第86話

     Practice


 伊丹家を訪ねると、そこには志倉 祐奈がいた。

「ヒマなのか?」

「友達の家に遊びにくるって用事があるの!」

 これまで同学年と付き合わず、孤独だった、伊丹 紗文と友達になった少女だ。彼女はオレと伊丹とのエッチを盗撮しようとしたけれど、今では反省して、こうして伊丹の家に遊びにくるなど、友達として付き合うようになっている。ちなみに、二人とも小学六年生であるけれど、オレとはエッチをする間柄だ。

「オマエたちも宿題をしておけよ。小学生のころの夏休みなんて宿題をするのが仕事で、楽しくなくてもやらなくっちゃいけないんだから」

「中学生になると、変わるんですか?」

 これは伊丹が尋ねてきた。

「嫌、もっと悪くなるんだ……」

 最近では、塾の方も宿題をだすことが多く、学校の宿題と二重にしなければいけない時代だ。もう少し先の未来になると、逆に休みが短くなり、宿題もなくなる方向になるけれど、学校でもクーラーが設置された今、本当はずっと学校で勉強してもよいのだ。長い休みがあるから、平日の授業がぱんぱんに詰め込まれているのが現状なのだから。


「今日、来る予定だった子が、来られなくなったそうです」

 伊丹からそう言われた。ごく偶にあることだけれど、ここにはサイトで悩みを相談した女の子がやってくる。その選抜方法はよく分からないし、大抵は性に関する悩みであり、やはり機微にふれる部分でもある。

 それこそカウンセリングで終わり、深入りしないことも多いが、実際に行為まで至って、その解消につとめることもある。オレは自分の性欲が先走らないので、そういうことができるのであって、その解決力の高さもあって、そこそこ相談も多い、という話は聞いていた。

「そうか……。じゃあ、今日は三人でするか?」

 伊丹はちょっとうれしそうに頬を赤く染め、小さく俯くだけだけれど、志倉は「やったーッ!」と、喜びを隠さない。

 二人とも夏で、部屋着なので伊丹は薄い水色の、前止めのノースリーブのワンピであり、膝まであるスカートをたくし上げるようにして、その下にいつもオレがくるときは勝負パンツ、というピンク色の下着をのぞかせて、オレの左足の上に向こうを向いてすわる。

 志倉は白のTシャツに黒いショートパンツで、裾がきゅっとつまったタイプではないので、先ほどから足の隙間から、ちらちらとオレンジ色の下着が覗いている。部屋着だから何もいわないけれど、外にこのまま出るなら注意するところだ。彼女は右足にまがたってくる。

 後ろから覗きこむようにして、横を向いた二人とかわるがわる口づけをかわす。伊丹はそれほどキス魔でないけれど、志倉は濃厚なキスを求めてくるので、舌を絡ませた、唾液すら溶け合うほどのキスをかわす。

 後ろから手を回して、伊丹はさらにワンピをたくし上げて、志倉はTシャツの中に手を入れ、二人の胸をまさぐる。伊丹は小学六年生でも、かなり大きい方で、志倉は小さいけれど、小学六年生としたら平均といっていい。やや盛り上がりかけたぐらいだ。

 伊丹は優しくされる方が好きで、大きな胸の周辺から、先端にいくほど丁寧に細かい刺激を与える。志倉は少し乱暴ぐらいでちょうどいいので、先端の固くなったところをさらにつまんだり、はじいたりする。そのたび、びくん、びくんと志倉は反応するけれど、それが面白いので、ついくり返してしまう。

 こういう二人の性質があるから、伊丹が左で、志倉が右なのだ。オレの利き手の問題もあって、二人の好みに合わせて、同時にするならこれがいい……と自然とこうなった。


 伊丹はどちらかといえば淡白な方で、エッチも自分で動いて、最後までいくタイプで、昔は絶頂を迎えた後で、感謝の言葉を述べたり、オレに授乳と呼んでいた胸を吸わせようとするなど、変な癖もあった。今では直ってきているけれど、時おり終わった後ですぐ立ち上がろうとするときは、オレがぎゅっと抱きしめて、その場にとどまらせるようにしている。

 逆に、志倉はされるのが好きなタイプだ。マグロではないけれど、エッチは相手からしてもらうもの、と考えている風で、これは最初に盗撮した罰として、無理やり責めたてたせいかもしれない。

 志倉を徹底的に、伊丹とともに責めることにした。その反応が面白いからで、オレが座ったまま、志倉に後ろからつっこみ、濃厚なキスで口をふさぐ。そして伊丹が胸を愛撫しつつ、口でも責める。すると、全身が性感帯になったように「いや~ッ! やめて~ッ!」と、身悶えもできず、全身をびくびくと波打たせ、水揚げされたカツオにでもなったかのように、激しくうち震わせる。

 そのうち絶頂に至ったように「うぅ~ん……」と、唸り声とともに一度ぐんと伸びをしたかと思ったら、そのまま力が抜けてしまった。

「あれ? 気絶した?」

「そうですね。寝ていますよ。幸せそうな顔をして」

 どうやら、イッたことで気を失ってしまったらしい。苦痛に悶絶でもしていたなら大変だけれど、あまりに幸せそうな顔をしているので、伊丹と顔を見合わせて笑ってしまった。


「ほら、こっちにおいで」

 伊丹をそう誘うと、オレに抱きついてきて、オレの首元に頬を寄せるようにしてくる。彼女とは必ずしもセックスをする必要はない。こうして裸で、互いのぬくもりを感じつつ抱き合うだけでも、彼女は満足するのだ。

 オレはその体を抱き止めてあげながら、優しく頭を撫でてあげる。母子家庭で、男性をオレとしか感じることなく、ここまで生きてきた。オレとつながっていたい、くっついていたい、という中にはそうした父性のようなものを感じたい、という感情もあるはずだ。

 自分をあまり出すこともないだけに、こちらがそれを分かってあげて、対応してあげる必要がある、と感じていた。

「エッチもしておくかい?」

「……はい」

 オレから申し出ると、まるで処女のように初々しく顔を赤らめながら、小さく頷くのも伊丹の特徴だ。自分からするのと、それは微妙だけれど、彼女の中では大きな違いなのだろう。

 傍らには志倉がすやすやと眠る中、彼女を起こさないよう静かに、そして深く伊丹へと埋入する。彼女とのリズムはもう体が憶えている。多分、これまで一番多くしてきているのが伊丹なのだから……。

 コトが済み、伊丹がオレの首に手を回して抱きつき、傍らで眠る志倉と三人でベッドに横たわっていると、不意に伊丹の携帯電話にメッセージの着信があったことを示す音が鳴る。

 志倉もその音を目覚ましとカン違いしたのか、、体をガバッと起こして「朝ッ⁈」と素っ頓狂な声をだすけれど、伊丹は渋々という感じで、ゆっくりとオレから離れると、携帯電話を取り上げる。そのメッセージをみて当惑した表情を浮かべた。

「キャンセルした子。やっぱり、今日会った方がいい……って」

 急に思い直したのだろうか? でもこのとき、オレは嫌な胸騒ぎがしていた。
















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