第23話 神崎との下校イベント1
俺が購買に着く頃にはすでに購買は終わっていた……。
ちくしょー、全部あの変な奴のせいだぁああ!!
俺が……俺が、俺が何したって言うんだよぉおお!!
しょうがない、拓哉にねだって少しご飯を貰うとしよう。
そうとなれば、俺は急いで教室へ戻った──。
○
「お、雄也。どうしたよ?」
そう呑気にスマホを片手にご飯を食べている拓哉の机を両手でバンと叩き。
「ご飯分けてくれね……?」
その俺の行動に少し俺を怖そうに見ている拓哉。
当然だ。
いきなり、机叩いてご飯をねだるんだぞ。
赤の他人にやったらドン引きだな。
いや、赤の他人にするほどの勇気は俺にはねーや。
まぁ、そんなことはさておきだ。
今はそんなことより。
「うわっ……なんだお前……お弁当が欲しいのか?」
その一言に俺は目を光らせて。
「そ、そうだ……!! そのウィンナーだけでも!!」
『雄也……お弁当忘れちゃったのかな……これぐらいなら』
え……何か聞こえたぞ。
その心の声は明らかに神崎の心の声だった──。
「このウィンナーは俺が食べる!!」
そう言うと拓哉はウィンナーを掴み、パクリと食べる。
「え……何してんだよ!!」
そして、こちらをニヤリと見て。
「食べちった!!」
こいつ……こいつ……こいつぅ〜。
俺は席を立ち上がり、拓哉のほっぺを思いっきり引っ張る。
「俺のウィンナーを返せぇえええ!!」
「ふはけるは(ふざけるな)!! ほれはほれほは(これは俺のだ)!!」
すると、拓哉の席に一つのホットドッグが……。
え?
俺の視界には神崎が映る。
神崎は横髪をいじりながら、頬を少し赤く染めて。
「か、勘違いしないでね!! べ、別に雄也のためとかじゃなくて……私がお腹いっぱいなだけだから──っ!!」
『ああああああっ、私のバカぁあああ!! 違う、これは雄也のためなのに……』
少し泣き目になっている神崎。
その光景に俺はニコリと口角が上がり。
いや、泣き目になっている神崎の顔を見て『ざまぁみろ』とかそういう感情が出たわけではなくてだな。
なんか、神崎の優しさについ笑顔になってしまった。
「ありがとう、神崎」
俺はそう満面の笑みで言う。
カァーっと、顔を真っ赤にして神崎は俺を指さした。
そして、神崎はさらに泣き目になりながら言った。
「か、勘違いしないでね──っ!! ほんとにほんとに!! 何かお礼が欲しいとかじゃないんだからね──っ!!」
『違う、私はお礼が欲しいのに!!』
そっか……お礼が欲しいんだな……。
心の声が聞こえなかったら、多分俺は鈍感主人公のままいたであろう……しかし、今の俺にはわかる。
俺は真顔で神崎に言った──。
「お前ってツンデレというやつだな!!」
「は? 何言ってんの?」とマジトーンで間を開けずに返ってきた一言に……。
そ、即答──ッ!!
え、今のガチの……いやいやいや、流石にね?
『キモキモキモ、え、ツンデレとか……』
あ、ガチのやつだわ……。
拓哉は俺の両肩を強く掴んで。
目を大きく開き。
「お前、ツンデレを舐めてるだろ? ツンデレはツンツンデレデレのことをいう──ッ!!」
んなのは知ってるわ!!
いや、そのツンツンデレデレが神崎なんだよ!!
「わかった、わかった……」
なんか、この空気やだなんだけど……なんというか、最悪な空気としか言葉にできないのだが。
だから、俺はこの場を強制終了させるためにホットドッグを手に取り、神崎の方を向く。
そして、笑顔で──。
「サンキューな、神崎!!」
「べ、別に当然のことよ!!」
『言うんだ私……一緒に帰ろって!!』
多分、先程の『何か欲しい』なのだろう。
一緒に帰るぐらい、そんなの使わなくたっていつでもオッケーするのに。
神崎は勇気を振り絞ったのか──。
「ねぇ、雄也?」
「ん?」
「今日一緒に帰ろ……あ、勘違いしないでね!! べ、別に一緒に帰りたいとかじゃないんだから──っ!!」
「はいはい、そうですね」
少しめんどくさくなって返事をおろそかにしてしまった──。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます