復活させる奇跡の力を持つ。
「妖精王・グラジオラ召喚! エル、これがわたしの真のエースモンスターなのです!」
「これが……ルビィの……」
大きく発達した二本角と巻きついた植物の蔓、そして綺麗な花の王冠。
その妖精の王にふさわしい幻想的で美しい容姿にはどこか面影があった。
「まるで……大人になったルビィみたいだ……」
「それは嬉しいのです…… 妖精王・グラジオラは我々
【森の聖獣・ラシェール】
【パワー】:3000。
【属性】:
【スキル】:無し。
【テキスト】:空気の澄んだ森の中でしか生息出来ない聖獣。頭に生えた四本の角は万病に効く妙薬になるとも言われている。
【森の聖獣・ウルフェイサー】
【パワー】:2500。
【属性】:
【スキル】:このカードがバトルに負けた時、マジカルデッキを5枚確認し、好きな順番に入れ替える。
【テキスト】:穏やかな心を持つ者にしか見ることが出来ないとされる犬型の聖獣。まれに子供の姿に化けて森の近くに住む子供と一緒に遊ぶ姿が目撃されている。
『モンスターが2体も復活しましたねぇ……厄介です』
『それにルビィのフィールドと墓地のモンスターの合計はグラジオラを除くと合計7体! じゃあ妖精王・グラジオラのパワーは14000……っ!?』
「いや……あのモンスターはダブルエースによって召喚されたモンスターだ! つまり……」
『コンボボーナスで更に2000上がってパワー16000の2回攻撃ってことかよっ!?』
「妖精王・グラジオラスで鏡の魔王カリスと分身である
妖精王・グラジオラスは巻きついた植物を触手のように操りカリス達の身体を貫いた。
その込められた魔力が凄まじい爆風となって吹き荒れる。
『マ、マジかよ……っ! グァァァァァァァァ!』
『む、無念……です……っ!』
「くっ……カリス!」
「そして森の聖獣・ラシェールと森の聖獣・ウルフェイサーでそれぞれブリキメラと三眼の猫・トトを攻撃!」
「パワー16000……こんな強大なモンスターを倒せるモンスターなんて今のボクのデッキには……っ!」
『アーララー? 魔王のカードがやられちゃいましたねェ! それにフィールドには今もなおパワー10000を超える強力なモンスターもいる。まさに絶対絶命ィ! 普通なら逆転は絶望的ですが……あなたなら……ヒィーッヒッヒッヒ!』
「もう降参ですか? エル」
「ボ、ボクは……」
『…………ル! エル!』
「……っ!」
カリスの声だ。
それだけじゃない、カリスの声に混じって墓地に行った仲間達、まだデッキに眠っている仲間達の声が聞こえる。
『がうう……っ』
「エボリュード・ドラゴン……お前まで」
それに呼応してかフィールドにいるエボリュード・ドラゴンまでもがボクに語りかけて来る。
『諦めるな』と言われているような気がした。
こんな弱気で頼りないボクのことを信じてくれるのか。
でもみんながボクを信じてくれるなら……。
「カードがボクを信じてくれる限りボクはその気持ちに応える! ボクのターン!」
『カードの精霊と心を通わせ、その力でもって魔界を
【エル】
手札3枚
「
3+7=10→2マナ。
「行くぞ……っ! マジカルゲートオープン!」
【鏡の魔法陣(呪文)】
【発動条件】自分のソウルライトを1個消費する。
【スキル】:デッキか墓地から鏡の魔王・カリスを召喚する。デッキから召喚した場合スキルは無効化される。
【魔力集約の祈り(呪文)】
【スキル】:このターンの終わりまで2体以上のモンスターを指定し一体のモンスターとして扱う(パワーは指定したモンスターの合計数値となるが攻撃出来るのは1体だけ)
「手始めに鏡の魔法陣を発動し、ボクのソウルライトを消費して鏡の魔王・カリスを復活させ墓地の
『おっしゃあ! 俺様復活ゥ!』
『ふぅ……また戻ってきてしまいましたか』
【エル】
ソウルライト3個
「続けて呪文発動! 魔力集約の祈り! 2体以上のモンスターを指定してターン終了まで1体のモンスターとして扱う! ボクはカリス2体を選択!」
【鏡の魔王・カリス】
8000
「カリスのパワーがグラジオラと並んだ!?」
『ヒーッヒッヒッヒ! 素晴らしい! 素晴らしいですよ!』
「バトル! 鏡の魔王・カリスで妖精王・グラジオラを攻撃!」
『行くぜ相棒! ダブル俺様パーンチ!』
『ネ、ネーミングカッコ悪くないですか?』
「パワーはお互いに互角……相打ちが狙いですか……っ!」
「いや鏡の魔王・カリスには隠された力がある! カリスが破壊される時分身がいれば対象を分身に移し替えることもできる! これで本体は無事だ!」
『も、もしかして……わたしはこれから先こんな役ばかりですか?』
『グッチョブ!』
『ぴえん』
「グラジオラがフィールドから消えたことで復活した2体のモンスターも墓地へ送られる」
「にょろろ……わたしの負けですね」
「……っ」
「さぁエル……わたしにとどめを」
「エボリュード・ドラゴンでとどめ!」
「がうう……っ!」
「……っ」
【ルビィ】
ソウルライト1個→0個。
★☆★☆
『ヒーッヒッヒッヒ! 勝敗はつきましたね! 改めて大魔界学園の一員として歓迎しますよ! エル!』
「なにが歓迎だよ……ふざけるな! ふざけるなよ! こんな一方的なルール押し付けて! 魔族同士を戦わせて! 納得なんて出来るわけないだろ!」
『弱き魔族は学園に必要ナイ。それが大魔界学園の鉄の掟。ここは大魔王候補の中で1番強い者は誰か!? 最後の1人となり生き残る魔族は誰かを見極めるための場所なのデス! 要するにこの女が弱くて大魔王になる器ではなかったというだけでショウ! ヒヒ! ヒィーッヒッヒッヒ!』
「お前……っ!」
「もうやめて! もういいの……わたしの挑戦は終わったのだから」
「ルビィ……」
「でもわたしが描いた夢はあなたならきっと」
「ルビィの夢?」
「争いも差別も無い。全ての魔族が互いに認め合い、助け合い、手を取り合える魔界を作ることが幼い時からずっと夢でした。他の魔族からは鼻で笑われた夢でしたけど」
「そんなことない、素敵な夢だよ。そんな魔界が出来たら
『
パタパタを羽ばたくヤミーの目玉から赤い光がルビィへと放たれた。
光がルビィの体を少しずつ分解し、マナが光の泡となって周囲に立ち込める。
「エル、お願いがあるのです」
「なんでも聞くよ」
「わたしが大魔王になって叶えたかった未来をあなたに託してもいいですか?」
「えっ?」
「周りの魔族はヴァロンのように歪んだ正義感に駆られた者や私利私欲のために大魔王になろうとする者ばかり……彼らが大魔王になればまた100年、力のみが支配する魔界が続くだけ」
「……っ」
「誰よりも心の痛みを理解しているあなたが大魔王になればきっと今より魔界は素晴らしいものになる」
両眼に涙を溜め必死に訴えてくるルビィからは言い様のない無念さが感じられた。
「こんなお願いあなたにしか頼めない……どうか大魔王になってこの魔界を変えてください……っ!」
きっとルビィは壮絶な生存競争の中で幼少期を過ごしてきたのかもしれない。
ボクも
ある意味ボク達は似た者同士なのかもしれない。
もし今までのように
「絶対なってみせる、ルビィの意志はボクが引き継ぐよ!」
ボクがマジカルカードを扱えること、カードの精霊と心を通わせられる力があること、そしてこの大魔王候補として大魔王学園に導かれたのにもなにか特別な意味があるのかもしれない。
既にボクの意志は固まりつつあった。
「フフフ……ならばわたしの夢と一緒にこのカードを託しましょう」
ルビィがボクに差し出したのはさっきの戦いでルビィが使っていた2枚の
「これは妖精王・マリーゴールドと妖精王・グラジオラ! 受け取れないって! それは君にとっても大事なカードなんじゃないのかい?」
「マジカルカードは大魔王を定めるために生み出されたもの。もうわたしには必要のないものです。そのカード達はきっと必ずあなたの役に立ってくれるはずです」
「ルビィ……」
「受け取ってくれませんか?」
「分かった、大切にする。必ずこのカードと一緒にボクが大魔王になる!」
ボクの覚悟にルビィは笑顔で応える。
既に身体のほとんどはマナに分解され、半透明になっていた。
「お別れですね」
「うん」
「……っ」
ルビィは意を決したように一歩ボクの前に乗り出すと顔を近づけ。
「えっ?」
優しく頬にキスをした。
「あなたの勝利を信じていますよ……エル」
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