あら怖い
『この泥棒ネコ!!』
怒鳴りながらヤナカはひらりと窓からマヒルのベッドの上で艶めかしくポーズをとっていた
まるで猛禽類がネコにでも襲い掛かるように。
けれど
「あら怖い」
やっぱり艶やかに笑みを浮かべながら。
ちなみに、妖艶さもあって三人の中では一番年上に見える
これさえ当事者間の問題というだけの話である。パートナーがいる相手にアプローチを掛けるのも構わない。嫌なら断ればいいだけだ。
そして断られたからと言って再度のアプローチを試みることも禁じられてはいない。嫌ならやっぱり断ればいいだけで。
だからマヒルは断っているものの、
ヤナカは、自分がいるのにマヒルにアプローチを掛ける
と言うか、ヤナカが一方的に襲い掛かる。
それを
「鬼さんこちら♡」
ヤナカを煽るように声を上げた。そしてやはりするりと躱したと見えたその時、
「んがあっ!!」
気合一閃、体を横っ飛びさせたヤナカがついに
「このクソ泥棒ネコがーっ!!」
「何よこの鳥頭ババア!!」
とか罵り合いながら取っ組み合いになる。もっとも、実はこうなると体が小さいヤナカは本来不利なのだが、二歳年上なこともあってか、ほぼ互角の勝負だった。
だが、そんな二人に、
「いい加減にして!!」
マヒルが吠えた。
「!!」
その<圧>に、ヤナカも
「もう! ベッドがメチャクチャでしょ!」
マヒルが言うように、彼のベッドはシーツがメチャクチャになっていた。彼の丈夫な鱗が擦れても破れないように特別な布で作られていることで、ヤナカや
なので、ヤナカと
「だいたい二人はもういっつもいっつも……!」
と、マヒルにお説教されていた。
それらの騒動は、当然、近所中に聞こえているものの、近所の者達もすっかり慣れているので、
「あらあら、またやってる」
的に微笑ましく思ってるだけなのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます