第165話 控室にて
アルティアの訪問から数日後、やっとカイル様と2度目の結婚式を挙げる日が来たわ。
ていうか、なんだか結婚式ばっかりしているわね! さすが異世界だわ!
って、そんな事は置いておいて、ちゃっちゃと用意をするわよ。
今回の私のドレスは、胸元と背中がかなり開いているのだけれど、そこに美しくて繊細なレースがあしらわれているから、肌が程よく透けて見えてとってもセクシー。
空良の時とは違って、ソフィアの身体は胸にボリュームがあるから、ちょっと下品になりそうだと心配したのだけれど、そこはプロの技なのか、全然下品には見えず、でも色気は出しているという絶妙なバランスで仕上がっているわ。
アクセサリーは前回と同じく、グリーンサファイアとパープルサファイアがあしらわれた物なのだけれど、今回はその一部に魔道具を混ぜて、念の為にドレスの下にも護符も忍ばせておいたから、どんな事が起きても大丈夫よ!
そしてカイル様は、1度目の時の儀礼服と形は似たような物だけれど、あしらわれている刺繍が違うからなのか雰囲気が全然違っているわ。
前回は胸部分と裾部分に金と銀の刺繍が入っていて上品な感じだったのが、今回は紫と緑の刺繍で
よく見ると、白の糸でも刺繍がしてあるからなのか、金と銀の刺繍ではなくとも、高級感が漂っているわ。
そして、肩からかけたケープを止める金具は今回は銀色でキラキラしているわ。
とりあえず、かっこいい、カッコいい、格好良いわーっっ!!!(語彙力)
儀礼服だから鎧ではないし、いつもより身体のラインが分かりやすくなっていて、素晴らしいわ!! 勿の論で筋肉もね!! 眼福とはこういう事を言うのね!
お互いに、当日までは相手の衣装は見ちゃ駄目という事で、試着してる時は見れなかったから、今日初めて見たカイル様のお姿につい興奮してしまったわ!
脳内大興奮なのを表面に出さずに抑えながら、じーーーっと見つめていたら、視線に気づいたカイル様がこちらを見て、ふっと淡く微笑んだ。
「――――――――――っっ!!」
その微笑みの破壊力っ!!!
なんなのっ! 悪役強面のくせにっ! 淡く微笑んだだけで、イケメン度がMAX超えてもう宇宙の彼方へFarawayしたわよ?!(意味不明)
ハァハァと息遣いが荒くなる私を見て、『?』の表情を浮かべるカイル様。
何それっ!! 可愛いっっ!! 『?』ってきょとん顔っ!? レアよレア!!
駄目だわ、興奮し過ぎて、思考がいつも以上にchaosだわっ!
ていうか、どうしてさっきから英語表記なの?! 何故今日に限って変換機能が英語化しているのよ?! って私、何を言っているのかしら。
「カ……カイル様が素敵すぎて苦しいです」
両手で胸を押さえて、思わずそう言ってしまったわ。
「ソフィアも素敵ですよ。いつも綺麗ですが今日はよりいっそう綺麗です」
そう言いながらこちらへ歩いてきて、私の正面へ立ち、胸を押さえていた私の両手をそっと握った。
「カイル様……」
大きな手で包まれる安心感から、そっと視線を手に落とす。
血管がセクシー!! 手だけでもムキムキ具合がわかっちゃうその血管っ!! ぷにぷにしたいですっ!!
……って、興奮していたら、片手で私の両手を持ち直したわ。
片手で両手をすっぽり握れるなんて、ほんと大きな手ね。
ていうか、空いた方の手はどうするのかしら?
不思議に思いながら眺めていると、空いた方の手で顎をクイッと上げられたわ。
「下を向いていないで、ソフィアの可愛い顔を私に見せてください」
そう言いながら手を顎から頬へ移動し、優しく撫でてくる。
はわわわわ、いつも以上に熱のこもった視線と、いつも以上に格好良い姿にドキドキしちゃうわ!
ドキドキしながらカイル様と見つめ合い、自然にキスを交わす。
初めは軽いものだったのが、段々と深くて長いものに…………って、駄目よダメダメ!
「ぷはっ、カイル様っっ、んむっ!」
息継ぎで止めようとするのだけれど、離してくれない。
これから式なのに、控室でいちゃいちゃしていたら入場が遅れちゃうわ!
ていうか、つい最近も似たような事があったような……いちゃいちゃしてる場合ではないのにいちゃいちゃ……?
って、そんなことよりも、カイル様の力が強すぎて止められない上に、キスがどんどん激しくなってきて、とうとう身体から力が抜けてしまったわ。
「んっ……」
「っ!! すみません、ついやりすぎてしまいました」
力が抜けてカイル様へもたれかかったおかげで、カイル様が我に返ったみたいだわ。
「…………もう、せっかくのドレスが乱れるところでした。式が終わるまでは我慢してくださいね」
「わかりました。式が終わったらそのドレスを乱しても良いんですね」
ちょっ、そういう意味ではないわよ!
ていうか、それって着替える間もなくしちゃうって事!?
そういえば1回目の時も、式が終わったら滅茶苦茶にするとか言っていたような……。
あの時も着替える間もなく、ドレスごと滅茶苦茶にするつもりだったのかしら?
「ド……ドレスは……ええと、着替えてからにしてください」
思わずそう言ってしまったわ。
だって、こんな素敵なドレスを汚したり乱したりするのはちょっと……。
その私の発言に、にっこり笑うカイル様。
そっ、それは何の笑顔かしらっ?!
カイル様の不穏な笑顔に、つい固まっていたら、前回と同じくノア様が様子を見に来てくれたわ。
ナイスタイミングね! もう少し早く来ていたら、こんな時に何してんのって突っ込まれる所だったわ。危ない危ない。
そして、今回はエドガー様も一緒に来てくれて、私を散々褒めちぎってくれた後に、大量の護符の追加をしていってくれたわ。
そんなわけで、元から結構護符を仕込んでいたので、追加分も合わせると、見えない所は護符だらけ。
護符がドレスの裏地になってしまったわね。
まぁ外からは見えないし、気にしないでおきましょう。
「今回はこの護符が発動しない事を祈ります」
「そうですね。身内だけの式で披露宴も無いのて、きっと大丈夫でしょう」
でも油断は大敵よ。
アルティアが式には顔を見せに来る言っていたから、嫌な予感がするのよね。
何事もなければ良いのだけれど……って、これってフラグかしら?!
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