第29話 いたずら
――――――3日目――――――
「ソフィア~朝食前だけどエドガー王子から手紙が届いたわよ。朝食前に読む?」
「あ、はい。そうですね良ければ朝食より先に読みたいです」
「それじゃぁ一緒に読みましょうか♪ ほら、早くここに座って」
と言って、何故かノア様は座っている自分の膝をポンポンとたたいた。
ん? ここって、私がノア様の膝に座るの??
「え? ノア様の膝に?」
「そうよ、私の筋肉を堪能したくないの? 早くしなさい」
はっ! 筋肉堪能!! 勿論したいです!!!
一瞬で移動してノア様の膝に座る。
お尻と背中に神経を全集中するのよ!! しなやかな筋肉の椅子だわ! よきかなよきかな。
「素早いわ……欲望に忠実ね……」
ノア様が何か言いながら手紙を開けると、そこにはとても綺麗な字でこう書かれていた。
『ノア王子、連絡が入れ違いだったようで申し訳ない。事の発端は、魔道具の暴走という事だが、その魔道具が見当たらないのだ。なので、真実は分からないのだが、とりあえずソフィアが無事なようで良かった。3ヶ月かかるという事だが、ソフィアも1人では心細いと思う。なので、1人でも山を無事に越えられるカイルをそちらへやって、ソフィアの話し相手兼、護衛をさせてもいいだろうか? カイルならソフィアとも何度か話しているし、私も信頼している。良い返事を待っている。 マルティネス王国 エドガー・ウィルソン 』
「!! カイル様を!? あっ、そして魔道具が見当たらないってどういうことでしょうか??」
ついつい、カイル様の方に反応してしまったけれど、魔道具が見当たらないって事もスルーできないわよね。
そして、エドガー王子は私がカイル様のことを好きだってことは知らないから、とんでもないことを言ってきたわね……。
カイル様をここへ来させる? 私は嬉しいけれどカイル様には迷惑よね………。
「言い忘れてたわ、魔道具はソフィアと共にこちらに戻ってきてるの。そういう仕組みにしてたのよ。で、カイルがこちらにねぇ………これはチャンスかもね、ソフィア、カイルが来たら上手いこと2人きりにしてあげるから、仲良くなりなさい!」
「え、ふたりきりでなかよく??」
「そう! 仲良くイチャイチャするのよ!!」
「な、なっ何を言ってるんですか! そもそもカイル様は私の事を何とも思ってないんですよ! 護衛しに来るのにどうやってイチャイチャするんですか!!」
と、ちょっと怒りながら頭の上にあるノア様の顔を見ようとしたら、ぽよんと胸が揺れた。
「へ?」
「あらやだ、手が勝手に………」
ノア様が片手に手紙を持ち、もう片方の手で下から胸をぽよんぽよんと弾ませていた。
「ここからだと胸がよく見えちゃって、ついつい」
と言いながら、いつの間にか手紙を置いて両手でめっちゃ触ってる。ぽよぽよと下から胸を弾ませてる……と思ったら、いつの間にかモミモミと揉みだした………これ、わざとよね。
そして後ろから抱きしめてるような体制で揉まれると、私からは揉んでるのが丸見えで、何だかとても恥ずかしいのだけれど……。
「あの、ノア様……触りすぎ、です」
「ソフィアも私の筋肉を堪能出来てるんだから、ちょっとぐらい良いじゃないの。やっぱり柔らかくて揉み心地最高ね!」
それを言われると言い返せないのだけれど、いくらなんでも揉みすぎだわ! そして普通に揉んでいたはずの手が、怪しい動きをし始める。
「あのっ、のあ……さまっ、やめっ……!」
やめてほしいけれど強く言えず、その間に揉みに揉まれ、レオ様に色々されたことまで思い出してしまって、息があがってきた。
「あら、可愛い声だしちゃって。気持ちいいのかしら??」
かっ可愛い声って、最近何故か可愛いとよく言われるのだけれど、何だか凄く恥ずかしい……それとノア様………揉みすぎ!
「いっ、いい加減に、して、くださいっ!!」
流石にこのままだと、何だかやばそうだったので思い切ってそう言い、胸を揉んでいた手を掴む。すると、すんなりやめてくれた。
「うーん、もう少し早く拒絶しないとダメね」
「えっ?」
「ソフィアはちょっと受け入れすぎなのよ、あと筋肉につられすぎね。そんな調子だとほんと危なっかしいから、これからは、筋肉を意識するための
えっ、ええとありがたい? のかしら? っていうか、悪戯は必要なの?
そしてその発言以後、その日はことあるごとにノア様が、私にちょっとエッチな悪戯をしてきた。
胸は揉みまくるわ、太ももやお尻をなでるわ、壁ドン、押し倒し、お姫様抱っこ、ありとあらゆる方法で悪戯をしてくる……。
さっさと拒絶しなさいと言われるのだけれど、筋肉につられたり、甘い雰囲気を作られたりで、なかなかすぐに拒絶できない……。
『悪戯されてるだけだから』と、危機感が無いせいかもしれないけれど……なかなか拒絶出来ずに夕食の時間になった。
そしてノア様は、ルーク王子と夕食を食べる日だったから、1人でゆっくり食べられたけれど、日中さんざん悪戯をされて疲れたせいか、入浴後ノア様の帰りを待ってる間にまた寝てしまったわ。
―――――――4日目―――――――
「……ん? ……えっ? ……ひゃっ!」
なんだかもぞもぞと、身体を触られている感触で目が覚める。
「……うーん、この調子だとまだ駄目ね。すぐ襲われちゃうわよ」
「はぁ、ちょっ、手をっ、止めてからっ……話してくださっ……あっ!」
説教っぽいことを言いながら、後ろから抱きしめて、片手で首から肩、肩から脇、脇から胸、胸から腰、腰から太ももの付け根あたりに手を滑らしてから、また戻っていく……何度も往復して身体を優しく撫でるノア様……こそばゆいし、何かゾクッとする。
「ちゃんと拒絶しないとやめないわよ?」
「寝起きっ、……んんっ、ズルい……ですっ!」
寝起きで、いきなり後ろから抱きしめられて、首から肩を優しく撫でられ、初めは半覚醒だったからされるがままになっていたら、どんどん手が下に来て、ハッと気付いたらこの状況……。
寝起きはほんとズルい! こっちは半覚醒なんだから、拒絶どころじゃないわよ!
「ソフィアが隣で無防備に寝てるからよ。ところでまだ拒絶しないのかしら??」
「します! ノア様ストップです!! もう触っちゃダメ!!」
「うーん、まだまだ反応が遅いわねー、まぁ昨日1日ではまだ無理かしら。私はいいんだけどね、ソフィアの身体って柔らくて触るの気持ちいいし……でも、レオあたりにこんな感じの対応してたら、あっという間に食われちゃうわね」
ドキッギクッ! あの時、痺れ薬じゃなかったらほんと危なかったわよね。
しかし、寝起きからこんなことされると疲れちゃうってば……。
とりあえず、起きて身支度を整えてから朝食へ。
そして朝食を食べながら、ノア様に愚痴をこぼす。
「ノア様、朝からこんな感じだと疲れてしまいます……」
「んー? ソフィアが素早く拒絶すればいいだけよ。ほんとこのままだと危険だから頑張りなさい。あとは、筋肉にも慣れなさいね」
「筋肉に慣れろと言われましても……あっ! ノア様の筋肉を思う存分触らせてくれるなら慣れるかもしれませんが……」
触られてばかりだから仕返しよ! とばかりに言ってみた。無理なのはわかってるんだけれど言いたくなるわよね?
「そう言われればそうね、腕なら全然かまわないわよ?」
え?! いいの?! やった〜♪ たくましい腕を触り放題ですって! ヒャッホーイ!!
「ソフィア。あなた、ほんと顔にですぎ……」
「それは仕方ありません! では早速!」
残っていた飲み物を一気に飲んで、ササッとノア様の隣へ移動する。
「速いわね……」
ノア様も後は飲み物だけだから、利き手とは逆の腕を触らせてもらう。
上腕二頭筋と上腕三頭筋をなでなで。
嬉しすぎて笑顔が止まらないわ! ニマニマ。
「………ソフィア、そんなに触ってたら後が怖いわよー」
「えっ? 何ですか?」
「やられたらやり返しってね♪」
そう言って、またノア様に押し倒されてしまった。
あう、同じ過ちを繰り返してるわね……全然成長出来てない私………。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます