2怪 夜の學校⑴
まず初めに、校長室へ向かった。校長室の噂では、小さな着物の少女がいるとか。かつてこの学校ができる前、ここに小さな農村があり、その当時に無残になくなってしまった少女の霊なのではないかというのが同級生の考察班の見解らしい。それもそのはず、この学校の前には小さな農村があったのは事実である。私のひいおじいさんが語ってくれたから。
校長室のある場所は正面玄関を入って、左のほうにある職員室の向こうの部屋。そのまま真っ直ぐいくと鶏小屋へ着く廊下の左手にある。私はその中へ恐る恐る入っていった。先に行った彼らはおそらくこことは別の場所へ向かったのだろう。彼らがいた形跡がない。ましてあるのは順番に掛かっている歴代校長先生と現校長先生の椅子に座る赤い着物を着たおかっぱ少女である。私は少女と目があった。でも、私は知らんぷりして、ソファーでくつろぎ始めた。自分のスマホを持ち、自分の小説投稿サイトのアカウントを見て、レビュー数が増えているのに気づき、笑みを浮かべる。その少女は私の元に駆け寄り、じっと私の顔を見る。それでも無視し続ける。その時に、赤く通知が届き、レビューが増えた。そして、感想も載っけてくれていたので、読んでみることにした。
『とても面白かったです!夏にぴったりの恐怖な小説、ゾクゾクしました!』
なんらしょうもない感想、まあ嬉しいけど。もっと私の小説の表現に対してもっと書いてくれないのかと半ば怒りながら、校長室を後にした。私が出て行こうとした時に、ちらりと中を覗くと、少女は驚きと悲しそうな表情を見せた。
私が出てすぐに、二階の方で悲鳴が聞こえた。彼らであろうと思った私は、悲鳴とは別の方向へ向かった。つまり別館の方へ向かう。校長室の方へ向かう廊下とは逆方向に別館へ向かう渡り廊下がある。私は恐る恐るそこを通る。その時、バンッとぶつかる音がした。私は前をみると、何もない。そして、手をかざしてみるとさわれた。透明な壁がそこにあるのだ。私はここで感想を述べた。
『見えぬ壁 冷たさ心地 和やかだ』
私が述べた一句。これによりなぜか壁がなくなった。だから、私はそのまま歩き続けた。渡り廊下を通った先で、ふと後ろを振り返るとそこには誰もいないが、確かに壁があるような気がした...
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