《コンタクトレス》 女神様から授かった潔癖権能で転生ハイエルフが魔王ダンジョンに挑みます。

十夜永ソフィア零

女神様とのファーストコンタクト

中体連女子バレーボール県大会の決勝戦

中体連女子バレーボール県大会の決勝戦。

最終セット15:15のデュース。


リベロのわたしは、相手エースの右前への強烈なスパイクを回転レシーブした際に

右目のコンタクトレンズが大きくずれてしまった。

チームメートがリカバリーして相手に返した後に、

相手からネット際ギリギリの返しを先輩がなんとか上に返した。

けれども、ボールは左に大きくそれていく。

サイドラインを超え片目となりながらもボールを追い走るわたし。


ボールになんとか追いつこうと最後は横飛びにジャンプをした。

わたしの視線は、去っていく白いバレーボールを追う、手を伸ばせば届きはする距離。けれども、このままではコート内に返すことは厳しい。


(どうしよう!)

と逡巡した瞬間に、わたしは高速で迫りくる黒い物体に認識した。


それが超望遠レンズ付きの一眼レフカメラであると分かった瞬間、

わたしは反射的にかわそうと顔をひねったけれども、

もはや避けられないと直感した。


では、最後にこのボールをどうすべきか。

刹那、わたしは体育館の二階からいつものオジサンの上半身が落ちようとしていることを見て取った。

その瞬間、わたしは事態を悟った。

女子バレーボールの試合をいつも二階から超望遠レンズで撮り下ろしているあのオジサン。後輩の子が、わたしの回転レシーブを必死の形相で何度も高速連写しているといっていたあのオジサン。


あのオジサンがこのカメラを手から滑らせ、そのカメラがわたしの頭上に落ちて来ているのだと。

わたしは、伸ばした左でボールをオジサンの上半身に向け反射的に打ち上げた。


同時に左の額あたりに超望遠レンズが直撃していると感じた瞬間、

わたしの視野は暗闇に囚われた。

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