第27話 勝負!

「我々の『調査』によれば、貴方あなたは『100%じゃんけんに負ける能力者』ですよねぇ?」


「さあ? 何の事か……」


「まあ、良いでしょう。 やってみれば判る事です」……と言いながら、そいつはポケットから革の手袋をした手を出した。




 こいつは、何の為に『じゃんけん』をしたがってるんだ?


 ……さっき、こいつは『調査の結果』と言った。俺の事を調べて、『Y.T』さんの事もある程度、調べたのだろう。


 『Y.T』さんの表情は明らかにいつもと違う。 その上で、『電話』で俺を呼び出した。


 ……『骨導音声』とやらを使える、オーバーテクノロジーを有する『会社』の事をバラされない為……だろう。


 いずれにしても、俺の直感通り……今回、負けるのはまずい結果になりそうだ!

 



「では、法外ほうがいさん……3回勝負……にしましょう……。 3回のうち、1回でも貴方が勝てば『東矩とおがね』さんを開放して差し上げます……」


 ……! この人の本名は『東矩とおがね』さん……だったのか。


 良く見ると東矩さんは、ずっと手を後ろ手に組んでいる! 縛られている……のか!


「貴様! 何をした!」


「まあまあ、貴方が勝てば済むことです。 ……では、いきますよ!」


『グーだ!』……と、俺の直感は言っていた!


「じゃん、けん……」

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