三
白石さんの告白を、僕はただ黙って聞くしかなかった。まさか白石さんが僕に好意を持っていたなんて、夢にも思わなかった。「絶望したよね?」という言葉を最後に、手で顔を覆って泣き噦る白石さんの背中を、僕は自然と抱きしめていた。
「僕も一緒だよ白石さん。僕も君と秘密を作りたくて……仲良くしたくてわざとカンニングをしたんだ。白石さんにバレるように。それに、僕は秘密を盾に白石さんに告白をしてしまった。最低なのは僕だ。絶望されるのは僕の方だ。だけど信じてほしい。僕は本当に君の事が好きなんだ」
そこからは堰が切れたようにお互い泣き噦った。お互いがもっとお互いの事を思いやっていれば、こんな拗れた事にはならなかったはずだ。僕たちはどうしようもないほどに自己中心的だったのだ。相手を思う振りをして、自分のことだけした考えていない。もう僕たちに秘密はいらない。だけど、もっともっと白石さんの事が知りたい。
「白石さん、僕は白石さんのことをもっと知りたい。今すぐ信頼してくれなんて言わないから……せめて友達になってくれないかな」
涙声で精一杯伝えると、白石さんは顔を上げて微笑んだ。
「うん、私も黒田くんの事もっと知りたい……」
白石さんはそう行って立ち上がり、ゆっくりとブランコへと歩き出した。ブランコに座り漕ぎ出した彼女の足が、宙に浮いて揺れ出した。僕はその光景をただ眺めていた。
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