第17話 ◎カイル・ブラウン③

更に引き続きカイル視点のお話です。

長くなっちゃったので会話なしのストーリーになってます。


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 そしてやっとエドガー王子と対面したら、王子も突っ走ってしまい突然の求婚。

 やっと、好みの子を見つけて舞い上がってるのはわかるが、順番を間違えてるぞ……仕方がないなぁ……と思ったらまさかのソフィア嬢の否定発言。


 騎士団長達のような、ゴリゴリの筋肉が好きだと……あぁ、だからお茶会のとき私の身体に目線が来ていたのか。

 その発言に斜め前に居たミア殿がずっこけ、護衛達もまさかの発言にふらついた。


 その後、ソフィア嬢もミア殿も混乱していたので、とりあえず落ち着こうと提案して控室へ送るついでに、そのまま同行して本音を聞いてみた。


 どうやらレオのことを気に入った様だ……。

 エドガー王子には申し訳ないが、無理強いはできない。

 でもエドガー王子が可哀想なので、断る方へは誘導せずとりあえず保留の方向へ持っていった。


 レオ……うーん、レオか………心配だ。

 でも、必死な表情で聞いてくるので仕方なく騎士団長の集まりに来てもいいと言ってしまった。

 まぁ、私とオリバーの前でレオも変なことはしないだろうし、レオの人となりを知ればもしかしたら冷めるかもしれないしな。


 そして、集まりの日に現れたソフィア嬢にレオがこっちへおいでと呼んだ。


 先にすべてを説明していたオリバーとアイコンタクトをして、何とかみんなでの会話へ持っていく。

 終わってから、ソフィア嬢について行こうとするレオにミア殿が牽制をかけ、オリバーがすかさずそれに乗る。

 ミア殿はレオのことはよく思っていないのか? とりあえず私もそれに乗り3日後に会えるのだからとレオを退散させた。


 それから3日後、この国では珍しく大雨が降り、ソフィア嬢が来られなかった。

 レオが調子に乗って何かやらかしそうだったので少し安心する。

 しかも、この大雨であちこちが大変なことになり集まる時間もなくなってしまった。


 レオに会いたいだろうソフィア嬢には悪いが、エドガー王子と月イチの話し合いで、ソフィア嬢と王子が仲良くなってほしいと思っていたので丁度良かった。


 しかし、集まりの最中のレオが、いつもと違う様子だったのが気になる……。

 とは思ったものの、災害の資料をまとめたり現地へ行ったりと、ドタバタしているうちにそのことは忘れていた。


 そして、大雨の後始末に追われながらも、次の週に毎年開催している西の領地の催しに、今年は第一騎士団が人手を出すことになっていたので手伝いに行った。


 いつもにも増して人混みがすごい。

 見回りをしていたら見覚えのある姿を見つけた。

 ……ん? 女性が人波に流されている……人混みに慣れてないのか? 危ないなぁって、あれ? ソフィア嬢?? まさかな……と思ったら本人だった。

 思わず人混みを掻き分け腕をつかんで引き寄せる。


 怖かったのか潤んだ瞳でこちらを見上げ、助けてもらったからか、少し安心して、嬉しそうな様子でこの状況の説明をしてくれた。


 密着した状態でのこの上目遣い……ヤバいな……。

 そしてこちらの状況も説明している間、ずっっっとあの綺麗な青紫の瞳を潤ませたまま、上目遣いでこちらを見つめている。


 うーん、困った……こんなに密着しててそんなに見つめられたらナニかが反応しそうだ。

 私もまだ若い男、胸の柔らかさを腕で堪能しながら、美人にこんな瞳で見られたらそりゃ反応もするだろう。


 これ以上密着していたらやばいと思い、とりあえず、はぐれないように手を繋いで引っ張ろうと決めた。

 そして手を繋いで歩いていたら、ソフィア嬢が斜め後ろをふらふらと、手を揺らしながら危なっかしい動きでついてくる……。


 いかん、このままだとまたはぐれそうだ。


 仕方ないまた密着するが、立ち止まっていた先ほどとは違い、歩いていたら大丈夫だろうと思い、また引き寄せて今度は腕を掴むように伝えたら、ソフィア嬢がちょっと固まった。

 流石に腕を掴むくらい近づくのは嫌だったかな?


 さっきとは打って変わって大人しくついてくるソフィア嬢に胸を撫で下ろし、ゆっくりと人混みが少なくなる場所を目指す。

 

 と、突然ソフィア嬢が躓いた。

 私の前につんのめってきたので、危ないっ! と思って反射的に手を出したら……むにっと弾力のある何かが手の平に……。

 うわっ柔らかっ! じゃなくてやばい! っと思いつつ反対の手を腰に回し、胸に当たっていた手も腰にずらし抱き上げる。


 こんなに大きな胸触ったの初めてだ。柔らかくて気持ちいい……エドガー王子が胸の大きさにこだわるのがちょっとわかった気がする。

 と、ちょっとナニかがやばい状態になりかけてる時に、ソフィア嬢がとどめを刺しに来た。


 あの可愛い赤面顔でうるうると……いつもにも増した潤んだ瞳でこちらを見て謝ってきたのだ。


 ……どこからどう見ても、致している最中の顔にしか見えない……。


 あー、……ヤバイ落ち着け落ち着け落ち着け落ち着けー。

 とつぶやきながら、この子は王子のお気に入りでレオが好きで私じゃない、王子のお気に入り王子のお気に入り……。

 と、自分に言い聞かせながら、このままだと押し倒しそうになる気持ちをおさえながら、近くにある騎士団の休憩所へ行くことにした。


 そして、ソフィア嬢に待っていてもらおうとしたら、また真っ赤に赤面しながら、すがるように一緒にいてほしいと言い出した。


 ……情事中に、“もっと♡”とおねだりしてくるような表情にしか見えない……いかんさっきから頭の中がエロモードだ。


 たまらず天を仰ぎ説教モードに。


 そしたら、部下のジャンが休憩にやってきたので、ジャンにまかせて報告に行こうと思ったら、何故かジャンがよくわからない発言をして、速攻で報告へ行ってしまった。


 あっけにとられながらも、頭は少し冷静になり、先程はちょっと八つ当たりっぽくなってしまったので謝る。


 すると、ソフィア嬢は何故説教されたのかわからないようで困惑していたので、じっと見つめてみる。

 案の定赤面したから、その赤面と上目遣い等の仕草が、男を勘違いさせるんだよと説明をしたら、少し理解したようだった。


 そして、すごい速さでアメリア嬢がソフィア嬢を迎えに来た。

 去る時にちょっと念押ししたが……ちゃんとわかったのかが心配だ。

 エドガー王子と仲良くなる前に変な男にちょっかいを出されないといいのだが……。

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