あるいは生存戦略としての恋
こばやしぺれこ
第1話
当時モニタールームには羽賀主任研究員と松比良研究員、他補助研究員五名が在室していた。
警報は午後二時十三分に鳴らさられた。警備室によれば設備破損による自動警報だった。しかし第二モニタールームの自動警報は誤報が多かった為、その時警備室にいた二等軍曹は確認のメールを送るに留めている。
午後二時十五分。次いで鳴らされたのは手動警報であった。この時警報を押したであろう補助研究員は、腕だけが発見されている。他の部位は未だ見つかっていない。
二度目の警報で、二等軍曹はようやっと監視カメラを確認した。
実験起動中であった次世代型自立戦闘機、通称機竜。そのイ号機の実験格納庫からモニタールームへの侵入を確認。
午後二時十六分。研究所全体へ非常事態警報が流される。
現場検証と検視の結果によると、モニタールームに在室していた研究員の内芳賀主任研究員を含む三名は、一度目の警報が鳴った直後に即死していた。
警報が鳴ってから処理班が突入するまでの十分間。監視カメラの映像に残されていたのは、のちに搬送先で死亡が確認された三名が倒れる中、機竜と向き合う松比良研究員の姿だった。
「おはよう、リューイ」
解析の結果、松比良研究員は機竜へそう告げていた。
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