1008. 復興記念パーティ 6

 ホリーたちからはメモリンダムに戻ってからの近況を聞きました。

 やはり、貴族としての社交が多くなっているみたいですね。


「本当に大変です。コンソールに来る前はお飾りで済んでいたのが、いまでは本当の意味での主賓ですから」


「警護も気を抜けないんですよ。ホリーになにかあったら、いろんな人に迷惑をかけてしまう」


「大変ですね。しかし、ドライアドがいるなら毒はすぐにわかりますし、万が一飲んだとしても解毒剤もすぐにくれるのでは?」


「はい。一度不注意で飲んでしまったとき、すぐに解毒剤を用意してもらえました。あの時は、本当にもうだめかと覚悟を決めたものです」


「その程度で、覚悟を決めないでくれよ……。俺も含め、護衛についていた連中全員が処刑されかねないんだからさ」


「……申し訳ありません」


 ホリーもこの数年で社交界の癖が抜けきってしまっていたようです。

 その上、いまでは王族の中で唯一の上級職、それも最上級職です。

 職業優位論の撤廃に動いている国とはいえ、一代で完全に撤廃することは難しいでしょう。

 それに、なにかあったときの防衛能力として考えた場合でも、ホリーが最大の戦力となります。

 王が先陣を切って戦うかどうかは意見が分かれるでしょうが、いまのところ次期国王に最も近いのがホリーなんでしょうね。

 その分、悪意にさらされているようです。


「俺たちのことはこれくらいにしてさ、スヴェイン様はどうだったのですか? 聞くところによると、聖竜たちと一緒に敵の竜と派手に戦っていたって聞きましたが」


「そうですね。派手に戦いました。今回の敵は邪竜族という聖竜族とは絶対に相容れない相手だったのですが、あちらも『竜の帝』を出してくるほどの総力戦でしたね」


「スヴェイン様、『竜の帝』とは?」


「ホリーは知りませんか。『竜の帝』とはその名前の通り、ひとつの竜族を統べる帝のことです。その一匹でその群れのほかの竜すべてよりも強いという化け物ですね」


「そのような相手と……大丈夫だったのでしょうか?」


「こちらも『竜の帝』を出しました。邪竜族の『帝』は滅ぼしましたし、攻め込んできた竜もほとんど倒せています。邪竜族の脅威はかなり小さくなりましたね」


「そうでしたか。でも、邪竜族って存在自体が大地や水を腐らせるのですよね? それは対処できるのでしょうか?」


「無理ですね。その特性はどうにもできません。発見し次第、人里に出てくる前に対処、が前提です」


 本当に厄介ですよね、あの竜は。

 人里に下りてこられた時点でほぼ負けとは。

 おかげでコンソールに続く道もほとんど通行止めです。

 大地の浄化はほとんど終わりましたが、復旧工事にはもう少し時間がかかるでしょう。

 まったくもって、面倒なことをしてくれたものです。

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