第4話⁂蓮の家族!⁂




 夏の嵐*・。☆夏、緑を、ひまわりを、ゆるがして吹きあれる風。


 真っ青な空に

 天国に続く雲の階段*。⋆

 雲間から降り注ぐ光のシャワー


 。*・*やがて校舎がオレンジに染まる頃。

 嵐の前触れが……。


 給食の休憩時間にあれだけ晴樹に頼まれた蓮だったのだが、その日の午後の下校時に蓮が帰ろうとすると、待っていましたとばかりに靴箱の裏からぴょこんと顔を出す美緒ちゃん。


 今までも偶然を装って蓮が帰ろうとすると、ひょっこり下校時に現れる美緒ちゃん。


 美緒ちゃんと数人の女子も一緒の時もあるが、美緒ちゃんと二人だけで帰る事もある。

 それでも流石に今日は勝手が違う。

 あれだけ晴樹に頼まれたので、何とか口実を付けて逃げ出したいばかりの蓮。


「おっと~?どうしたんだい?びっくりするじゃないか~?」


「アラ~?今日も偶然ね~?帰る方角途中まで一緒だから一緒に帰りましょうよ~?」


「ううん?ちょっとね?寄る所が有るから~?」


「私お供してあげる!……良いでしょう?」


 ちゃっかり可愛いウインク(^_-)-☆のお返しまで頂いた蓮は断り切れない。


「……ねえ~?蓮ってば~?誰か付き合っている人いる~?」


「ああ~?居ない!居ない!」


「じゃ~?私の事・・・どう思っている~?いつもはぐらかしてばかりで~?」


「……別に…只の同級生だって~!アッ・・・それより晴樹の事どう思っている?アイツ滅茶苦茶良い奴だからさ~!」


「フン!デリカシーの無い男ね~?なんで今晴樹が出てくるのよ~?関係ないでしょう」

「…ともかくもう一緒に帰るの今日限りにして欲しいんだ」


「ワァワァ~~ン😭ワァワァ~~ン😭急になんて事言うの~?バカバカ」


 そして泣きながら蓮に抱き付いた美緒ちゃん。

 蓮も女の子を泣かせてしまって、あたふたしながら美緒ちゃんを抱きしめている。



 そんな星陵学園きってのモテ男の動向に、目を光らせている女子達は山ほどいる。

 早速その噂は晴樹にも届くのだった。


 今までは只一緒に数人で帰るだけの関係だったので、さほどに噂にならなかったのだが、二人で抱き合っていたとなれば又別。


 星陵学園きってのモテ男蓮が、女子と抱き合っていたという、その噂は星陵学園中に響き渡った。

 その噂を耳にして烈火のごとく怒り狂う男が居る。

 そうあの日、蓮に「美緒ちゃんに告られても断ってくれ!」と頼み込んでいた男子の晴樹だ。


「……蓮の奴~俺があれほど頼んだのに、な~んだい!これ見よがしに、その喉も乾かぬうちに、もうそんな関係かい?人をバカにしやがって~許せん!クッソ—————!」


 そんな晴樹の恨みをよそに、今日も蓮は謎の行動をとっている。

 自室の等身大の鏡に自身の正体を晒して。

「アアアア~?こんな俺の本当の姿を知ったら皆は絶対に俺から去って行く!」


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 蓮の家族構成。

 父親は建設会社【トレヴィ建設(株)】社長**和泉重明それに母親香織と二歳年下の妹玲奈の四人家族。


 二○○三年の一月某日、珍しく東京に大雪警報が発令された、そんな深夜真っ白に雪化粧された、それはまるでダイヤモンド銀河のようにキラキラ輝く美しい夜に、蓮は誕生した。


 白銀の銀世界に見舞われた、その深夜に12時間の陣痛の果てにやっと授かった可愛い赤ちゃん。

 父重明の喜びは如何ばかりだった事か。


 ブランドの可愛いワンピ-スにおさげ髪の可愛い女の子、オモチャはパカ~ッと蓋を開けると可愛いファンタジ―なミニ世界が広がるエンジェルポケット。


 蓮は取り分けこのエンジェルポケットに夢中になって遊んだものだ。

 エエエエエエエエ——————————————!蓮は男の子なのに?


 医者の判断ミスと言うか………?

 のちのち色んな事が判明してくる。


 ◇◇◇◇◇◇◇◇


「世間様からミスタ―パーフェクトとまで言われて、称賛の嵐を浴びている蓮が実は、○○○○○○○○だ。と知れたら世間の物笑いどころの問題ではない、こんな事が世間に知れたら跡継ぎの長男蓮は、好奇の目に晒される……だから絶対にこの事は口外してはならない!分かったな!」


「…僕‥僕……もう疲れた……ありのままの自分で居たい……負い目が有るから・・勉強だって頑張った……だけど……今のままでは……全部偽り……こんな好きな人の選択・・も出来ないなんて・・グウウゥゥ😔」


「ダメだ!今のままで、今のままで、お前が全て話す事によって、玲奈にだって迷惑がかかる...こんな恥ずかしい事他人に話したら笑われる」


 蓮は泣いている。

「グウウウウ(´;ω;`)ウゥゥ」


「あなたあんまりです。蓮がこんな身体で生まれたんだって、私たちの責任でしょう。それを酷い!酷すぎです!ワァワァ~~ン( ノД`)シクシク…」


「うるさい!うるさい!うるさい!こんな事世間に知れたら恥ずかしくて世間様に顔向けが出来ない!」


 本当に酷い事を……

 自分の事しか考えないとんでもない父親だ。

 益々追い込まれる蓮。





                   




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