第4話 100万円!

 会場は想像以上の人の多さだ。


 時間がかかりそうだし帰ろうかな…と思ったら、大部分の人が、すぐに面接を終えて帰ってしまう。


 面接? にしては早すぎない?


 どんどん人が減っていくので、帰りがけの人に話を聞くと、質問はたった一つ……


「あなたの100%は何ですか?」


 ……だったとの事。


「100%に近い」という答えでは不合格だったらしい。


 えぇ〜? なにそれ!?


 弱ったなあ……。


 ……次はいよいよ俺の番だ。


 部屋に入ると、中央に全身黒尽くめの人物が座り、そのすぐ横に容姿端麗、絵に書いたような秘書が立っていた。


 秘書が……


「私は『Y.T』……イニシャルで、失礼致します」


 ……と言って、一例した。


 そして…


「あなたの100%は何ですか?」


 ……と聴いてきた。


 う〜ん……。


 俺は、自分で思い付く『100%』を告げた。


 ポーカーフェイスな『Y.T』さんの表情が明らかに変化し、中央の人物が、少しだけ顔を上げ、目深にかぶった黒い帽子と黒いマスクの間から、俺を凝視している……。


 中央の人物が、何か指示を出すと『Y.T』さんが俺に近付き


「おめでとうございます。合格です。」


 ……と言い……


 ムグッ!


 唐突にキスして来たっ!


 しかも、く、口に!


 お、俺が盛大に噴き出す鼻血を押さえつつドギマギしていると、定位置に戻った秘書が何事も無かったかのように冷静な声で「これからの事は、追って連絡致します。本日はこのままお引取り下さい。」と告げた。


 キツネにつままれたような表情で帰宅すると、メールに着信が……それは口座に100万円が振り込まれた事を知らせるメールだった!

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