朝日は良いね
あかりんりん
幸せホルモン
少し前まで朝7時だというのに気温はすでに31℃と猛暑だったが、今では同じ時間でも25℃とかなり涼しい。
朝5時にふと目が覚めた僕は愛用しているロードバイクを走らせた。
国道はまだ薄暗く、車もトラック以外ほとんど走っていない。
ここは信号も少ない田舎町のためノンストップ走行が出来てストレスフリーである。
もっと簡単な言葉で言えば「とても気持ち良い」。
時速15キロと、ロードバイクにしてはゆっくり走っていると、だんだんと朝日が登ってくるのが分かる。
いつも見慣れた町の光景に、朝日が重なる。
それだけでとても神秘的な光景に見えるから不思議だ。
30分程度走らせて少し汗が出てきた頃、僕はあることに気がついた。
それは、同じくロードバイクをしている人はもちろんのこと、朝のジョギングや犬の散歩をしている人、畑や庭や公園の草むしりをしている人のほとんどが「笑顔で挨拶」をするのだ。
これは不思議なことだと思った。
普段だと自分から挨拶しなければ相手から挨拶するのはせいぜい近所の顔見知りだけだ。
それに、知らない人に挨拶すると不審がられてしまう世の中である。
僕はこの不思議を解明するために、休憩がてらスマートフォンで早速調べてみた。
すると
「朝日を浴びるとセロトニン(別名:幸せホルモン)が分泌され、心も体も元気になりとても良い影響が有る」とこのこと。
なるほど。
「幸せホルモン」
言葉の響きだけで幸せになれそうではないか。
であれば、その幸せホルモンが分泌されていることもあって、笑顔で挨拶することに繋がっているのかもしれない。
あるいは笑顔で挨拶する人が、たまたま早起きの人が多いだけかもしれない。
いずれにせよ、今日久しぶりに早起きをして気持ちの良い時間を過ごせたことは間違いない事実である。
僕はまた自転車を走らせる。
「・・・挨拶は自分からしましょう。挨拶をすると気持ちが良いですよ」
そういえば小学生に始まり大人になってもたくさんの先生や大人達からこう教わっていたなと、ふと思い出す。
だが、前述した通り、現代では挨拶であっても見知らぬ人に話かけると不審者扱いされてしまう悲しい時代である。
だいたい、先生や大人が先に挨拶することもほとんど無かった。
もちろん先生や大人だって人間であるから、機嫌の良い時も悪い時もある。
それは分かっているが、いつも気持ち良く先に挨拶してくれるお手本のような先生や大人には会ったことが無い。
であれば学校や職場で無理やりそんな出来もしない教育をするのでは無く、きちんと前述した朝日と幸せホルモンの関係性を説明し、やりたい人はやれば良いよ程度の教育で良いのでは?と考える。
それに、他人に挨拶を強要するぐらいなら、自分が実践して、いつも笑顔でニコニコしていれば、
「どうしていつもそんなに笑顔でいられるのですか?秘訣はありますか?」
などと他人から興味を引けるかもしれない。
その時こそ、きちんと説明してあげれば、その質問した人は必ずや実践して身に付けるだろう。
そうして良い習慣が波紋のようにたくさんの人に拡がっていけば、世の中が「挨拶をする人は不審者」というイメージがまた薄くなるのではないだろうか。
話は少し変わるが勉強についてもある考えが浮かんだ。
「勉強しなさい!宿題しなさい!」
言うのは簡単だ。
では、そう言ってしまう理由はなぜだろうか?
「勉強が出来ると偏差値の高い有名大学に入れて、有名な大手企業や公務員に就けて一生安泰だから」
ではないだろうか。
これが2010年頃まで確かに日本にあった考え方だろう。
だが、勉強が出来て偏差値の高い有名大学に入れて有名な大手企業や公務員に就職している人が全員幸せとは言い難い。
知り合いに、上記に当てはまる努力家で、年収も一千万を超えているが、転勤族で家族には会えず、運動不足とストレスで血便が出るまで働き、年下の上司からは毎日叱られ、部下からは仕事や判断が遅いと罵られて信頼されず、本当に可哀想な人も知っている。
こんな人が
「勉強しなさい!」
と他人や子供に言ったところで
「勉強したらこの人みたいにボロボロになるまで働かされるんだ、それはイヤだな」
と直感で思ってしまい
「じゃあ勉強なんてしない方が良いや」
と繋がってしまう可能性がある。
ではどうするか?
今の現状に不満はあるものの、僕は少しでも楽しそうに見せる努力をしている。
グチはなるべく職場だけに留めておいて、家族には
「よ~し!今日もお仕事してお金もらって好きなもの買おー!今まで勉強しててこの会社に入れて良かった〜!」
とおどけて見せるのだ。
一方で、親があまり「良い親の仮面」を付けようとすると、子供も「良い子供の仮面」を付けてしまい、お互いに信頼関係が無くなるとも言われているのでほどほどにしているが。
さて、自転車でゆっくり走っているといろんな事が頭に浮かぶ。
すると、ある人の顔が浮かんだ。
その人はいつも元気で、友達も多く、いつもニコニコしていた。
そう、僕の初恋の人だ。
偶然にも、名前が「朝日ちゃん」だった。
僕は
「また走ろう」
そう呟いて家路に向かった。
以上です。
読んでいただきありがとうございました。
「早起きは三文の徳」とも古くからことわざにもありますし、あながちウソでは無いと感じているので、気になった方は是非お試しあれ。
朝日は良いね あかりんりん @akarin9080
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます