第95話 ラス1!

 ……さあ! ラスいちは何だ?


 牛か? 象か? 鯨かぁ!?



 ……しかし、いくら探しても、最後の1体が現れない。



 ……祐希さんを操って俺を陥れようとし、あまつさえ祐希さんが逃亡する原因となった最後の『1○1ひとまるひと』……


 ……まさか、俺の快進撃に恐れをして逃亡した?


 ……さあさあ! ワンちゃん……出ておいで〜♪





「お〜ぅ、かけ坊!」


 ……え……?


 この声は……


 もとむ……伯父さん!?


 ……宇宙空間で……しかも、スピーカーから声がする……!?


「叔父さん? もとむ伯父さんなの?」


「おぅ! 久しぶりぃ!」


 この口調! 更に、俺『法外ほうがい かける』を『かけ坊』……と呼ぶのは、大好きだったもとむ伯父さんだけだ!


「な? 何で? 何で伯父さんが……こんな所に……?」


 ……その答えが返ってくる前に、ゆうきちゃんの声が響いた!


「駆さん! か、駆さん! か け る さ ん!」


 只ならぬ様子だ……!


「ゆうきちゃん! どうした!?」


「は……はい……」


 ……?


 ……! まさか? 泣いて……る?


「何だ? どうした! ゆうきちゃん、しっかりしろ! 君らしくも無い!」



 ………暫く沈黙が続いた……。


「ふふっ」……伯父さんの声だ…… 「俺が代わりに伝えてやろう……」


「ま! 待って! 私が……伝えます!」


 何だ! 


 何が起きたか、早く教えてくれ〜!


 心臓の鼓動が高まり、喉から飛び出しそうだ!


枕詞まくらことばは要らない! ゆうきちゃん! 簡潔に言ってくれ!」


「はい。 事実のみを伝達します。 地球の全生命が機能停止しました」


 ……ゆうきちゃんの声は抑揚が無く、恐ろしい程冷徹に、事実だけを告げた。


 ……更に報告は続く。


「地球上のあらゆる実権を『特務機関1○1《ひとまるひと》』が掌握しょうあくする事に成功しました。 ……現時点を以て『地球』が『ダルメシアン端末』となります!」


 ラ、ラス1《いち》が……地球!?

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