混乱と怒涛の武蔵野近代史
羨増 健介
武蔵野に眠る水の神のお話
登場人物
・板谷仁:LINEのTLに武蔵野に眠る水の神のお話を投下した人物。大学生。
・防人灯:今回武蔵野の民俗学で論文を書こうと思っている大学生。仁の学友。
・羽曳野稔:ネットサーフィン大好き少女。たまたまこのスレに目が付く。
・ジモトダンチ:石神井に住む地元民、とある話を持ち込む。
・柊木雅:小説家志望・引き籠り
【板谷仁】
これから、混乱と怒涛に塗れた武蔵野近代史、武蔵野の地に眠るであろう水神の謎の正体を諸々を搔い摘みながら解明していく。まる。
【 防人灯】
令和やぞ…令和やぞ!(大事なことなので二回言ry)
【羽曳野稔】
クソまじめなスレで草。こういうの待ってた。
【柊木雅】
なんで武蔵野の地限定なん?
水神って意外といろんな所で信仰されていたんだろうけど…武蔵野で水神の信仰ってそもそもあったの?
【防人灯】
ちゃんとあった。大きいところだと深大寺かな。
【柊木雅】
>>防人灯
なるへそ、サンガツ。
【羽曳野稔】
>>防人灯
寺やんwww
それに武蔵野にある社すべてに水神が祀られているとは限らない(名推理)
あたりまえ体操定期だけど…
【板谷仁】
>>防人灯
つか今石神井の池って枯れたの?
【防人灯】
>>板谷仁
三宝寺池の湧水は残念ながら枯れてちまいまちた。てか武蔵野にある3つの池は高度経済成長期には枯れてるんゴ…
【羽曳野稔】
三宝寺池に水バリバリ張ってたんだけど…嘘松?
【板谷仁】
雑木林や畑の減少、地表の被覆、地下水汲み上げ…etc
ダムによる多摩川伏流水の減少も影響しているはず
【柊木雅】
>>羽曳野稔
あれは地下水汲み上げて保水してるんやで。
都市化の一言で片付けないんだな
【板谷仁】
ニュータウン計画発足から今日びに至るまで半世紀以上は経っているんだしそれを「都市化の一言」で片付けるのもどうかと思うんですかそれは…
>>柊木雅
なんで水神様の話から高度経済成長期の話にシフトしてんだよwww
【防人灯】
混乱と怒涛のだし多少は…ね
てか同じ扇状地なら山梨の水神信仰とかが引き合いに出されてもいい気ガス
【柊木雅】
>>防人灯
甲斐市では昔大水害があったらしく、後に水防祈願が執り行われたとか…
別の地域では後は九頭龍神の祠なんかも祀られてるね。
諏訪の方だと、タケミナカタかな…
【羽曳野稔】
>>防人灯
やったね、知識が増えるよ!
【板谷仁】
おい馬鹿やめろ
【ジモトダンチ】
ウチの叔父が多摩ニュータウンの反対運動に参加していたって
,;r''"~ ̄^'ヽ,
./ ;ヽ
l _,,,,,,,,_,;;;;i <まったくだぜベイべー!
l l''|~___;;、_y__ lミ;l 豊かな自然がお役人に壊されて
゙l;| | `'",;_,i`'"|;i | こっちは土地売らなきゃなんねぇんだからよ!
,r''i ヽ, '~rーj`c= / やってらんねぇぜ!!
,/ ヽ ヽ`ー"/:: `ホント 高度経済成長期は最低だぜ! フゥハハハーハァー
【防人灯】
おじいちゃん普通に凄くて草、なんか反対運動ってアニメだとひぐらし身を感じる。
【柊木雅】
ここまで狸のカキコ無し…か…流石にな…無いか。
【羽曳野稔】
水神様の象徴って蛇とか龍とか河童とか色々あるんゴねぇ…
頭がパンクしそうだ…
【板谷仁】
>>柊木雅
このスレ狸が化けてネカフェとかで覗いてたらそれはそれで怪談でしょ
京都の偽電気ブラン事件かよ…って感じ
【羽曳野稔】
>>板谷仁
電気ブラン超好きなんだけど…もしかして電気ブランの亜種?
【柊木雅】
>>羽曳野稔
京都には電車に化けた狸もいるし天狗もいるし、武蔵野にモノノ怪や怪異の類がちゃんとあってもおかしくないでしょ
【羽曳野稔】
やだなにそれ怖いわ
【防人灯】
石神井で語り継がれてる伝説って「照姫伝説」だったよね。
それに、石神井って地名の中に「神」の文字が混じってるからなにかしらの神が信仰されていたのはほぼ決定的に明らか!
まぁソースはネットなんですけど
【羽曳野稔】
つまり…それって氏神様ってコト!?
エッエッ…どういうこと!?
どうして石神井の地名が氏神様と唐突に関連付けされるの!?
【柊木雅】
>>防人灯
照姫伝説も出自が創作だし、その説は面白味があっていいと思う
むしろ照姫が玉藻の前のようなポジションでも面白そう。
【防人灯】
>>柊木雅
分かるマン
【板谷仁】
都内にも神にちなんだ地名もあったりする。王子とか熊野町とか秋葉原とか…
この黄金の国カミサマ多過ぎ…
【羽曳野稔】
???「どうも、水の神です」
【防人灯】
ちょwwwそれ以上はいけないwww
【羽曳野稔】
武蔵野こわ~れちゃ~う
【ジモトダンチ】
私が来た! 地元民が来た!!
【羽曳野稔】
来た! 地元民来た! これで勝つる!!
勝ったな! 風呂入って来る
【ジモトダンチ】
____
/ \
/ ─ ─\
/ (●) (●) \ よく考えたら俺いらないな…
| (__人__) |地元民なのに特に地理とか詳しくないし…
/ ∩ノ ⊃ / 知ってるのはメロブとらしんばんと…
( \ / _ノ | | 濃厚とんこつラーメンの店だけだわ…
【柊木雅】
まぁ武蔵野は霊地、諏訪信仰も古来から信仰されてたから、間違いなく水神の信仰は各所であったろうけど、祀られてた水神が同一神なのかどうかは個人的には気になるところではある。いやまぁ集落とか地域ごとだとは思うんだけどね
【防人灯】
やっぱりこういうのは大宅文庫とか国立図書館行って当時の文献調べた方がいいのかなぁ…っても残っているかどうかも怪しいか。
【柊木雅】
今じゃそういう類の伝承が残っていることもあんましないだろうし、そのことをメモとかに残すってことも無かったんじゃない。
【ジモトダンチ】
曽祖母ちゃんから小さい頃話を聞いたらしんだけど…
【羽曳野稔】
kwsk
【ジモトダンチ】
周辺の…XXって場所では五穀豊穣を祝う五穀祭と水害から身を守る為のお祈りとして水防祈願が執り行われてたらしい…
それと、XXでは「言乃葉包」なんて風習があって、五穀豊穣の儀ではそのとき収穫した…稲と野菜とか、鶏とか飼ってたときはその鶏を。言葉でびっしりと埋め尽くされた布で包まれた形で捧げた後に焼いて食べてたとされるんだって。
【防人灯】
へぇ…でも天下のGoogle先生でも「言乃葉包」は知らないみたい…
【板谷仁】
まぁ…そういう類だから
【ジモトダンチ】
話の続きをすると、この地域での五穀祭では「言乃葉包」以外にはごくごく普通の祭祀だったらしいんだ。問題なのは水防祈願の方で…
【柊木雅】
よくある人身御供じゃないの?
【ジモトダンチ】
ただの人身御供じゃなかったんゴ…
取り敢えず箇条書きで書くんゴ
【板谷仁】
お願いします
【柊木雅】
どうぞ
【羽曳野稔】
よろしおす
【ジモトダンチ】
時期外れの雨期が訪れることが度々あったらしくて、その雨期は
雷が鳴った場所から一番近い家屋の大黒柱が贄にされる。
贄にされた死者が龍神の元へと辿り着くように、崩しは多岐の手順に渡って静粛に執り行われる。
・死者が生前に使用した食器・衣類・農具を破壊する。
・贄の五臓六腑をすべて取り除き、収穫した稲作、野菜、魚類等をその中に詰める。
・取り除いた五臓六腑は破壊した食器・衣類・農具と共に壺焼きを行う。
・壺の中に残った灰はある容器へと入れられる。
・言の葉が埋め尽くされた布を贄の全身にくまなく包み、木棺に詰める。
・その年に壊れた品をできる限り木棺に詰める。六文銭を添える。
・木棺を川に流す。
・高天原に坐し坐して~から始まる龍神祝詞を唱える。
・了
供養された贄は神からの恵みである豊穣の品、献上品と共に高天原へと参上し、龍神様との対話を試みる。贄の所願を実現することができれば、龍神様は怒りを鎮め贄の魂を高天原へと留める。
だってお。
【板谷仁】
うへぇ…なんかちょっと想像しちゃった自分がいる。
素直な感想はやっぱ怖いわ、田舎。
【ジモトダンチ】
あくまでもらしいだからあんまし真に受けなくてもいいんやで。
ただの呆けた婆さんの戯言だと思ってくれればいいって…
【ジモトダンチ】
ちなこの儀式は「柱崩し」とも言われるらしくて、村に溜まった厄を祓う意味もあったらしい…うぅ…ちょっと気分悪くなってきた。
ばっちゃも話してるときなんか辛そうだったんゴ
【羽曳野稔】
ヒェッ…やっぱり人身御供絡みはエグイのばっか出るんやなぁ…
ちな、村に溜まった厄が祓えなかった場合はどうなるん?
【ジモトダンチ】
万一祓えなかった場合は、聞き届けられなかった祈りと龍神の怒りと共に全て贄の中に厄として取り付けるらしい…
ばっちゃは今生きてるのは「そうはならなかった」からなんだと。
【羽曳野稔】
なるほど…わからん!
【柊木雅】
わざわざ川へ流す必要はあるのか? 供養なら火葬でも問題は無いはずだけど。
【ジモトダンチ】
ことの始まりは「火葬」での神の元への送り届けだったらしんだけど…ある時から雨期がずれ始めたんだって。でそこから人身御供でない方法とかを探してたら儀式の意味は違えど「流し雛」みたいな形式に変化したらしい…
【板谷仁】
五穀祭では祝いの言葉が布に書かれていたってのは分かるんだけど…「柱崩し」の時は布にはなんて言葉がびっしり書かれてたんです…?
【ジモトダンチ】
呪詛、だって。
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10/22 14:41
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謎の木棺 東京都・足立区で発見(XX新聞 2021年11月11日)
東京都足立区の荒川河川敷付近から、とある木棺が見つかった。時期不明(100年前後)とみられ、過去に名古屋・平手町遺跡で出土された舟形木棺と比べても比較的新し目のものであると推測される。
木棺には六文銭、謎の文字が書かれた布にくるまれた遺体、壊れた農具や敗れた衣類等…小壺からは大量の灰が検出された。
学会はこの木棺を「儀式的に行われた、又は儀式を装ったなにか」であるものとして考えられ、同区教育委員会は「真剣に調査する必要がある」としている。
※この物語はフィクションです。登場する一部の人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
混乱と怒涛の武蔵野近代史 羨増 健介 @boroboroken
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