新・黒龍伝説

照屋

プロローグ




「あ゛ああああああ゛ああああああああ!!!!!」


少年の怨嗟を含んだ声が、黒い風を巻き起こす。


「あ゛あああ゛あああ゛あああああああああああ!!!!!!」


少年の涙零れる悲鳴が、大地を捲り黒く染める。


「あ゛ああああああ゛あ゛ああ゛あああ゛ああ゛!!!!!!!!!」


こうして少年は、その怨嗟と憎しみと悲しみによって、解放させたのだ。




————伝説に名を連ねる。最大にして最凶の龍。少年と共に生き、そして今世界に名を遺す伝説の龍。【黒龍】を。







【黒龍伝説】

その伝説はあるたった一文の伝記のみによって作られた。知る人は世界におれど、語る者はこの世にはおらず。


黒龍の正体を知る者もまた、頑なに真相を語ろうとはしなかった。


———皆、恐れていたのだ。


語る事すら憚れた。思い出すことさえしようとはしなかった。知る事すら恐れた。知っている事を後悔し懺悔した。


だが、その一文と真実を知る者の様相から、それは【黒龍伝説】として広がった。


———黒雲と共に現れ、数々の龍骸と共に世界を駆け、大地を支配し荒廃せん。その者の名を黒龍。我らには図れず。


その時が来れば、我らにはただ祈る事しか出来不。災厄が過ぎたその時。我らは礼せねばならない。







世界が生まれたのは、何を隠そう世界を創造した神である。


そして神の遣いとしてこの世に生誕した者。それが龍<ドラゴン>である。


神によって生み出された原初の龍。それが五天の龍である。


五天の龍は、自らの僕として竜<ワイバーン>を生み出した。そうして神の遣いとして君臨した五天の龍は、僕と共に世界に属性を司り、五大の属性を生み出し世界を作り替えた。


火・水・嵐・大地・天空。そしてそれらを司る龍。

炎火王龍・禍天<カテン>

水禍王龍・水外月<スイゲツ>

嵐凛王龍・富外<フガト>

大地王龍・殻咲<カラサキ>

天空王龍・数月<アマツキ>


この5大の属性と、それらを司る龍と共に、我ら人族は世界に在る。


忘れるなかれ、我ら人族は龍と共に在らんことを———。



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