第41話 笑顔!

 500万円は、いくら何でも多すぎる! ……かと言って、東矩とうがねさんに聴くのも、何かカッコ悪い……。


 ……ってな訳で、俺は又々浅利さんと、例の店で呑みながら相談する事にした……。



 俺も浅利さんも、もう慣れたもので『骨導音声対策』として、スマホのメモアプリを使って『筆談』をした。


 口では下らない世間話をしながら、指をせわしく動かす。


『俺の今回の『報酬』の件、浅利さんは知ってました?』


『あ、まずオレ達は『友だち』だから、お互い他人行儀はやめよう!』……と、浅利さんが書いて、俺に温かい笑顔をくれた。


 その気遣いが、とても嬉しかった。


『さて、今回の事は、オレもその場にいたから知ってるよ。 あの時は本当に大変だったんだ!』


 ……あの時、東矩さんの後から声がしていた中に浅利さんもいたのか。


『何があったの?』


 ……浅利さんは少し考えてから……


『ごめん! この前ちょっと言ったけど、法外さんの能力は、本人が知ると消える危険があるから、国益・・の為に教えられない』

『ただ、今言えるのは、法外さんの能力は、オレたちの機関の中でも群を抜いている!』


 ……そして更に……こう書いた。


 『『国宝級』だよ!』


 ……! 俺の『100%、じゃんけんに負ける能力』が、国宝級〜!?


 ……俺が国宝級なら『100%、駄洒落を聴かせた相手を気絶させる能力』を持つ鵜目うのめさんや『100%、これから起きる事を暗号で予言する能力』を持つ、施設に入っているお爺さんは、世界遺産並みじゃん!


 ……浅利さんは続けて……


『今回の『緊急事態』は、マジでヤバかったんだ。 もしかしたら、この国が終わるかも知れない事態だった』



********************



 その日……某国の工作員による同時多発攻撃により、国内の電子管制警戒網が破壊され、自衛隊は一部地域の『眼』と『耳』を完全に封じられてしまっていた。


 管制警戒網の穴を突いて、某国が何らかの攻撃を仕掛けて来る事が予想され、隣接する管制警戒網の範囲を拡げたが、全て網羅する事は不可能だった。


 在日米軍に協力を要請したが、回答は『不可ネガティブ』……『特務機関ひと〇〇まるまる』の独自調査が行われ、能力者『100%誰とでも仲良くなって秘密を聴き出せる小学生』が、非番の米軍兵士と接触し『米軍基地アメリカじんきち』も『ドローンこうげき』を受け、レーダーを破壊されていた事実が判明した。


 防衛省としては、手詰まりだった。


 正式に協力要請を受けた『ひと〇〇まるまる』は『最後の砦』として、以前『爆発物』を仕掛けられた、ある大臣の家から、遠隔指示だけで爆発物処理を成功させた経験を持つ『法外ほうがい かける』の『100%の透視能力と予知能力』に全ての命運をかけた。


 法外の『かごめかごめヒント』から、潜水艦1隻による攻撃を予測した『1〇〇』は、直ちに海自に連絡、潜水艦隊を向かわせ、敵潜を撃沈したのだった。


 その間に、警戒網の修復が急ピッチに進められ、我が国は、無事に危機を乗り越えたのである!


 ……今回法外が成功させたミッションは、実は『500万円』でも安いくらいだったのだ。



 ……なお法外が、何故、自分の能力を知ると、その能力が消えてしまうのか?……また、何故『100%じゃんけんに負ける能力』を有しているのか?


 ……それは……

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