四
白石さんのメールアドレスを手に入れてから、暫くはメールのやり取りが続いた。青山さんのアドバイス通り、話を広げようと色々と質問をしたが、結局長くは続かずメールは途切れてしまった。用もないのにメールを送ることも憚れて、メールが途切れてから二ヶ月が経とうとしている。学校でも挨拶を交わす回数は増えたが、それ以上の会話をすることもなく、もうすぐ梅雨を迎えてしまう。青山さんからもとにかくなんでも良いから話せとアドバイスをもらったが、勇気が出ずに、挨拶で止まってしまっている。
クーラーの効いた自室のベッドの上での仰向きになって考える。やはりもっと仲良くなるには、もっと大きな秘密を作らなくては。そうだ、映画でも秘密を持ったヒーローとヒロインが結ばれるシーンをよく目にする。やはりもっと大きな秘密が必要なのだ。カンニングなんかよりもっと大きく深い秘密を。
その日夢を見た。白石さんの足が宙に浮いて揺れていて、ただその光景を眺めることしかできない夢を。この不気味な夢がまさか正夢になるなんて、今の僕に知る由もなかった。
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