第7話 ぐだぐだなファイナルエンゲージ!!




『と、盛り上げているところを申し訳ないのですが……』


「どしたの? ここから頭部が合体して、ドガシャーンって感じになるんじゃないの?」


『いやそれがですね、頭部要らないんですよ、ぶっちゃけ』


「えーーー!?」


『現状で各種センサーは、のべ65893個ありますし、ついでに言えば、惑星軌道上に2518個の監視衛星が現役で稼働中ですので、戦闘という意味では、十分というか』


「なんかさっきまでとテンション違わない!? やろうよ、最後の合体!」


『了解しました。ではイメージをお願いいたします。ただし……』


「な、なに?」


『黄色い2本アンテナとかそういうのは止めていただけると』


「ああ、そういう……。了解、わかった。努力するよ。自信ないけど」


『そういうところがちょっと心配だったんです』


「ごめん」



 今現在、自機は成層圏を突破したのだろう。なんか星々の世界を漂っている感じだ。視界を変えれば、薄く円形に見える、つまり惑星がある。母星だ。


 ここまでノリノリで来て、そしてここでグダるのは格好良くない。ここはお早めに頭部ユニットを想像するしかない。がんばれ自分。



 えっと、まずツインアイは譲れないな。バイザー式は主人公感がない。あれ、一部に敵対したような気がする。流そう。


 んで、口があるタイプは好みじゃない。これまた多数を敵にしたような。ヤバいな。


 でも口にバイザーつけて、ヘの字スリット入れるとヤバい気もするし、顔の両脇に排気口みたいの付けるのもアレだし。ヤバイ。ここにきて、自分の想像力の陳腐さががががが。


 心にダメージが入る。どうしたもんだ。ん? ダメージ!?



 ダメージドだ!!



 そうだ。今の俺は心に痛みを抱えている。まあ、ここから爽快にざまぁしてやる予定だけど、一応追放されてから、えっと4日目くらいなんだ。まだまだいける。



 とするとだ、まずは片目、どうせセンサー類はアホみたいにあるらしいから、片目でもなんも問題ないはず。隻眼、いいじゃないか。ついでに向う傷を付けよう。顔の半分くらいを抉られたくらいのヤツ。


 次は口の部分だ。向う傷の影響でガードが半分飛ばされて、三日月型の笑い口が半分だけ見える。おお、行けそうな気がしてきた。テンション乗って来た。


 じゃあ、頭頂部はどうする?


「ねえ、ナビ子さん。頭頂部で困ってるんだけど、髪って生やせる?」


『出来ますよ。そうですね、銀髪の長髪で、後ろで括って、良いタイミングで風に吹かれるというのはどうでしょう』


「最初っから言ってくれよ!! 最高だよ!! そういうのだよ!」


『固まったようですね。リクエストオーダー!?』


「おうさ! もってけ想像!!」



『いただきました。頭部創造開始。これはまたなかなか渋いですね。私好みです』



「そりゃ良かった。悩んだかいがあったよ」


『ありがとうございます。頭部創造完了。上から来ますよ。3・2・1、ファイナルコール!!』



 ずどおおおん。と、重たい音を立てて頭部が合体する。



「ファイナルエンゲージ!!!」



 そうして、少々のグダグダはあったものの、機体は完成した。





『まだですよ。本番はここからです。超新星エネルギー搾取型補機、出力全開。主機起動シークエンスに入ります!!』


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