第155話 女神アルティアへの質問
筋肉の誘惑に勝てない事を再確認でき、カイル様の筋肉を堪能しながら歩いていたら、あっという間にダニエル様の部屋へ着いたわ。
そしてノックをしようとしたら、突然扉が内側に開いたので、手がスカッと空を切ってしまった。
「ひゃっ!」
前のめりで倒れそうになったけれど、素早くカイル様が後ろから抱き寄せてくれて事なきを得たわ。
すっぽりと 覆われるあぁ 大胸筋の 良き感触かな(字余り)
「おっと、すまない。来たことに気付いて思わず開けてしまったのだよ。そして、カイルも来たのだね」
ダニエル様が爽やかな笑顔でそう返してきたわ。
うーん、ダニエル様は美形なんだけど、やっぱり好みではないのよね。カイル様の笑顔の方が素敵だわ! って比べてどうすんのよ。
「女神への言伝をお願いしに来ただけなので、カイル様が居ても大丈夫ですよね」
「勿論大丈夫なのだよ。ところで女神への言伝とは何かな?」
室内へ案内され、カイル様と共にソファーに座るとすぐに質問された。
「ダニエル様も関係していることですが、生まれてくる子供が神の力を持った場合どうなるのか……例えば他の人間より寿命が延びるとか老けにくいとか、何か普通の人間とは違う事が起こってしまうのか聞いていただきたいのです」
「ふむ、そんなことが気になるのかい?」
「はい気になります。子供が他の子と違う事があると本人が気にするでしょうし、そうなる事がわかっているなら初めから教えてあげた方が良いと思うのです」
「そうなのだね。ソフィア嬢がそう思うならアメリア嬢も気にしそうだから、今夜早速聞いておくのだよ」
『アメリア様が気にしそうだから』聞いてくれるのね。まぁ、女神にちゃんと聞いてくれるのなら、理由は何でも良いのだけれど。
「お願いします。それからもう一つ……」
「おや、まだ聞きたいことがあるんだね」
もやしの事なんて考えたくも無いのだけれど、今後も被害を
「もや……ジュリアンの事なのですが、あの人の運の良さは女神が関係しているのですか?」
「ジュリアンの運と女神の関係? ……あぁ、そういえばティムナ王国はアルティアを信仰している国だったね」
流石ダニエル様、私が言わんとしている事を察してくれたわ。
「うーん、ソフィア嬢達の他にも、神の力を増やす為に色々何かやっていたみたいだから、関係しているかもしれないね」
かもしれないのね。
「それも聞いておくのだよ。他にも何かあるかな?」
今の所、女神に聞きたいことはもう無いわね……あっ、そうだ! ついでに、疑問だったことを聞いておきましょう!
「そういえば、ダニエル様以外でも女神には会えたりするのですか?」
「うん? ノア殿下は無理だと思うが、ソフィア嬢やエドガーは前世の記憶があるから会えるかもしれないね」
「前世の記憶があれば会えるんですか?」
「うーん、それが定義ではないと思うのだけれど、多分2人は会えると思うのだよ。ソフィア嬢は女神に会いたいのかい?」
そりゃぁ、会えるなら会って直接話を聞きたいわよ。いちいちダニエル様を通してやりとりするのは面倒くさいもの。
って、あれ? そういえばソラとしてこちらへ転移させられた時、女神に会って話を聞いてから、ダニエル様みたいになるのは嫌だから、魂を分けてとお願いしたはずなのだけれど、女神の容姿や声の記憶が無いわね。
「会いたい……と思ったのですが、会ったとしても記憶操作とかされますよね?」
「おや? どうしてそう思ったのかな?」
「ソラの時に会って話した記憶はあるんですけど、その時の女神の容姿や声などは何にも覚えてないんです」
これが記憶操作じゃなかったら何よ? っていう現象よね。
「私は記憶操作はされていないから知らなかったが、ソフィア嬢がそういう状態なら、そうなのかもしれないね。それなら忘れてしまっているようなので話しておくが、女神はあまり人間味が無いというか冷たいというか……まぁ女神だからね、会っても良い事は無いと思うのだよ」
ダニエル様が良い事がないって言うってことは、女神って相当アレなのかしら。
まぁ、今までやられた事を考えれば、人間の事なんてどうでも良くて、この世界を存続させる事しか考えてなさそうではあるけれど。
でも私の願いは聞いてくれたのよね……っていうか、それも女神にとって神の力を増やすための実験の1つだったのかもしれないわね。
エドガー様の魂を転移させて、私達をくっつける予定だったみたいだし、『子供を作れ』とか言って来たわけだし。
「やっぱり会うのは止めておきます」
「それが良いと思うのだよ。とりあえず先程の2つの質問はしておくから、女神から答えを聞いたらソフィア嬢へ伝えに行くのだよ」
「こちらへ伝えに来てくれるんですか?」
「まだ、式の準備は全部終わった訳ではないのだろう? 私は休暇中で忙しくないのだから、私が行くのだよ」
「ありがとうございます! ではよろしくお願いします」
という事で、女神への質問はダニエル様に任せる事になったわ。
……はっ! カイル様はずっと黙って聞いていたけれど、退屈ではなかったかしら?!
「カイル様、退屈では無かったですか?」
ダニエル様に見送られ、扉を出てすぐカイル様に問いかけた。
「いえ、ソフィアの事を知れたので退屈ではありませんでしたよ」
私の事を知れた??
私が不思議そうな表情を浮かべていたみたいで、カイル様が説明してくれた。
「女神と話した事があるとか、ジュリアンの事は本当に嫌いだという事とかですね。あとは……」
カイル様は立ち止まってこちらを見る。
「可愛いソフィアを見ているだけで、色々想像できますから、退屈なんて少しも感じませんでしたよ」
ぎゅっと抱き寄せ、耳元でそんな事を言うカイル様。
はうぅっ! だからその低音ボイスを耳元で聞かせないでーっ!!
っていうか、退屈しないほど何を想像していたのかしらっ?!
そんなこんなで、まだ式の準備は全て終わったわけではないので、カイル様の客室へ一緒に戻る事にしたわ。
でも、戻って即イチャイチャしたのは、言うまでもないわね。
式の準備は順調だから良いのよ!
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