愛するケモノ ~恐竜人間と翼をなくした鳥人間のドタバタ恋模様~
京衛武百十
マヒルとヤナカ
マヒルとヤナカ
ここは、恐竜型の巨大な生物<
そしてその<
これは、そんな<
「マヒル! お前、今日はもう上がっていいぞ!」
勤め先の親方からそう声を掛けられたのは、<マヒル>。<
「はい、ありがとうございます!」
マヒルは朗らかにそう応えて、
「じゃ、お先です」
職場の仲間達に軽く手を挙げて挨拶し、歩き出した。
「おう! お疲れさん!」
挨拶を返してくれた職場の仲間達も、これまた、普通の人間のような姿の者だけじゃなく、銀色の毛皮に覆われた者、白い毛皮に覆われた者、果ては、青緑色の昆虫のような皮膚をした者と、実に様々な姿をした者達だった。しかも、男性も女性もいて、皆、同じように働いている。
それが、この土地、<
マヒルが働いていたのは、近々永い眠りから覚めるとされている<七賢人>の一人、
<エレクシア>
と呼ばれる貴人の住居となる建物の建築現場だった。
と、その時、
「すきありーっっ!!」
という叫び声と共に、何かが彼の背中に飛びついてきた。けれど、マヒルは、素早く体を横に滑らせてそれを躱し、同時に、右手でキャッチしてみせた。
「ぬおーっ! 離せ! この卑怯者ーっっ!!」
マヒルの右手に服の襟を捕らえられて宙吊りになった<それ>が、じたばたと暴れる。
「もう、不意打ちするなら『隙あり!』じゃないでしょ? ヤナカ」
少し困ったように微笑みながら言うマヒルに対して、彼の右手に掴まれて暴れる<ヤナカ>は、
「うるせーっ! 知らねーっ!!」
と抗議の声を上げる。
レモンイエローの羽毛に覆われた、マヒルの半分くらいしかなさそうな小さな体。
足の指には鋭い鉤爪。手にも、足ほどではないもののやはり鉤爪。
そして頭には、鮮やかなオレンジ色の、冠のような飾り羽。
明らかに鳥の意匠を持つ、けれどそのプロポーション自体は明らかに人間のそれを持つ、少女?だった。
もっとも、マヒルは十六歳。マナカは十七歳の、この世界ではもうすでに<成人>として扱われる、周囲からも認められている<カップル>である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます