1007. 復興記念パーティ 5

 とりあえず、リッタール村の件はこれでいいでしょう。

 復興記念パーティはまだ続きます。

 僕たちもその対応に戻らなければ。


「ああ、スヴェイン様。お戻りですか」


 会場に戻ったところ、ちょうどアリアたちと会いました。

 いえ、アリアたちも僕を待っていたのかも知れません。

 なにか用でしょうか?


「どうかしましたか、アリア?」


「あちらにホリーたちが来ていますよ」


「ホリー? メモリンダムのホリーですか?」


「私たちの知っているホリーはほかにいますか?」


「いませんね。ですが、どうやってここまできたのです? メモリンダムに続く街道も復旧工事中のはずですが」


「それは本人から聞いた方がよろしいかと」


 なるほど、ホリーの仕業ですか。

 それは直接話を聞いてあげるべきでしょうね。


 アリアに案内されて会場内を歩いていくと、鋭いまなざしを光らせた女性たちに囲まれている少女がいました。

 その少女の横にはたくましい少年と1匹の犬、それからドライアド。

 間違いなくホリーですね。


「あ、スヴェイン様!」


「ホリー王女。ようこそ、おいでくださいました」


「やめてください、スヴェイン様。あまりよそよそしいのはちょっと」


「では、改めて。よく来ましたね、ホリー。元気でしたか」


「はい。ですが、コンソールは私がいなくなったあと、裏社会との抗争から始まり、竜災害、麻薬事件と災難続きだったとか。大丈夫でしたか?」


「なんとかなりました。さすがに竜災害は規模が大きすぎたため、周辺地域に甚大な被害をもたらしていますが、そこの復旧作業をいま進めています」


「そうですね。私もここに来る途中、街道の復旧を行っている方々を見かけました」


 やはり、ホリーは街道工事の現場を見てきているのですね。

 では、どうやってここまで来たのでしょう?


「ホリー。メモリンダムからコンソールまでは迂回路がありましたか?」


「いえ、ないことはないですが、数カ月多くかかります。なので、私たちの馬車が通る分だけ私の魔法で復旧させながら進みました。現場の指示者にすべて直すか伺ったのですが、すべて魔法で直してしまうと、働いている方の職を奪ってしまうと」


 なるほど、そういうことですか。

 ホリーも最上級職に就けるほど大量の魔力を持った少女になっています。

 馬車一台が通り抜ける分だけを修復しながら進むのは、たいした問題ではないということですね。


「わかりました。ウィルくんもしっかり修行をしてましたか?」


「はい。コンソールが大変なことになっちゃって帰国が遅れてますけど、毎日稽古はつけてもらっています。あの、俺、まだメモリンダムにいた方がいいですよね?」


「そうですね。ホリーの護衛としてもうしばらくメモリンダムに滞在していてください。コンソールの問題が飛び火するとは思えませんが、念のための布石です」


「わかりました。あれから、俺と契約する聖獣も少し増えたので、もっと役に立ってみせます!」


 ウィルくんの契約聖獣も順調に増えていっていますか。

 それならば、最低線の防御はなんとかなるでしょう。

 コンソールの襲われている理由がはっきりしない以上、メモリンダムが襲われない可能性はないですからね。

 救援に駆けつけるまでの時間は稼げそうです。

 頼みましたよ、ウィルくん。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る