第33話 施設!

 ……しばらく車は順調に走っていたが、ある地点からスピードを抑え、慎重に走行した。


 時を同じくして、俺の胸に『嫌な感じ』が広がった。 浅利さんの5択の時と同じ『選ぶな!』……って感覚がする。


 ……唐突に車が止まった。



 そこは『孝礼園』という、高齢者施設の前だった。


法外ほうがいさん、先程の『地点』が、特定できました。 『K.K』と、鵜目うのめさんと一緒に、その施設に入って、行動して下さい」


 ……と、東矩とうがねさんの声がした。


 ……え? ここで『じゃんけん』するの?


「この施設内では、法外さんの担当を『K.K』に移譲します。 法外さんは『K.K』の指示に従って行動して下さい」


 ……と言って、通信が途絶えた。




『K.K』さんが「では、私は駐車して来ますので、降りてお待ち下さい」……と言って、ドアを開けた。  


 全く知らない場所だが、都会と離れている事は間違い無い。 空気が澄み切って、思わず深呼吸すると……。


「法外さんは、東京のかたですか?」……と鵜目さんが聴いてきた。


「はい。 産まれも育ちも東京です。 鵜目さんは?」


わだすは福島です。 上京て、この前のテストを受けたんです」


 俺は声を潜めて「……鵜目さんの『能力』は何ですか?」……と聴くと……


 「はい、わだすの駄洒落を聴いた人は、100%フリーズします!」……と言って微笑んだ。


 ……!?

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